つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

一枚の絵ハガキにおもうこと

2017年11月28日 | 日記・エッセイ・コラム

神戸の小磯記念美術館にお出かけになられたお客様より、絵葉書のお土産をいただきました。

「人形」1970年 油彩・キャンバス 72.5×53.2㎝

割と大きな作品なのですね。記念美術館さんには何度かお邪魔していますが、この作品は私の記憶では

拝見したことがありません。

 

1970年というのは小磯良平の一番良い時、佐橋はその前後5年を小磯の黄金期と呼びます。

西洋人形だと思いますが、ふっくらとした頬、人形らしい足の置き所などとても可愛らしいですね。

また小磯らしいベージュと基調とした色使いも私は好きです。

(それにしても、この座面の横に添えられたピンクの四角いものはなんでしょうか??携帯?

佐橋は後から先生が足したんだよ。色が寂しいから~と言っていますが本当でしょうか?)

 

小磯作品に登場する人形は、人形としてそこにあります。私たちと日々、一緒に暮らしてくれる人形です。

人形は物を言わず、こちらが明るい気持ちで微笑みかければ、微笑み返してくれる。

こちらが寂しいよと言えば、寂しいねと返してくれる、そんな存在ではないでしょうか?

 

 

小磯は誰よりも卓越した技術と、センスで、近代日本の洋画壇に大きな仕事を残しました。

日本画の杉山寧と同じように、あまりに技量がかち、一見その作品に冷たさを感じますが、

「小磯は筆を動かせば動かすほど、無に近づき、時間を止めてしまう。」

「その作品を鑑賞する私達も、感動しながらも、心を静かな世界、生死ギリギリの無の世界に導かれる。」

という印象を今私は強く持っています。

 

 

先日あるブティックに初めて伺ったとき、小磯のリトグラフをお飾りでしたので

「良い作品ですねぇ~皆さんよくご覧になられるでしょう。」とお声がけすると

「そうなんです。婦人ものが多いのですが、男性の方達が店のこんな奥にある絵をショーウィンドウから見つけてくださるのですよ」

とおっしゃいました。

「お医者様?」とお聞きすると

「そう!お医者様が多いです。」とお応えくださいました。

 

小磯ファンがお医者様に多いのは、製薬会社のカレンダーのせいだとばかり今まで思っていたのですが、

この頃どうもそれだけではないぞ。。ふむ、怪しい"(-""-)"と考えはじめています。

お医者様に杉山と小磯のファンが多くていらっしゃる理由をいつか突きとめたいと思っています。

ヒントはこの人形かもしれません。

お医者様が人間をどのように?また人間としてのご自分をどのようにお感じになられているか?

に答えがあるような気もしています。

以前4号の作品を持ち、かなり研究させて頂いたので、しばらく小磯作品にはご縁がないのかもしれませんが

もういちど、あの小磯の無の力、空間の支配力、重みを味わいたいと願っています。

 

 

 

 

 

 

 

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一宮市博物館 川合玉堂展へ

2017年11月25日 | おススメの展覧会、美術館訪問

すみません。またまた私お得意の会期の終わる展覧会のご紹介をさせていただきます(^-^;

 

今日は土曜日で当店は午後からの営業でしたので、朝早めに佐橋の運転する車に乗り

一宮市の博物館さんへ伺いました。

高速道路を使い30分ほどのドライブの後、川合玉堂展を拝見して参りました。

郷土ということで、一宮市博物館さんは玉堂の作品を多くご所蔵でいらして、今回はパラミタミュージアムさんからの作品と合わせての展示をされていました。

玉堂の若い頃15才~20才ぐらいまでの素描、スケッチの技量には何度見ても驚かされます。

 

そしてやはり、玉堂の作品は本当に全て清らかで美しいですね。

晩秋の紅葉から、初冬の空気が凛としてくるこの時期に

玉堂の作品の鑑賞はぴったりと合うように感じられ、清々しい気持ちで一宮を後にしました。

 

午後からは、お声がけをさせていただいたお客様とご一緒に、とても静かなよい時間を過ごさせていただくこともできました。

 

なにかと気忙しくなる師走直前に、大変有意義な一日を過ごしました。

 

 一宮市博物館開館30周年記念特別展

没後60年川合玉堂展 移ろう四季と人々の暮らし

展覧会は明日26日日曜日までです

 

 

 

 

 

 

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東北新幹線

2017年11月25日 | 日記・エッセイ・コラム

23日の勤労感謝の日に佐橋は新幹線を乗り継いで日帰りで盛岡へ向かい

藤井勉先生のお別れの会に参列させて頂きました。

写真は東北新幹線のこまちとはやぶさの連結部分だそうです。

2つの新幹線は盛岡までは一緒に。

そして、盛岡から赤いこまちは秋田へ。緑のはやぶさは青森、函館へ向かいます。

東海道新幹線に比べて車幅が狭いようですが、外装も内装もなかなか贅沢ですね。

車両のクラスによってはお食事やお土産もつくそうで、まるで飛行機の旅をしているようですね。

 

