つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

2022年08月25日 | 斉藤茂吉




名古屋も雨が強くなって参りました。

一雨ごとに秋が近づく季節だとは思いますが、出来るならは日本中のどなたにも浸水などのご苦労なく、新しい季節をお迎えいただきたいと願うばかりです。

斎藤茂吉の書軸とのお付き合いも随分長くなりました。






茂吉がとても緊張感を持って文字を書き、また表装も大変立派で粋なので、気に入って長く所蔵しています。

夏の短歌。


「いそぎゆく 馬の背中の氷より 雫は落ちぬ 夏の山路に 茂吉 」


真夏はもちろん、夏が終わっていくこの時期の少しさびしい心を優しく掬い取ってくれる、「刹那」を感じる歌です。


奇しくも「馬」の歌ですね。







日本の近代化は美術ばかりでなく、文学、俳句や短歌、詩の世界にも大きな影響を残しました。

そして、美術、文学の境界線も曖昧になるほどその芸術家たちの交流は盛んな時代であったと思います。


季節感とともに、私たちは「自然や人と交わる心」「情緒」を凄まじいスピードで失ってしまっているように感じられて仕方ありません。


もう一度!ではなく、新しく!近代美術、文学、芸術に触れ直してみるのも良いのではないかと思うのです。


※斎藤茂吉 軸  絹本・墨 「いそぎゆく」 茂太箱 20.5×18㎝ (軸装 軸先幅37㎝ 長さ105㎝)

大正14年 歌集 「ともしび」より  450,000




~◇ 10万円以下  ◇彡 10~30万円  ~☆30~50万円 ☆彡 50~100万円 ~☐ 100~200万円  
☐彡 500万円以内








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏休みをいただきます

2022年08月13日 | 堂本印象
山の日には、お仕事をいただきましたので、昨日から夏休みに入らせていただきました。

お休みに入った途端の台風の情報。

今の所は雨もなく、気温が低いことに心身共にホッとリラックスさせていただいています。


皆さまはいかがお過ごしでいらっしゃいましょうか?

お盆の行事も宗派によって様々、またご家族との過ごし方もそれぞれでいらっしゃいますね。

施設に居る佐橋の母とも会えない生活が続いています。92才、先日届け物をした際に思いがけず会わせていただく事が出来たところ、佐橋に向かい、つまり息子に向かい「どなたさまだぁあも?」「覚えてくれちょーてありがとね」という言葉が返ってきたそうです。

無理もないこと。


佐橋にもそれほどのショックも無かったようですが、私はそれを聞いて嫁として少しショック、またその反面、力が抜けて楽になりました。


「忘れてくれている。」


誠に勝手なことですが、嫁としての呪縛から開放された気持ちになりました。

そして、私は既に姑でもあるので、嫁への感謝の気持ちでいっぱいになりました。

また母の名古屋弁が柔らかくなっている事にも少々の救いを感じました。



祖先のため、家族の為にとても忙しく過ごしながら、案外女性はこの時期自分の「ひとりよがり」の気持ちと戦っているような気がします。

「あぁ、早く1人になりたい、ホッとしたい」と思いながら、嬉々として家族の為に働いているということです。






善悪の区別を付けたら、もう生きていけない複雑な心を人はいつも抱えているように思うのです。












堂本印象 軸「旭光秋輝」

まだ入手したばかりですが、この作品を見る為なら夏休み明けの億劫も飛び、仕事に戻りやすいように思います。






落款も見事で、抽象の時期に近い制作だと感じられます。





印象の宗教観、偽りさえも善悪で分けず、全てを呑み込み、昇華させる力。

それがよく表れた思わず息を飲むような大変美しい作品だと思います。



立秋を過ぎ、お盆を控えた今こそ、皆さまにもお楽しみいただきたくご紹介をさせていただきました。
秋から年始迄、また機会あるごとにご紹介申し上げますね。



※印象の箱書き 3文字目が秋で良いのか?少し迷い、投稿が遅れました。
まだ調べている途中です。何かご意見が有れば、お聞かせいただけますと助かります。
よろしくお願い致します。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酒井三良

2022年08月08日 | 酒井三良
エントランスに三良の「柘榴」を飾らせていただきました。




三良の作品を守り、飾る表装は、どれも大変素晴らしく、特に「帰漁」とこの「柘榴」は長く掛けていても不安になる事は一切ありません。この表装代だけでも、現在の作品代金を大きく上回っていそうです。


三良作品は日本画の入門編とよく言われますが、私自身は入門より卒業篇にこそ相応しいのではないかと思っています。

例えば、書の行書作品では、特に顔真卿(ガンシンケイ)の素晴らしさは格別で、日本画でいうところの御舟、華岳の趣きがあり、現代書の基盤にもなっているところが多くありますが





