つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

2019/12/31

2019年12月31日 | 日記・エッセイ・コラム



年内にブログの記事をもう一つ!!

そう思って、29日からおうちの仕事を全速力で片付けました。

お掃除も、お料理も頑張りました。けれど、店にタブレットを忘れてしまったり。。
結局この大晦日の最期の30分しか時間が持てなくなってしまいました。



そんな中を「やはり自宅でも絵を見よう」ということになり
今日慌てて店から作品を自宅に運び込みました。

今日の佐橋美術店ならぬ、今日の佐橋家。参ります。



玄関には織田広喜の小さな作品を。これは佐橋が所有の作品です。

あ、大変!ゆく年くる年が始まってしまいました!







床の間には伊東深水のお軸「初で見よとて」
これは店で見るより、華やかで驚きました。
赤が効いていてお正月にぴったりな作品です。表装もよいので直ぐに土壁に馴染むのですね。







洋間には梅原のホノルルを飾りました。
私はこの作品が大好きです。

先日ハワイに出張に出かけた弟がホノルルの動画を送ってくれましたので、今度何とか工夫して
皆さまにご覧頂こうと思っています。






二階の床の間には、竹内栖鳳の「村居」
こちらも粋で、やはり表装の高級感が際立ちます。

今年はこれらの作品たちと越年致します。

皆さまどんな年末、お正月をお過ごしでいらっしゃいましょうか?

今年も多くの方々にご来店、またこのブログにお立ち寄りいただき、
沢山のお力をお分けいただきました。

佐橋と共に、心より感謝申し上げます。

どうぞ明年もよろしくお願い申し上げます。

あと1分です。

では、来年お会い致しますね。






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今週のお客様

2019年12月26日 | 日記・エッセイ・コラム

 

 

皆さま、クリスマスをいかがお過ごしでいらっしゃいましたでしょうか?

 
夫婦2人で過ごすことが多くなった私たちは、年々クリスマス意識?が薄らぎ、ケーキもなし!お互いのプレゼントもなし!
の殺風景なクリスマスを過ごしましたが、それはそれで何だかとってもよいクリスマスだとも思えます。
 
 
 
その分、今週もお客様が次々にお顔をお見せくださり、店の仕事に忙しく過ごさせていただきました。
 
また、アッパレお買物賞の副賞として粗品をお送りいたしましたお客様より嬉しいお便りを
頂くことができました。
 
 
一部をご紹介させていただきますと
 
 
 
 
先日はご芳書と共に、「アッパレお買物賞」を頂戴致しまして、有難く拝受致しました。

波光さんのお作品自体が此度の受賞に値すると考えますと、光栄でもあり些か面映ゆく

存じます。   中略
貴ブログ記事を、この一年、拝聴させて頂く機会をお与え下さいましたが、
様々なことを勉強させて頂きました。と同時に、その心柱に佐橋様ご夫妻の画商としての眼、
理想となさる考え方に触れさせて頂くことがあったかと存じます。本当の徒然であったよぅに想います
 
このお客様には、いつもお教え頂くことばかりです。
「心柱」というお言葉を頂いて、こちらこそ面映く、けれど今の私達の気持ち、
大袈裟に言わせていただければ覚悟のようなものまで拙いブログからお察し頂けて、
まことに光栄です。
「徒然」は①つくづくともの思いにふけること②なすこともなくものさびしいさま
③つくづく。つらつら。
絵を観るという事は、徒然の全ての意味に通じるものだと思っています。
どうぞこれからも「つれづれ」をお見守りください。
又、今回も梶田半古、小林古径の貴重な資料を添付してくだいました。
ステキなクリスマスプレゼントをありがとうございます。
 
 
 
 
ご無沙汰しております。


先日は、お買い物賞ばかりか素敵なダイアリーまで頂戴し、ありがとうございました。


「少女」は我が家のアイコンとして、玄関から見通せるリビングのペストポジションに飾ってあります。
いつも眺めては癒されております。


年末に向けて益々寒さも厳しくなりますが、どうぞ良いお年をお迎えください。
 
こちらは織田廣喜の少女をお納めさせていただいた東京のお客様からのお便りです。
都心の高層のマンションの夜景をバックに、あの少女が堂々とおしゃれに飾られているお部屋の
画像を添付してくださいました。
皆様にご覧いただけないのがまことに残念ですが「幸せな子だわぁ〜💖」と私は娘をお嫁に出した母親のように
とても安心致しました。ステキなクリスマスプレゼントに心より感謝申し上げます。
またお会い出来ますのを楽しみに致しておりますね。
佐橋は織田作品を隠してばかりいます。是非やっつけにいらしてください)^o^(
 
