つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

お客様

2015年01月26日 | 日記・エッセイ・コラム

 

雨の多い冬土用となりました。

土曜日には思いがけず、20代、30代のお若いお客様、というよりお友達がお立ち寄りくださいました。

50代にもなると、まだまだ若い!と張り切る気持ち、おぉ~老けたなぁ~と落ち込む気持ちが交互に

訪れますが、お若い方たちに囲まれるとき、何だかとっても嬉しくて

もしかしたら、その気持ちが年を取ったという一番の証拠なのかもしれないなぁと感じます。

楽しい、頼もしい週末の時間を過ごすことができました。ありがとうございました。

 

そのお客様が昨日、私たちにメールを送ってくださいました。

佐橋はこの仕事に携わり30年以上を過ごしてきたことになります。

この間にこの業界に入られ、また卒業されて行かれた方は多くいらっしゃいます。

彼はその中のお一人。私たちの後輩にあたります。

メールを大変うれしく読ませていただきましたので、少しご紹介させていただきます。

 

 

年賀状より新店舗を開かれたということを知り、ご挨拶に伺わせていただきました。まだ開店して間もないとは思えないほど落ち着いた良い雰囲気で、展示されている作品群も佐橋さんのカラーが出ていて以前のお店を懐かしみながら拝見させていただきました。

私の方は、家から車で5分の距離にある会社に転職してから丸3年が経ちました。「石の上にも三年」とはうまく言ったものでようやく仕事の方もそれなりにこなせるようになった感じです。

現職について具体的にはタイルの加工の仕事をしております。タイルはほとんど建築の内装や外装で使用されるものなのですが、施工する際に一部(特に角の部分や、端の部分)加工を必要とするものがありそれを作成しています。入社して一年は加工の仕事に精通するため工場勤務し、その後は営業が主な仕事で特に関西地区を担当しております。会社では新たに歴史好きで古美術好きの友人(私より4歳年下で4人の子持ちという猛者ですが)を見つけることができ、これも何かの縁なのかと感じております。

美術業界から離れてしばらく経ちましたが、今は再び美術愛好家として展覧会や骨董屋めぐりを楽しんでいる所です。一時はプロを目指して修行していたわけですからかつての素人のような見方はさすがにできなくなってしまいましたが、それでもずいぶん気が楽になったような気がします。やはり本当に好きな事を商売にするという事は案外難しいことなのかもしれません。(実際のところ修行中も自分が独立して美術商としてやっていくという姿をどうしてもイメージすることができませんでした。)

美術の世界も流行り廃りというのはあって新画の方はどうなっているのか詳しくは分かりませんが、古美術の方ではやはり中国物だそうです。日本の道具類は外国人コレクターが積極的に購入している銘柄(明治期の金工や根付、浮世絵、琳派あたりですかね)以外は相場が下がる一方だそうです。そういう意味で私の集めている物(茶道具や室町~桃山期の水墨画など)は流行から程遠いところに位置するものばかりという事になるわけですが、廃れていくものの中にも必ず優れたものがあるという風に考えています。というよりはモノ自体は変わらないが、モノの評価(人の見方)が時代や世相によって変化するといった方が正確かもしれません。新画の世界で例えば栖鳳や鉄斎が依然と比べて随分安くなったというのは、優れた仕事や哲学が理解されない時代になってきたと考えるしかないように思います。そういう意味では不幸な時代の到来ともいえるかもしれませんが、美術愛好家にとっては粘り強く優れた作品を提示してくれる店の存在が救いになるのではないでしょうか。佐橋さんは既にそのようなポリシーを貫かれて少しずつ地道に新しいお客さんを獲得してきたことと思います。

最期に、これからもどこかしらに佐橋さんのセンスが感じられる作品を拝見できることを楽しみにしております。

 

 

 

 

青春とは名ばかりの若さという混沌の中にあって、ご自分のお好きなもの、また美しいと思えるものに

出会えた方は本当にお幸せだと思えます。

また彼は美術品鑑賞を通して、いまのご自分の立ち位置がよくお分かりなられていて羨ましいとさえ感じました。

どうぞ、また収集作品などお見せくださいね。古美術にきっと私はチンプンカンプンでしょうけれど・・

チンプンカンプンなりの感動を確実にお伝えできると思います

 

ポリシーを貫いているのか、ただ時代に乗り遅れているのか?

