つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

福井良之助 銅版画

2023年02月24日 | 【版画】
福井の銅版画を仕入れさせて頂きました。




33×39.3㎝の少し大きめの版画になりますが、福井らしい重厚感と洒脱さがよく表現されている作品だと思います。

56/75  「家」


どこにお飾りいただいても、お楽しみ頂けるかと存じます。




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速水御舟展

2023年02月23日 | おススメの展覧会、美術館訪問
先日もお知らせ致しました通り、茨城県近代美術館さんにて、速水御舟展が開催されています。






ご紹介のYouTubeなどを拝見すると、今まで見たことない御舟作品が
多く出品されているようです。

3月26日までの開催。

休館日などはHPにてご確認くださいませ。











追伸

当店にまだ少しチケットがございますので、ご希望の方にお譲り致します。
よろしければ、下記アドレスまでご連絡を賜りますようお願い致します。

sahasi200@castle.ocn.ne.jp


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高村光太郎 書の深淵

2023年02月22日 | 日記・エッセイ・コラム
先週はご来客も多く、それぞれにお好みの作品をお楽しみくださいました。

20年の年月を経て、当店の品揃えもある一定のレベルに到達したかと思えるのは、こうしてご来店の皆さまが
当店でお好みの作品をお見つけくださる時です。

けれど、作品に対してお持ちくださる皆さまの感動や例えばご予算などに対する迷いは、そのまま私たちの感動や思いとなり、
作品の鑑賞も含め、「感じる」ということに時々ヘトヘトに疲れてしまう事があるのですね。

そんな時、私は、やはり好きな本を読んだり、この頃では将棋のことは全くわからないのに、どういうわけか?王将戦や棋王戦の
藤井さんや羽生さんの「考えている姿」を中継でボーと眺めたりして自分を取り戻す作業をしています。


洗練されるとはどういうことか。それは、無駄をなくすること。完全に無駄がなくならないと絶対に美しくはなりません。美しい手を指す、美しさを目指すことが、結果として正しい手を指すことにつながると思う。 

「捨てる力」羽生善治







以前にも書かせていただきましたが、書のお稽古に通わせていただいて既に4年が過ぎます。
「上手」は一向に妹には敵わず、それでも、書を通して作品を観る目は随分養わせてもらえたという実感があります。

書いたものは、必ず佐橋に見せ、清書を選んでもらうようにしていますが、中国、日本の古典、名跡に触れながら、佐橋自身も美術品全てに対する鑑識眼の向上を感じてくれているようです。








高村光太郎の「書の深淵」という本も初めは、読んでいても全く懐に入ってこない部分もありましたが、
今では、やはり光太郎は素晴らしい!と感動し、心に大きな力をもらう事ができます。









智恵子の縫ったという絹の袋に光太郎が自身の短歌を添える。

そして、近代という時代に出くわした光太郎の苦悩が一挙に作品に昇華されたあの木彫の名品達が
一つ一つここに収められていきました。







天上にひびき、光とよもす
夏の日のうたのうたひて
さびしき小蝉


大正13年 42歳





書は人なり。

画家の書は、書の世界では邪道扱いをされることがほとんどですが、光太郎の書は日本の近代書の
歴史にもその名前を残しています。





光太郎が最も愛したと言われる書の一つは、黄山谷、宗時代の黄庭堅の作品です。



書聖王羲之の時代から、唐時代を経て、新しい書のリズム、展開に
挑んだのが、この宗時代の書家たちです。


さてさて、この書を私はどこまで味わう事ができるのでしょうか。

益々「線」への興味は深まるばかりです。


そして、書の深淵、美の深淵に近づく道は、険しくなるばかりのようです。

企みや欲を削ぎ落とし、また削ぎ落とし

それはただ自身の中に企みや欲が有るという事を認めるだけでよい作業だと思えるのですが、、

少しでも高く、卑しさのない、美しい作品達に出会っていきたいという願いは消えません。


自分を確かめるように、また時々、書のお話もさせていただきたいと思います。









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本棚

2023年02月08日 | 日記・エッセイ・コラム
火曜日、図書室のお掃除をするために、久しぶりに舟越保武のローラさんを移動させてみました。

するとしばらくブロンズの陰になっていた本棚が見えて





思わず掃除機を置いて小さな本を手に取りました。





パウルクレー!!

以前何度かペラペラと捲ったことはありましたが、今回少し読んでみると
クレーの日記の言葉がとても素敵で、またクレーの作品に触れた日本の芸術家たちの言葉や詩にも大変感動しました。

情報が多すぎて、見失ってしまうのですね。
今まで自分が何を求めてきたのかを。

歳を重ねれば、情報に惑わされない強い自分を作れると思っていましたが、
筋肉の衰えは、心の衰えにもつながっているかのように、
既存のものや、権力的なものについ磁石のように引きつけられそうになるのです。






ぼくは手を休める。ぼくのなかで
奥深く、優しくわきおこる思いがある。
ぼくはそれを感じる。
苦労もなく自信に満ちあふれた何かを。
色彩がぼくをとらえたのだ。
ぼくの方から追いかける必要もない。
色彩がいつでもぼくを捉えるだろう。これが幸福というものだ。
色彩とぼくはひとつになった。ぼくは絵描きなのだ。
〈クレーの日記より〉



ハッと我にかえる機会を与えてくれるのが、絵画作品なのだろうと思います。
絵描きが表現した「奥深く、優しくわき起こる思い」をその色彩や線を通し感じ、自分の思いにつなげる。
それが絵を見る人の幸福というものだろうと感じます。






ぼくが形あるものを観察するのは
芸術の表現のためであり
そこに、ぼくたちは自身の魂をも
のぞき込むことができる。
哲学と人はいうが、たしかに哲学には
芸術に似通ったものがある。
はじめは哲学がどれほど魂を観察できるかを知って
ぼくは驚いたものだ
〈クレーの日記より〉

絵を見ることは、自分の魂をのぞき込むこと。



時々この本を開き、またクレーの言葉などをご紹介したいと思います。














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山口薫作品

2023年02月06日 | 山口薫
久しぶりに山口薫作品を応接室に出しました。

思うに、これほど「当店の山口薫らしい作品」はないように感じます。

詩人 < 絵描き  の作品といえましょうか?

「湖畔を飛ぶ影」

ともすると中学生も描きそうな場面に湖畔という音の響きを選ぶ薫のセンス。

計算された遠近と観る者を「人恋しくさせる」美しい色の展開。










日本人の素晴らしさは境界線を引かないこと。

こうして薫作品を見ていると日本画への理解が一層深まるような気がし、逆に日本画を鑑賞せずに日本近代洋画を味わう事はできないように思えてきます。


また明日以降、展示の様子を御覧いただこうと思います。

今週もよろしくお願い申し上げます。







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