つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

M氏のコレクション

2024年01月31日 | お納めの前に
浅野弥衛の作品を」とお声がけをいただきましたのは、昨年のことでした。

ただ、お集めになられている作品の本流とは違った目的、お考えもお含みなってのお求めでいらしたので、「いつもの作品たち」のなかにこの作品をお飾りになることに少しの戸惑いをお持ちでいらしたのだと思います。

ですから、他の作品のお納めの際に、この作品をお持ちしてご一緒に飾り心地を感じさせていただくことに致しました。

もしお客様が少しでも違和感をお持ちでいらしたら必ずお伝えください。私も必ずそうさせていただきます。
そのようにお伝えをしてからの訪問となりました。

画商は本来「風呂敷画商」が本筋であると思っています。
お客様のお宅に長く通わせていただき、お客様のお好みやお部屋に飾り映えがするのではないか?という作品を幾つか風呂敷に包み、お客様とご一緒にその場での作品の雰囲気を感じ、相談させていただく。

佐橋も若いころはそうして仕事をさせていただいて参りました。

けれど、時代がかわり、ましてコロナなどの問題も重なり、又、訪問というスタイルも引きこもりがちな性格の佐橋と私には似合わず、第一に体力もなく、、ですからせめてもという気持ちで、店を「おうち風に」設えさせていただき、当店の作品をご自宅などに飾られたらどうなるか?想像をしていただきやすい環境を整えたいと思いました。




ご自宅とは別に作品をお並べになっていらっしゃるマンションの一室
ギャラリー?と思えるほど素敵な空間にお邪魔させていただきました。
羨ましくなるような微笑みのお優しい奥様もお待ちくださっていました。

どうだぁーーーという虚像は一切なく、それでも品よく、ご夫婦お二人のお心をいっぱいに感じさせていただくおもてなし。
いちご一粒、お茶の一杯の美味しさに感動し、勉強にもなりました。(「古都華」という品種とお聞きしました)

さて、浅野作品を実際に壁に掛けさせていただくと、白地のクロスに白いマットが埋没し、ピン!とこない印象。
また別の場所に掛けさせていただいても、こちらは全くダメ。

一応最初に飾らせていただいた場所に戻しましたが、私の心に葛藤が生まれました。
「せっかく伺ったのだから、何とか作品をお納めしたい」邪心。
「ピン!とこないことをお伝えしたほうがよい」素直な気持ち。正義感。

情けなくも迷い、しばらく頭を冷やそうと別のお部屋で風呂敷などの整理をしているとお客様が私をお呼びくださる声がしました。

「ここならどうですか?」





画像がまずく申し訳ございません。

「お~🥰」初めに掛けさせていただいた壁の反対側、椅子の黒に作品が響きあって、ピン!ときました。
書斎でいらっしゃるので、椅子も定位置。常に響きあってくれます。

この場所を奥様がご提案くださったと後から知りました。
こうして、私は自分の心の迷いを恥じ→何とも申し訳なく→深い深い感謝の一日を過ごしました。


そしてこんなに素敵なバラの花のお土産まで頂戴いたしました。













利行作品は店にある時より、ほんの少し黄色が強く見えました。

けれど、広い壁面ということ、また一緒にお飾りになっていらっしゃる作品や設えに少し茶色系、黄色味があることが作用し、このお部屋で作品が「利行の絵」として堂々と成り立ち始めました。

昼夜の日の当たり方、スポットの当て方、設え、全てに反応しながらその場を落ち着かせて見せるのが良い作品の証拠だと納得もいたしました。その反応を敏感にお感じいただくのがコレクター様の感性です。


お誘いをいただくお客様のお宅に伺いたいと思う気持ちは勿論強くありますが、いまはまだそうそう体が動きません。
慣れた自分の店でお客様をお待ちし、ときどき作品をお飾りになられている画像を見せていただいたほうが気も楽で、結局お客様とも長いお付き合いができるように考えています。