 
 
福井良之助の「こごみ」は皆様に大変ご好評をいただいている作品です。
女性の方も、男性の方も同じくらいの比率で「いいわぁ」「いいなぁ」とおっしゃってくださる
珍しいパターンです。
 
小杉放庵、山本丘人、福井良之助、織田廣喜。
佐橋がこの仕事を始めた最初から好きな画家達ですが、最近ではお客様がたにも
これらの画家達の作品をお認めいただけるようになりました。
 
もう少し私も勢力を広げたいと思うのですが、これがまたなかなか難しいのです。
佐橋に1番洗脳されてしまっているのは、私なのですね。これらの画家の作品がどんどん
好きになるのです。
 
来年こそは!もう少し、関東画壇の日本画家達の作品を扱いたいと思います。
 
まだまだ近代日本画壇には立派な画家達がたくさんいます。
 
 
 
ちょくちょく更新できない割に記事を書き始めると長くなるのがいけません💦
 
また年内に必ず記事を書かせていただきますね。
 
 
 
 
 
 


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佐橋美術店のクリスマス

2019年12月20日 | 日記・エッセイ・コラム
このところ、ご来店のお客様方にこのサンタとトナカイのお人形さん達が大人気。
「可愛い〜!!」とお誉めいただいています。




この「つれづれ」がお世話になっているgoo blogさんでは今、「クリスマス」をテーマに投稿を集めていらっしゃるので、当店の宣伝も兼ねてこの記事を投稿させて頂き、今年の佐橋美術店のクリスマスの思い出の画像をここに残させて頂こうと思っています。

今週も、多くのお客様が順にお顔をお見せくださったりお電話をくださいました。

お客様お一人お一人に「よいお年を」と笑顔でご挨拶をさせていただける幸せを味わえるのは、
こうして店を構えさせていただいているからだと思っています。

実店舗と同じように、ホームページやブログも皆様にお楽しみいただければ更によいのですが。。


少し早くなりますが、みなさまどうぞ良い週末、楽しいクリスマスをお過ごしくださいませ。
























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画家の言葉 高村光太郎の場合

2019年12月16日 | 日記・エッセイ・コラム
 
人は一度美にはぐれてしまふと、自己に内在する美意識の活動、即ち芸術精神そのものの存在をまるで棄てて顧みず、ただ自己以外に存在するものばかり追い求める。

芸術が物品となり、商品となり、そういう人達の所有欲に応ずるように作成せめられる。

書画骨董の鑑賞が必ず価格の興味を伴ふのはその故である。十萬両と聞いて、尚更一幅の書画がよくなるのである。
値段を想像しない鑑賞に気乗薄なのが書画骨董の特性である。純粋な芸術意識と骨董意識との差はさういふ際どいところによくあらわれる。

                              高村光太郎
  新しいホームページの巻頭には、毎月、画家の言葉を掲げさせていただいています。
今月は、上記の高村光太郎の言葉をご紹介させていただきました。
 
この文は2018年の当ブログ記事「美について」でもご紹介させていただきました。
光太郎はこれを画家や彫刻家、または芸術家全体へのメッセージとして書いたのだと思います。
 
ですから、コレクター様や、特に美術品の売買で生計をたてている私達がこの言葉をシミジミと感じ入ってしまっては
いけないとは思うのですが、
 
どうしても、私はこの光太郎の言葉にひっかっかってしまうのですね。
 
 
この後の光太郎の言葉は以下の通りです。
 
 
 
 
純粋な芸術意識と骨董意識との差はそういうふうに際どいところによくあらわれる。

自己に内在する美意識が活動しないから、美に関する限り此の世は人まかせになる。服飾の意匠は商人の手に左右され、街上の建築は便利と思いつきで勝手放題な形をとり、広告はますます悪どくなる。

現世の眼にうつるもの、耳にきこえるものが皆真の美とは性質を異にするもので埋められ、しかもそれを美と同質なものであるかのように欺瞞される。

それを何だか変だとすら思わなくなる。
むしろどうだっていい無関心のままに、あてがい扶持で平気でいる。

こういう状態が長く続けば一種の庶民的虚無感が広がり、迷信が力をふるい、人心は荒れすさび、しまいには敗北主義というようなものさえ擡頭しないとも限らない。

国民各自の中に埋没している美意識の自主的活動、即ち藝術精神の覚醒が、今日の場合芸術界に於けるどのような問題よりも緊要なのは、それが国民生活の最も根本的な救世的意味を持っているからである。

