つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

2020年12月31日に

2020年12月31日 | 日記・エッセイ・コラム

今日の名古屋は雪が降っています。
アッパレ!お買い物賞や仕事納めにお便りを差し上げたお客様より、この数日お手紙やお電話を頂戴しています。

お忙しい中を、またご体調の優れない中をまことに恐縮に存じますが、私たちは、来年への大きな励みをいただいた思いでおります。
深く深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

おそらく2021年、来年もなかなか厳しい一年になるだろうと想像致しますが、価格評価の下落が続く近代日本絵画の市場において、その芸術的評価の順には、今のところ大きな変化が見えないところに、私たちはひとまずの安心を覚えています。

年末ちょっとした機会をいただいて、佐橋がこの地方、あるいは全国的にみても大変立派なコレクターさまにお会いすることがありました。

ご所蔵の作品を拝見しながら、日本の美術品についてお話しさせていただいた際に、「日本人の美意識を外国の人々に理解、感じることはできないだろう、これ程まで高い水準の芸術を日本人は作りあげてきたのだ」とおっしゃっていらしたと聞きましたが、確かに西洋の美術品には圧倒的なエネルギーを感じることはできますが、やはり私たち日本人は「波間に揺らめく光」のような芸術、繊細でありながら、高い精神性を兼ね備えた作品を美しいと感じているのではないでしょうか?







よく私がお伝えいたしております、「迎えにいく芸術」ということです。








それは日本画だけに限らず日本の油彩画にも言えることだと思っています。



今年、このコロナ感染問題が起こった春、私はその少し前にお客様からお送りいただいたこんな画像を何度も拝見していました。




名古屋のお客様が、東京にいらしゃるお孫さんに小さなピアノをお送りになられた時の画像です。

小さなお手てで初めてのピアノを弾いていらっしゃいます。

この柔らかなお手てに触れてみたい!
それは、血のつながりを超える人としての本能ではないかと思います。
そして、この感覚、感情を否定するような方向に、いくら感染問題が広がっても、人は進んではいけないはずだ。
そう思えました。






迎えに行く芸術。

画家の描く絵が鑑賞者の眼の中にガツガツ勝手に入り込んでくるような作品。
鑑賞者が大人になって、絵に解釈を与えて見なくてはならないような作品。

そんな作品ではなく、普段は何も語らずに、こちらが見たいと思った時に、しかもその瞬間に、無限に広がる宇宙、愛に溢れる世界を見せてくれるような作品。私が私の命を肯定できるような芸術作品を私たちはこれからも求めていきたいと願っています。



マスクやシールドを超える世界。
ぬくもり、愛、そしてそれを全て叶える無の世界。


来年もお客様方と楽しく美術品の世界に遊んでゆきたいと思います。

今年も皆様にもったいないほどのご厚情を賜りました。心より感謝申し上げます。

皆さま、おさわりなくご越年くださいますことを名古屋より念じ上げます。



ブログはまた3日あたりから書かせていただこうと存じます。よろしければ、お付き合いくださいませ。


佐橋美術店 
佐橋夏美








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2020年12月30日に

2020年12月30日 | 日記・エッセイ・コラム
私は普段あまり本は読みません。特に小説などストーリのある読み物はほとんど読めなくなりました。

佐橋は多読家ですので、本屋さんに行くのが大好きです。

時々私もついて行くのですが、先日珍しくこんな本を求めてみました。

なんとなく〜です。

「六十代、七十代の心と体の整え方」は、初めは長生きすればする程、現代では苦労が多いというようなことが書かれ、「ほう〜」と思ったのですが、後は割と既視感のある内容だった気がします。

「人新世の資本論」はちょっと希望を与えてくれるというか「更に考えていこう!」と思えるような本でした。私は経済のことはちんぷんかんぷんなので、読むのに大変苦労しましたが、息子と同じ世代の方達が今の日本をどのように考えているのか?またこの感染問題をきっかけに、資本主義もいよいよ終焉を迎えるのではないだろうか?と少し考えていたので、そこに焦点を当てている内容はなかなか刺激的でした。



お料理や書や美術の本ばかりでなく、こうした本にも手を伸ばしたというところが、いかにも今年の私らしくて良いのではないか?とも思えました。斎藤幸平さんの活動にはこれからしばらく注目したいと思います。

それにしても、今日の名古屋は木枯らしというより、嵐のように風の強い、寒い一日でした。
皆さま、お正月をお迎えになる準備はもうお済みでしょうか?
どうぞお寒さにお気をつけて、大晦日をお過ごしください。




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2020年12月30日に

2020年12月30日 | 日記・エッセイ・コラム
今年も皆さまと同じように私達にも色々な事がありました。

iPadの中には思い出の写真がいっぱいです😊

夏には初孫も誕生してくれたましたので、特に赤ちゃんとボストンテリアのワンちゃんの写真がいっぱい🤳

アルバムから溢れそうになっている大切なメモをこのブログにも貼り付けさせて頂こうと思います。

当時、沢山の勉強をしたつもりでしたが、病気をした本人の佐橋からこのヒポクラテスの言葉が送られてきた時は
目が点になりました!