ですから、ときどきこうして「突撃!お客様のギャラリー(^▽^)/」的なことをはさみながら、今できることを一生懸命行い、心静かに皆様のご来店をお待ちしたいと思っています。



最後の最後にこんな可愛らしい根付の作品をお見せくださいました。
「無事かえる」
そういうお見送りのお気持ちもありがたく頂戴いたしました。

「お納めのあとに」
「M氏のコレクション」

同時にお楽しみいただきました。M様、奥様、お世話になりまことにありがとうございました。



さて、鳥海展を楽しみにしていてくださると何人かのお客様よりご連絡をいただいております。とても嬉しく存じます。
ありがとうございます。

この展覧会のことは、また少しづつ書かせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

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お納めの前に

2024年01月30日 | お納めの前に
ご遠方のお客様に小絲源太郎作品を近くお納めさせていただくことになりました。

昨秋、海老原のあの「汽船」ををお求めくださったお客様。
一度ご来店の際に、この「べか舟」もご覧くださり、よい作品だと思ってくださっていたそうです。

べか舟は感謝セールの目玉として、ご提示させていただきましたが、その後、店内でこの作品を見るたびにとても美しいと感じ、複雑な気持ちになっておりました。




けれど、勇気をもって前に進んでみよう!そう決めたあの時から
この感謝セールと早春の展覧会のことは頭にあったことですので
とにかく1月末日までの結果を待とうと思っていたのです。

そして、おもいがけず先週末、このお客様からメールを頂戴いたしました。

いただいたメールの内容から、汽船をはじめ当店がお納めした作品たちとどのようにお暮しでいらっしゃるが想像され、今までの迷いや行動に移してからの不安がすべて消えました。「喜んでべか舟をお納めさせていただきます」そうすぐにお返事を申し上げました。


小絲、三良、土牛、閑右衛門、そして後日また書かせていただくのを楽しみにしておりますが、浅野弥衛、、今月はいかにも当店らしい作品たちにお納めのお約束を頂戴し、すぐにお納めの準備に取り掛かることのできる光栄をいただきました。

新年のご挨拶はさせていただくことはできませんでしたが、昨年にひきつづき皆様からいただきますご厚情に幸せを感じ、深く感謝いたしております。

まことに、ありがとうございます。


「如月きさらぎ」

極寒のなかに、一つの鋭い線を貫き通すような、そんなとても素敵な響きを持つ言葉です。万物にとって春に向かうとは、そういうことなのだと素直に思えます。

新しい一か月も、どうぞよろしくお願い申し上げます。










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お客様

2024年01月24日 | お納めの前に
昨日は千客万来。開店より沢山の方々にお立ち寄りいただきました。

ご夫妻でご来店くださいましたお客様は、奥様がこの土牛の書をご主人様が閑右衛門の作品を
お求めくださいました。




閑右衛門の名前をご存知でいらっしゃらなくても、この作品を面白い!とおっしゃってくださり
私が佐橋の最後の仕入れ作品だとお伝えすると、「じゃ、買います」と即答してくださったご主人様は
佐橋の修行時代もご存知でいてくださいます。

ご夫妻それぞれのお好みもきちんとお持ちでいらっしゃり、ましてお二人揃って当店を応援しようとお思いくださるお気持ちが
しみじみと伝わり、私は感謝の気持ちで一杯になりました。心を込めて納品させていただきます。


今月中は日本画、書を主に展示、お値打ちにご提供をさせていただいております。
よろしければご利用くださいますようお願いいたします。


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お納めのあとに

2024年01月20日 | お納めの前に
佐橋美術店 
佐橋夏美様

こんばんわ。
昨日は1日中忙しくて手が付けられず、今日梱包を解きました。
自分の部屋に掛けて、
まずひと目で、
ああやっぱりいい絵だなあ
と改めて感じました。
しんしんと降り積もる雪の中で、母親が黙々と子どものソリを引く。
ほんとは寒々とした光景のはずなのに、全く寒さを感じない。それどころか、逆に心がポカポカしてくる気がします。
明日からまた頑張ろう、と思える素敵な絵です。
ちょうど今日は税理士の先生の面談日で、この絵をみて褒められました。