 

藤井先生には、長くおつきいあいを頂き、本当に多くの作品を送っていただきました。

お別れがなかなか実感できずにおりましたが、佐橋が盛岡に出掛けてくれましたことで

私の気持ちも随分整理できたと思います。

 

私は名古屋に残り、お客様のご紹介で、京都大学のカール・ベッカーさんの講演会に出掛けて参りました。

外国のお生まれの方に、日本の文化や日本人の精神、死生観を学ぶというのは新鮮で、かえって多くの発見がありました。

 

 

息子の独立で、夫婦それぞれが一人で行動する機会がかなり増えましたが、

それはそれで忙しく、けれどちょっぴり寂しく、なかなか大人の時間を過ごしているなと思えます。

なんといっても、絵をより愛情深く、豊かに鑑賞できるようになった気がしています。

負け惜しみかな??

 

 

 

 

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木島櫻谷展(このしまおうこく)

2017年11月22日 | おススメの展覧会、美術館訪問

京都の私立美術館、泉屋博古館さんは 住友コレクションを展示される美術館さんで京都も東京も

とても趣のある建物をお持ちです。

また住友さんならではの青銅器のコレクションは質、量ともに大変レベルが高く、拝見する度に発見があり驚きを感じます。

 

館内中庭より東山を望む

 

 

この日は、京都駅周辺の喧騒をのがれ、紅葉を楽しみながらゆっくり木島櫻谷展を拝見することができました。

 

 

櫻谷は動物の描写を多く手掛けた日本画家として有名です。

線や色彩、構成に画家ご本人の「間」というのでしょうか?

人間性の素直さ、優しさが感じられ、展示は沢山の作品というわけではありませんでしたが

観賞後の気持ちの落ち着きを私自身が強く感じられました。

ただ、大変残念に思ったのは、60代始めでの交通事故での他界によって、

更なる画境の深まりを得られなかったということです。

洋画家の成熟は割と早い時期から始まり、その曲線はなめらかのように感じていますが、

日本画家はそれより遅く、60代後半~70代を一番の頂点にグッとその画境を深めていく

印象があります。

それまでの個の内側の表現から、自然への回帰、自己の解放というのでしょうか。。

簡単に言えば宗教色を強め、より精神性を増していくのです。

勝手な私見で恐縮ですが、櫻谷のその後の作品を是非観てみたかったとつくづく感じます。

 

京都ではいま、櫻谷文庫さんの企画により木島櫻谷の旧邸宅が公開されています。

また京都文化博物館さんでも「木島櫻谷の世界」が開催中です。

私たちはこちらには伺えませんでしたが、合わせてご覧くださるとよりお楽しみいただけるかと存じます。

お時間がございましたら、是非お出かけくださいませ。

 

 

 

 近代動物画の冒険 生誕140年記念 特別展 木島櫻谷 泉屋博古館 12月3日(日)まで

京都市指定重要文化財 木島櫻谷旧邸特別公開 櫻谷文庫 12月3日(日)まで

 「木島櫻谷の世界」京都文化博物館 12月24日(日)まで

 

 

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京都国立博物館 国宝展へ

2017年11月21日 | おススメの展覧会、美術館訪問

上野に続き、この日曜日には京都に出掛けて参りました。

泉屋博古館の木島桜谷展と博物館の国宝展を見学するためです。

この日もとても寒く、 空いている時間を狙って伺った博物館では急に雨が降りだしました。

傘を持たない私たち。

 

少しでも早い順番をと私は一目散に正面門から館内に走り込みました。

走る途中、みなさんが「アッ!虹!」と歩みを止めて虹の写真を撮っていらっしゃるのを

「シメシメ、順番待ちが少なくなるわ~」私は足を止めずに走り続けました。

きっとその時の私は鬼ばんばの形相だったと思います💦

走りながら、きっと佐橋は足を止めて虹を写真に撮るだろうという確信もありました

 

午後からは30分待ちという案内をしてくださっていましたが、館内での行列なので雨に濡れず、

しかも走った甲斐あって20分ほどで国宝展を拝見することができました。

さすがに、館内の混雑で作品をゆっくり鑑賞できませんでしたが、お目当ての幾つかの作品に触れることができましたので

満足しています。

 

そして、

やはり佐橋はバッチリ虹の綺麗な写真を撮って、後から私を追いかけてきてくれました。

国宝より虹か? ・・

今回は、虹かな?と思います。

 

 

 

 

京都国立博物館 開館120周年 記念特別展 「国宝」 11月26日(日)まで

どこを見渡しても、国宝ばかり。100パーセント国宝の展覧会です。

 

 

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