このところ自分でも凄いなぁ〜と感心しているのが、各展覧会の会期はじめに美術館さんに伺い、皆さまに展覧会のご紹介ができている事です。
いつもは最終日に出かけることが多いのに。。です。
さて、相当の混雑を予想して、お安い駐車場を探して向かった名古屋市美術館さんでしたが、日曜日の夕方、思っていたような混雑はなく、「ビュールレ・コレクション展」をゆっっくり鑑賞させていただけました。
スイスのビュールレ美術館は、ドイツ生まれの実業家エミール・ビュールレが1937年より約20年の間に収集した作品を展示する美術館でしたが、世界的に話題になった盗難事件などの影響もあってでしょう、作品所蔵、保存の困難から2015年に閉館し、この印象派を中心とする一大コレクションは、2020年よりチューリヒ美術館に移管されることになりました。
1人のコレクターによって成し遂げられたプライベートコレクションとしては、質、量ともに世界トップクラスであり、特に、印象派とポスト印象派作品の充実ぶりには目を見張るものがあります。
展示最後の、日本初公開モネの壮大な「睡蓮の池」はわかっていながら「本物かしら?」と思えてしまうほど、
今まで拝見した睡蓮の池のなかでも1番見事な作品でした。
どんなに資産がお有りでも、今の時代にこれだけの作品を集めることは不可能だと思えますので、この時代にはまだこうした作品を求める事ができたのだと驚きました。
ルノアールの少女は超一級、セザンヌの人物も、モネもマネも、ゴッホも、ゴーギャンも、ドガも
本当に素晴らし作品ばかりで 「至上の印象派展」に何の反論もできないのですが
やはり夏休みの企画ということがあるからでしょうか?
このパンフレットの
優良選抜(ドリームチーム)
最強の美少女(センター)というコピーや、
美術館さんの設営、作品のそれぞれの後ろに赤や青の壁紙を貼り、作品を際立たせて見せる工夫が、
少しこのビュールレさんというコレクターさんのお心とは遠いところにあったのではないかしら?と感じてしまいました。
そして、海外旅行など全く行ったことのない私ですが、ぜひビュールレさんの邸宅を改造されて作られたという美術館さんにこの作品達が実際に展示されているところを拝見に伺ってみたかったと思いました。
私の持っているルノアールの絵葉書たちです。
世界各国の美術館さん所蔵の作品ですが、このなかにあって、ルノアール渾身の作品であるはずの、まして8歳の「イレーヌ嬢」がとても寂しいお顔をされているのに気づきます。
この展覧会場の作品をよく拝見して歩いていると、どの作品も超一級の作品でありながら、全て少し寂しい印象を与えていると感じたのは私だけでしょうか?
絵を見るのは、何のためか?
まして、それをどうして一生の仕事にしたのだろう?とよく考えます。
川端康成や小林秀雄のような一級の芸術家、思想家が美術品の虜になったのはなぜだろうと考えます。
まだその答えを私自身は探せていませんが、
物言わぬ絵画を見るとき、私はそれを描いた画家の心を覗きたいと願っていますし、美術品に魅せられたコレクターの方々がそのコレクションに表現する美意識、孤独感、愛情に少しでも触れさせていただきたいと思っています。
そして、それをすることが、時には人間を狂気の世界に誘ってしまう美術品に触れる者の矜持となるように思っています。
そこに、ルノアールがいて、セザンヌがいて、、ビュールレさんがいらっしゃるということを感じることのできる自分。
結局自分の存在をきちんと感じることが大切なことのように思うのです。
名古屋は今日も酷暑の1日となりました。
皆さま、どうぞお元気に8月をお迎えくださいますようお祈りしています。
名古屋市美術館開館30周年記念