いい絵と出会えました。 
ありがとうございました。

酒井三良の作品をお届けいたしましたお客様からッセージをいただきましたので、ご紹介させていただきました。

私の言葉などいらない。
まるで三良作品を見るように
細やかで温かい、お心の行き届いた素敵なメッセージ。

ご感想をお寄せいただき、まことにありがとうございました。

この作品をお譲りくださいました画商さんが先日お立ち寄りくださいましたのでお客様へのお納めのことをお話させていただくと「三良の作品はモダンでしょ」とお話くださいました。

モダン! 

そうなのかぁ~ だから、私は三良作品に惹かれるのかぁと納得いたしました。

今更三良?

という自分への疑いは、このお客様からのメッセージとモダン!という言葉で少しの自信に変わりました。
驚くほどお安くなってしまった日本画の秀品は他にも沢山あります。
そうした作品を今を生きる私の眼でとらえなおせたら良いなぁ、その感動をみなさまと共感できたら更に幸せだろうというと思いを今回のお納めで強く抱かせていただきました。

「人は歩く速度以上には自分の中に真の情報を入れることはできない。」
近代日本画を眺めているとき、昨年お会いしたお客様にいただいたそんな言葉を思い出します。


インフルエンザとコロナとごちゃ混ぜになって風邪が流行っているようです。
どうぞ、皆様お気をつけて、そしてドクターのみなさま、どうぞご所蔵の絵画に癒されながらお仕事に頑張っていただけますようお願いいたします。



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初売り

2022年01月07日 | お納めの前に
昨日より早速お客様にご来店のご予約を賜っております。誠にありがとうございます。


本日は、以前より丘人の素描にご興味をお持ちくださっていらしたお客様がお立ち寄りくださいました。

このお客様は、お仕事柄からか、いつも大変「味わいの深い作家」「渋い作品」に目を向けてくださる
方でいらっしゃるので、当店の作品に感想をいただくのを私は楽しみにさせていただいています。


「画像や以前拝見したイメージより、額が大きくて自分の部屋には飾れないので」と
今日は、お目当ての丘人でなく、隣の川上澄生の版画をお求めくださいました。

本当は、あの作品が欲しいのですけれど。。。

と教えてくださったのは




なんと放庵の短冊の書!

「しぶーぃ」

「こんな作品を自分の部屋に飾ったらかっこいいじゃないですかぁ〜」

「まぁ、ありがとうございます。これは、私たちが一番長く、大事にしている作品です」


お客様は、大学のデザイン科のご卒業だそうで







この梅原のブロンズも

そして







この舟越のブロンズも褒めてくださいました。

舟越桂さんはご存知でも、お父様の保武さんをご存知ない世代も多くいらっしゃいますね。

このブロンズのどこをお褒めくださったかというと

「髪」

立体を制作するとき顔を上手く作れても、この毛流れ、髪を作るのが大変難しいと
お教えくださいました。

なるほど、今まで全く気づきませんでしたが、この髪のボリュームは大変リアルです。

またこの角度から撮影してみると、毛流れがとっても綺麗です。


各お客様の目線の先を追わせていただくことは、私たちにとって大変勉強になります。

今日も作品の感想をお聞きして、とても良い刺激を頂きました。




お帰りぎわには、森芳雄の作品もご覧くださいました。

「赤い部屋」は以前もご覧いただいたと思うのですが、やはり絶賛くださり、嬉しくなりました。





今日は佐橋も出社し、資料作りや掛け替えを一緒にしてくれました。

とても寒い1日でしたので、三時間程で帰宅して貰いましたが、2人で店に居られる安心をしみじみと味わう事が
でき、良い仕事始めの一日を過ごす事ができました。









コメント (1)
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