日々迷いのなかにあって、自分たちでも自分たちのしている仕事がよくわかって居りませんが

ただ、今こうして新しい店が持て、お通いくださるお客様、お立ち寄りくださる方々がいらしてくださることにひたすら感謝申し上げるばかりです。

雨のあとは最後の冬の寒さが訪れるのでしょうか?

皆さまどうぞご自愛くださいますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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土田麦僊 軸 葡萄

2015年01月21日 | 絵画鑑賞

いよいよ私共の展覧会の最終日となりました。

今年はご案内状を差し上げてから間があいてしまい、

また展覧会を6日間しか開かせて頂かなかったのでご来店のお客様は少なくなりましたが、

お立ち寄り頂いたお客様には作品をゆっくりご覧いただくことができよかったと思っています。

お寒い中を誠にありがとうございました。

 

今回皆様におほめ頂いたのは上の画像の

土田麦僊 軸 葡萄  絹本・水墨 共箱 45.8×57.1㎝ 東京美術倶楽部鑑定書有 

水墨で地味な作品ですが、麦僊には珍しい「冴え」のある作品。

月の光に照らされた葡萄の房の輝きが見事です。

 

せっかく展覧会用に飾りつけを致しましたので、しばらく今の作品たちをこのまま展示をさせていただきます。

 

 

 

立春まであと二週間ほどになりました

お寒さ極まりますが、皆様どうぞご自愛くださいますようお祈りいたしております。

 ※作品画像は納品のため削除させて頂きました。

 

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熱田神宮 宝物館 新春記念展 「神剣 出雲の名宝」

2015年01月12日 | おススメの展覧会、美術館訪問

年明けに初詣も兼ねて、熱田神宮の宝物館に伺いました。

ちょうど宝物館では島根県(熱田神宮のご神体である「草薙神剣」が出現した地)に鎮座する出雲大社の

名宝展が開かれていました。

勾玉や太刀、特に国宝の秋野鹿蒔絵手箱の美しさには感激しましたが、やはり一番感動したのは

上の画像の「願開舟」です。

以下宝物館でいただいた資料の抜粋を載せさせていただこうと思います。

 

願開舟」がんびらきふね  40.9㎝ 10.6㎝ 江戸時代  出雲大社蔵

木製・素木で中央に内刳りを施し横にずらして開閉する蓋をもった小型船である。

表面には蓋部に 出雲大社様 土佐本山助藤寅年男

船体部に 天明元年 丑の十月十七日 の陰刻銘があり

本体の内刳り部には 15枚の寛永通宝が納められている

土佐本山助藤は現在の高知県長岡群にある地名で、当時この村で疫病が流行した際

村人が出雲大社の加護を求めた

祈願成就するも遥か彼方に鎮座する同大社へのお礼参りは叶わず

代わりに初穂料として寛永通宝15枚を納め吉野川上流の小川から祈りを込めてこの舟を流した

 

はたして18か月後の天明3年4月27日出雲大社に近い稲佐浜に漂着し、無事同大社に奉納され

時の国造千家俊秀により本山村民の崇敬の念が御祭神に奉告されたという

併せて同大社より社人を現地に派遣し、ことの次第を調査したところ、同村に住む志和九郎左衛門

が願主であることが判明した

吉野川を下り、瀬戸内海を西に向かって漂い、日本海に面する稲佐浜に辿り着く、

その旅程は1000キロmに及ぶ

「御神慮」という言葉もあるが その土地土地の人々が本舟を打ち上げられているのを見つけ

出雲大社に届くように船首を向けて手を差し伸べたのであろう

先人のまごころと同大社への崇敬の篤さを物語る宝物である

 

 

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Fw:見過ごした〓

2015年01月09日 | 日記・エッセイ・コラム

新年あけましておめでとうございます。

皆様お元気にご越年のこととお喜び申し上げます。

おかげさまをもちまして、私たちも元気に仕事初めの日を迎えさせて頂きました。

 

毎年恒例の新幹線からの富士山の写真。

なんと今年は佐橋が新幹線の車中で寝過ごし[(-.-)Zzz]( ̄q ̄)zzz

富士山が小さくなってしまいましたぁ~

何の暗示だろう??などと余計なことを考えず今年も佳い作品と出会えますよう努力してまいります。

よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 



 

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