楊凝式(ヨウギョウシキ)は顔真卿も深く学びながら、もっと自由に、自然に、天真爛漫に感じられる作品を残しました。



私は、60からの手習に、顔真卿よりもこうした清新の書を臨書したいと思っています。

冨田渓仙を超えて、三良の世界。。??。。かなり大袈裟な気もいたしますが😅

度々ここにもご登場いただく先輩画商さんに「三良が良いと今頃思えているんです」と私がいうと、とても驚いたお顔をされて「早く言ってくれればよかったのに、、三良は好きで集めていたんだよ。放庵もいいけれどね、放庵にさえもちょっと意地悪なところがあるんじゃないか?って思わせる温かみが三良にはあるんだよね」とおっしゃってくださいました。



そして、


またあっという間に作品をお集め直しくださり、私もあっという間に六点の作品を所有する立派な三良コレクターになったというわけです(^^)v

好み!全くその世界かもしれませんが、、既に一点は女性のお客様が「とても良い」とお求めくださいましたし、自信を持って機会あるごとに、少しずつ皆さまに三良作品をご紹介して参りたいと思います。

勿論、ご賛同頂けるお客様には喜んでお安く作品をお譲り致しますので、どうぞゆる〜いお気持ちでお付き合いください。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

香月泰男

2022年08月04日 | 香月泰男
前の記事に「名古屋より暑い新潟、山形県」と書かせていただきました。

そして、すかさず昨日から大雨の被害が広がっています。



自然というのは、本当に大変な力を持っていて、私達を守ってくれているのか?お構いなしなのか?

天に向かい、どうぞ極端なバランスの取り方だけはしないでくださいとお願いしたい気持ちです。

ひたすらに、皆さまのご無事をお祈りしております。
気をつけることが多すぎる夏ですが、どうぞ、どうぞお障りなくお過ごしくださいますように。






皆さまが「オアシス」とおっしゃってくださるこの店は、おかげさまで私達にとっても「夢の完成形」に近い店となりましたが、
いちばん大切なのは、この店を維持させていく事だと今更ながら気づかさせれます。


水鳥を水の上とやよそに見む 我も浮きたる世を過ぐしつつ 紫式部



水の上を美しく滑るように泳ぐ、例えば白鳥でさえも、その水面下で水掻きを広げ、せわしなく泳ぎ続けています。

その水鳥に思いを寄せる紫式部の、現実生活に対する憂鬱こそがあの源氏物語を生んだのだと思う時、私達の、そして皆さまの日々のご苦労がどなたかのお役にたつ事に繋がっているかもしれない。


そう思うことも悪いことではないように感じます。


自分達の辛いとき、皆さまのお苦しいとき、どんな時も私達が出来ることは、結局こうして作品を皆さまにご紹介し、ご一緒に鑑賞させて頂くことだけですが、今は先をあまり考えず、この事だけに幸せを感じさせていただきたいと思っています。





さて、






「誰の作品?良い作品だなぁ。えっ、香月?またまた佐橋さん、珍しい作品を。。
本当によく見つけてくるねぇ。」

「いつ頃の作品?お値段は?」


先週ご来店のお客様にいただいたお尋ねのままに書かせていただきました。



香月は1957年フランスからスペインを旅しています。

8号「トレド」東美鑑 はスペインの風景を描いた作品。

香月46歳頃の制作だと思われます。






香月の絵の旨さがよくわかる良い時代の制作作品。

しかもそれ程の価格ではない。


勇気を持ってここを持ってみることも、当店らしくとても素敵なことだと思っています。

ただ、香月作品をあまり飾ったことがありませんので、少し様子見をさせていただいております。

ギリシャ壺🏺←こんな絵文字もあるのですね!ビックリ🫢





ギリシャ壺を出して並べて、この位置に収まりました。
香月の存在感。ギリシャ壺に負けず、淡々としています。




この壁面の展示の2週間ほどの印象はとてもよかったので、まず皆さまに簡単なご紹介だけさせていただきました。

水墨画を見ているような印象といえばよいでしょうか?

しばらくまた2人で眺めて、香月作品についての当店のアプローチ方法を模索したいと思っています。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猛暑お見舞い

2022年08月02日 | 日記・エッセイ・コラム
猛暑お見舞い申し上げます。

もう、本当に暑い☀️😵としか言葉が出て参りません。

名古屋の暑さは格別!と偉そうにも言えません💦

予報を見ると、新潟、山形県の方が名古屋より気温の高い日がありますものね。

皆さまは、いかがお過ごしでしょうか?




ちょっと?かなり?早めながら、薫の「柿」を出しました。

クーラーをきかせていても、生花も傷みやすくなる季節ですので、少し色が欲しくなります。







お庭の雑草も焦げ枯れています。

7日には立秋を迎えますので、暑さが少しでも弱まる事を祈ってお軸の掛け替えをしようと思います。

皆さまも、どうぞご体調に十分にお気をつけてお過ごしくださいますように。

今週もよろしくお願い致します。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする