アッパレ!お買い物賞や仕事納めにお便りを差し上げたお客様より、この数日お手紙やお電話を頂戴しています。
お忙しい中を、またご体調の優れない中をまことに恐縮に存じますが、私たちは、来年への大きな励みをいただいた思いでおります。
深く深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
おそらく2021年、来年もなかなか厳しい一年になるだろうと想像致しますが、価格評価の下落が続く近代日本絵画の市場において、その芸術的評価の順には、今のところ大きな変化が見えないところに、私たちはひとまずの安心を覚えています。
年末ちょっとした機会をいただいて、佐橋がこの地方、あるいは全国的にみても大変立派なコレクターさまにお会いすることがありました。
ご所蔵の作品を拝見しながら、日本の美術品についてお話しさせていただいた際に、「日本人の美意識を外国の人々に理解、感じることはできないだろう、これ程まで高い水準の芸術を日本人は作りあげてきたのだ」とおっしゃっていらしたと聞きましたが、確かに西洋の美術品には圧倒的なエネルギーを感じることはできますが、やはり私たち日本人は「波間に揺らめく光」のような芸術、繊細でありながら、高い精神性を兼ね備えた作品を美しいと感じているのではないでしょうか?
よく私がお伝えいたしております、「迎えにいく芸術」ということです。
それは日本画だけに限らず日本の油彩画にも言えることだと思っています。
今年、このコロナ感染問題が起こった春、私はその少し前にお客様からお送りいただいたこんな画像を何度も拝見していました。
名古屋のお客様が、東京にいらしゃるお孫さんに小さなピアノをお送りになられた時の画像です。
小さなお手てで初めてのピアノを弾いていらっしゃいます。
この柔らかなお手てに触れてみたい!
それは、血のつながりを超える人としての本能ではないかと思います。
そして、この感覚、感情を否定するような方向に、いくら感染問題が広がっても、人は進んではいけないはずだ。
そう思えました。
迎えに行く芸術。
画家の描く絵が鑑賞者の眼の中にガツガツ勝手に入り込んでくるような作品。
鑑賞者が大人になって、絵に解釈を与えて見なくてはならないような作品。
そんな作品ではなく、普段は何も語らずに、こちらが見たいと思った時に、しかもその瞬間に、無限に広がる宇宙、愛に溢れる世界を見せてくれるような作品。私が私の命を肯定できるような芸術作品を私たちはこれからも求めていきたいと願っています。
マスクやシールドを超える世界。
ぬくもり、愛、そしてそれを全て叶える無の世界。
来年もお客様方と楽しく美術品の世界に遊んでゆきたいと思います。
今年も皆様にもったいないほどのご厚情を賜りました。心より感謝申し上げます。
皆さま、おさわりなくご越年くださいますことを名古屋より念じ上げます。
ブログはまた3日あたりから書かせていただこうと存じます。よろしければ、お付き合いくださいませ。
佐橋美術店
佐橋夏美