東洋で言われるような食養生の事もすっかり網羅されているからです。

特に二番目の 火色は過食に通ず  には驚きました。

火を通したものばかりを食べていると過食気味になるということは、お料理教室に行ってもなかなか教えてもらえない事です。

このヒポクラテスの言葉から、私たちはどれほどの進歩をしたというのでしょうか?

大いに反省しなければならないように思います。






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ありがとうございました。

2020年12月27日 | 向吉悠睦
おかげさまをもちまして、昨日無事に仕事納めをさせていただきました。

師走のお忙しい中を皆様にご来店いただき、また温かいお便りやメールを頂戴し、大変こころ強く
一年の締めくくりの日々を過ごすことができました。

変わらぬ皆様のご厚情とお引き立てに心より感謝申し上げます。

まことにありがとう存じました。

今日は自宅に植木屋さんが来てくださっています。
小さな小さな庭ですので、あっという間に作業も終わりますが、ご夫婦お二人で一生懸命に働いていらっしゃる姿を拝見すると、
自分たちの今年の仕事ぶりを反省し、ますます各お客様への感謝を深めるばかりです。

今年は東京の実家に帰省するのを取りやめました。
結婚以来初めてのことですので、戸惑いはありますが、その分名古屋でのんびり過ごすことができるので
またブログも時々更新させていただこうと思います。

美術品についてのお話は少なくなるかと思いますが、よろしければ時々お覗きください。


さて




店のお床に今年も、向吉悠睦さんの「巣籠り鶴」を飾らせていただきました。

「巣ごもり」という言葉がこんなに似合うお正月もないような気がして。。。長く同じ作品を所有していると
こんなこともあるのだとしみじみ感じさせていただきました。





卵を抱えているのです。
だから。。。きっとこの鶴さんには新しい家族が増えるのです。






お掃除や買い出しなど、皆様お忙しい頃かと存じます。

どうぞ、お怪我などございませんようお気をつけてお過ごしください。







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お客様よりのお便り

2020年12月23日 | お客様よりのお便り
先日小絲作品をお納め申し上げたお客様よりお便りをいただきました。

「作品、無事に到着しました。
 まずは、とても気遣いのある梱包に、お二人の美へのこだわりが垣間見れ感服致しました。

 さて、肝心の作品ですが、改めてじっくり見てみると、晩年の小絲の筆触によるものか絵が生きているように思われ、
 この作品を所有できる喜びと相まって高揚感が止まりません。本当に良い作品をお譲り頂き感謝しております。」

こちらのお客様は絵画収集にご興味をお持ちになられてまだ日が浅いとお聞きしています。
「それでもう小絲?晩年?」本当に驚いてしまいます。


当店のもう一つのブログ「店の小窓より」にも書かせていただきましたが、コレクター道というのは、なかなかに難しく、険しい道のりです。美術品を集めることに夢中になっていると、人生でもっと大切な何かを見過ごしてしまったり、失ったりすることが多くあります。



多くの皆様がご予算を1番に気にされますが、そして勿論画商にとっても商売はとても大切ですが、私どもはお客様の作品を見ていらっしゃるご様子、また短いご感想のお言葉の中にその場に生まれている「感動」を感じ、それを楽しませていただいています。外れてしまうこともありますが、「惚れ込み具合」を測ることが私たちの仕事だと思っているのです。当店が後世に残したい、大切にしたいと思っている作品が、お客様のお宅を出たり入ったり、また市場をウロウロしたりしないで、凛と美しくいてもらう最善の道は、お客様にしっかりその作品の真実をお感じいただき、作品を長く可愛がっていただくことなのですね。


長く作品をお集めになられる皆様より、案外入門編にいらっしゃる皆様の方が、頭でではなく、心で作品をお感じになっていらっしゃる場合が多いようにも思います。


当店へのお気遣いなど要りません。どうぞ、色々な画廊を来訪され、ネットでお調べになって本当に惚れ込める作品をお求めください。そして、その作品をできるだけ長くご所蔵、お可愛がりください。

画商である私達はそうしたお行儀の良いお客様、お心あるお客様の為に


水鳥を水の上とや よそに見む 我も浮たる世を過ごしつつ  紫式部日記



水面下では足をバタバタさせながら、それでもスーーッと水面を泳ぐ水鳥を目指して日々努力して参ります。










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