藝術精神とは、国民各自の外界に存在するものでなくて、国民各自の中に在って、毎日の目前的生活処理そのものを即刻即座に非目前的に自己みづから立ち上がって觀じ味ふことの出来るようにさせる精神力なのである。

生活に苦しみ、病に悩みながら、その苦しみ、悩む自己をもう一歩非目前的な世界から觀じ味はふことの出来る境地が芸術の心である。

それはまったく生活と同一体であって、しかも生活にふりまわされず、かえって生活を豊かにし、ゆとりあらしめる。非常の場合に驚き慌てない心を得させる。芸術精神は宗教のように現世から解脱させるのでなく、あくまで現世のままに味到せしめる。味ひ、愛し、到るところを美に化してしまうのである。


世人一般をこの芸術精神覚醒に導き、国民的美意識をまず日本国土の中に遍満させようと努力することが今日大切である。あらゆる施設も方策もこの方向を取らねばならぬ。日本人は古来わりに他国人に比すれば芸術精神を多分に持っている民族のように思われるから、その方向をたどっていれば案外不可能ではないかと思われる。

和歌や俳句の徹底的普及も有力な影響を与えるものと思う。
その他あらゆる意味で芸術作品、建築物その他を国民自身のものであると思わせる親近感に導く必要がある。展覧会などもこの建前から開催せらるべきことは言うまでもない。芸術作品と国民とを結びつける気運を作り出す方策などは尚今後の緻密な研究と思いきった実行を要する。

昭和16年1月
 












 
先日上京した際に、国立近代美術館さんで拝見した作品たちです。
 
梅原龍三郎
萩原守衛
富岡鉄斎
津田青楓
松本竣介
 
この作品たちのなんと優しく、美しいことでしょう。
 
それぞれの生に対する忍耐の結晶。
 
そして、それを見る私に、
 
私の日常のすべての出来事を
ある時は、梅原のように遠くから大らかに愛し、
ある時は、守衛のような熱情で抱きしめ、
ある時は、鉄斎のように深く楽しく突っぱねて、
ある時は、津田のように人懐っこく
ある時は、竣介のように静かに
味わい、
ことごとく美しい思い出に変えていく力を与えてくれる作品たちであると感じます。
 
美術品に触れるということは、自らも美しく生きる力を得るということ。
清濁混沌の世界にあって自らの生を活かしていくということ。
 
 
願わくば、当店の作品たちがそうした芸術的精神を大いに持ち合わせ、
お客様お一人お一人のお心を支える力を発揮できますことをいつも祈っています。
 
芸術的精神を持ち合わせる作品とは、もっとも絵らしい絵であるということでもあると
思います。各画家の個性が遺憾無く発揮された、大人の絵をこれからも吟味し選んで参ります。
 
各月末に、画家の言葉や詩などをHPでご紹介したいと思います。
ご覧いただき、お楽しみいただけましたら幸いに存じます。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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築地明石町

2019年12月02日 | おススメの展覧会、美術館訪問
ご紹介が遅くなりましたが、上京の際には勿論「築地明石町」を拝見してまいりました。





今まで出会った日本画の中で「黒」という色の美しさを最も日本人らしく表現できている
作品ではないかと感じました。




幻の作品、三点で5億円、それぞれの人物のバッグに描かれている建物、船、植物などなど

作品にまつわる話題にも事欠かず、清方作品を皆様にご覧いただける機会も増えると喜んでおりますが

この作品達の一番の魅力は、やはりタイトルに「お江戸」の地名がついているところだと思うのですね。

「築地明石町」こう聞いただけで、もう・・少し鼻っ柱の強そうな美人がすっと立っている気がいたします。

「足立区梅田」(私の実家です😓)では、こうはいかないのです。


深水も松園も、美を真摯に求め、絵画に「凛」とした女性の美しさを表現しようと努力しましたが
清方は、描く女性に決して責任を持たせ過ぎない。
清方の育った家庭、家族がそうであったのでしょうか?

女性は、いつも空気の中で生きて行く。風に吹かれ、雨に打たれ、おしゃれをしたり、お洗濯をしたり、子供と遊んだり、その場その場の「場」感じ、生きていく。

そして、その原動力となるのは、男性に愛されること。大きな愛に恵まれること。

清方はそれがわかっていたように感じます。


「女性をなんとか美しく描いてあげたい」清方のそんな言葉にも、画家として、また男性としての
清方の愛情を感じます。



今回に限らず、これからの展覧会で、ぜひ皆さまにも清方作品をご鑑賞いただきたいと存じます。


















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