つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

クリムト展

2019年07月26日 | おススメの展覧会、美術館訪問
台風が近づいて、名古屋は風が強くなって参りました。

皆さまのお住まいの地域ではいかがでしょうか。

さて、当店の展覧会のご案内の前に、先日伺ったクリムト展について少し書かせていただこうと思います。

といっても、クリムトについてはウィーンにご旅行に行かれたり、また各展覧会や画集などで、きっと皆様のほうが画家自身のことや作品についてお詳しいだろうと思いますので、今回は「私はクリムトのどこか好きか?」についてだけ触れさせていただこうと考えています。



まず、好きだなぁと思った作品の絵葉書のご紹介を・・




黄金様式の時代の作品を除いてはこんな絵葉書を求めました。

代表作といえば、代表作ですね。







クリムトは1862年7月14日ウィーンの金工師の家庭に生まれました。

家族を大変大切にしたといわれたクリムトは、若い頃に父や妹・弟の死、また母や姉の鬱病に接し、人の生死について深く感じ、考えながら自身の人生を歩んだようです。

クリムトがどのように優しい人であったかは上の写真からも想像できるように思います。






クリムト19歳〜20歳ころの作品です。

クリムトの素晴らしさは
その〝描く線の揺るぎない美しさ〟と、
描くという行為の〝丁寧さ〝にあるように思っています。








ウィーン工芸美術学校で共に学んだクリムトとフランツ・マッチュが同じモデルを描いた作品です。図録の解説には「肖像画の注文制作でなく、おそらく学校の課題であったと考えられる」とあります。(向かって左がクリムト作品です)

この少女の肖像画はどちらも大変素晴らしい作品だと思い、感動いたしました。

どちらの作品も描かれた少女の表情はちょっと哀しげです。そして大変美しい。


お好みにもよると思いますが、やはり私はクリムトの作品の方に興味を持ってしまいます。

マッチュは「悲しげな少女を見ている」
クリムトは「少女の悲しみのひとつに触れたいと思っている」

そんな印象を受けてしまいます。




今回の展覧会で、クリムトがいかに日本の美術、特に工芸品に興味を持ち、その技法を多く学んでいたかを理解することができました。


そしてそれを踏まえ、黄金様式の時代に、クリムトがクリムト独自の画境を展開してゆきます。

琳派の時代も、そして現代も日本画に金を用いる技法はさかんに行われますが、このクリムト作品のように「黄金という色の持つ儚さ」を表現できる画家はなかなかいなかった、また居ないと思えます。

まさにクリムトの〝金色〟です。


今回のクリムト展では1〜8章の区分に分けて作品を展示、紹介してくださっています。

最後の第8章「生命の円環 」のブースに展示された作品達を拝見すると、クリムトの心のうちを少し感じ取れる気がいたしました。

東京でのこのクリムト展では57万人の来場者があったとお聞きしました。

よくある夏休みの美術館イベントであるかのようでありますが、なかなかに奥の深い展覧会。

きっとどんなに幼い方のお心にも、クリムト作品は何かを伝えてくれるように思います。

よろしければ、ぜひご家族皆さまでご鑑賞くださいますようお願いいたします。


豊田市美術館   10月14日まで













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松岡映丘

2019年07月13日 | 松岡映丘
なにやら秋までに、ホームページを再構築しなくてはいけないそうで・・
 
今週はパソコンに向かい、なにをやっているのか?
自分でも訳のわからない作業ばかりをしているので、眼も頭もクラクラになりました😵😵
 
 
 
今回こそ、専門の方に代行をしていただこうと思っていたのですが、イライラしながらもパソコンに向かうのは少し自分に向かう作業に似ているところがあり、した事はちゃんと残る、中途半端は残らない、案外気持ちのよいものだなぁと思っています。
 
来週にはなんとかしたいと思っていますが、やはり結局代行作業をお願いしたりして。。まぁ、それもよいですね。
 
 
 
 
神戸でご活躍の画商さんから、古本屋さんでおみつけになられたという松岡映丘の図録をお送りいただきました。
 
 
 
私どもの所有しております「春宵」を以前ご覧くださり、それを覚えていてくださって、お心配りを頂いたのです。
 
戦前の図録、白黒ですが、「春宵」がこうして堂々と掲載されている図録を見るのははじめてのことです。
 
 
2011年に姫路などで開かれた映丘の展覧会図録にも
略歴のページに昭和12年制作の参考作品として、小さく掲載されているだけです。
 
松岡映丘は最晩年に代表作と言えるような、濃密な作品をいくつか残していますが、この「春宵」もその一つだと考えています。
 
 
主に桜の時期に飾らせていただいていますが、何度見ても、美しい、そして深い心のある作品です。
 
心ある作品には、心ある扱いを。
 
お仲間にも学ばせていただくことばかりです。
 
7月末より1週間ほど、展覧会を開かせて頂くことにいたしました。また、近くご案内申し上げます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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斎藤典彦作品

2019年07月08日 | おススメの展覧会、美術館訪問
 
ショーウィンドウに、斎藤典彦さんの2000年と2002年の作品を飾らせていただきました。
 
今の季節によく似合う色使いだと思います。
 
 
 
丁度、東京の森田画廊さんで先生の個展が開かれています。
 
よろしければ、お近くの皆さま、是非お出かけくださいませ。
 
 
 
斉藤典彦 SM 紙本彩色rosy共シール 2000
 
 
斉藤典彦 SM 紙本彩色ながれの花共シール 2002
 
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コレクションの楽しみ

2019年07月07日 | 日記・エッセイ・コラム

https://artexhibition.jp/topics/news/20190625-AEJ87396/

 

清方の名品中の名品を秋に皆さまと共に拝見出来る事になったそうです。

 

44年間、ひっそりと個人のコレクターさまだけに愛でられてきた作品たち。

作品を追いかけ続けた代々の学芸の先生方のストーリーさえも豊かに呑み込んで、

きっと清方の描く婦人達は凛と美しく佇んでいるのでしょう。

必ず拝見に伺おうと思います。

 

 

 

 

 

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2019年07月02日 | 日記・エッセイ・コラム
この写真を携帯の中にずっと保存しています。
 
この5月に、豊橋の動物園、のんほいパークさんの雄ライオンのハヤテさんが亡くなりました。21歳だったそうです。
 
このハヤテさんには、オトさんという奥さんがいらして、2頭はいつも仲睦まじく、来園者の人気の的だったそうです。
 
豊橋はここからそう遠くはありませんが、私は残念ながらこのライオン夫婦にお会いする事は出来ませんでした。
 
 
動物園では、この写真で自殺防止のポスターを作られた事が有ると聞きました。
 
 
人間にも動物にも、品格というものがありますね。
私はここまで生きてきて、21歳のライオン、しかも動物園の檻の中に生きたライオンのハヤテさんにも格が及ばないか、、と思います。
 
 
 
 
 
 
 おっと、待って!
 
この最期の写真からするとハヤテさんの格を上げたのは、この強そうなオトさんの眼差し?
 
かかあ殿下に秘密あり?
 
 
 
 
6月、おかげさまで佐橋が無事に還暦を迎える事が出来ました。
 
そして、7月、新しい出発に夫婦のあり方をライオンさんに学びます。
 
夏休みに、ご主人を失ったオトさんを励ましに動物園に伺いたいなと思います。
 
 
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