つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

堀文子展

2011年05月23日 | おススメの展覧会、美術館訪問

堀文子展

名古屋から近鉄電車に乗って、三重県の津へ。

三重県立美術館の堀文子展に行って参りました。

堀さんは92歳になられる現在も筆を持たれ、作品を発表され続けていらっしゃいます。

この「鶴が渡る、ヒマラヤを越えて。」も昨年2010年の制作作品です。

今回の展覧会でまず驚いたのはご婦人の来館者の多いことです。

女性お一人で、またはお友だち同士で鑑賞されるかたがとても多くいらっしゃいました。

堀文子さんご自身の魅力から、またサライなど雑誌や本の挿絵を多く手がけられたことから、女性ファンが多くいらっしゃるのだろうと思います。

展示もまた、その現役画家ということに重きをおき、現在の作品から年代をさかのぼっていくというスタイルが取られ、とても面白く感じられました。

佐橋と私が堀さんのお仕事で一番と思えたのは、1950年代終わりから60年代はじめの作品群です。 写真のあじさい、また みにくいあひるのこやくるみわり人形の絵本の挿絵作品の色彩は深く優しく感じられ、私達の好みです。

堀文子展

帰りにこの展覧会の図録を見ましたが、これもまた女性が持ちやすく、可愛らしいサイズと装丁で…プレゼントさせていただきたい方がいらしたので思わず二冊買い求めてしまいした。

美術館の楽しみ方?楽しまされ方? 愉しく考えさせられる展覧会でした

※ 堀文子展 ~華々しい収穫のとき~

  5月29日まで 三重県立美術館にて

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吉田善彦

2011年05月13日 | 絵画鑑賞

吉田善彦

吉田善彦(1912~2001年)は、私達が特に好きな日本画家です。

吉田は、長年研究を続けた古画の風化した絵具の味わい、美しさを自身の作品で再現しようと試みました。

して、一度描いた絵の画面をもみほぐし、その上に金箔のベールをかぶせ、最後に本当の線引きをしていく吉田様式といわれる独自の技法を編み出しました。

その気品あふれる色彩と抑制のきいた線描による作品は、ともすれば地味にとらえられがちですが、

日本人として生きるとはどういうことだろうか?いつも私に静かに問いかけてくれるように思えてなりません。

画家は画家として、惜しむことなく無心に手を動かし続け、画面に投影されていく己と向き合う。

吉田善彦は、祈るようにひたすらそれを繰り返した画家ではないでしょうか?

30年前に、初めてその作品に出会った頃の自分の心を今回の展覧会の作品を見ながら遠く思い出しました。

絵は心。

師である速水御舟の言葉を誠実に受けとめた吉田善彦の作品は、来月半ばまで愛知県小牧市のメナード美術館でご覧頂けます。

※受け継がれる日本の美 特別企画展 吉田善彦・林功

  6月19日まで メナード美術館にて

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根津美術館

2011年05月08日 | おススメの展覧会、美術館訪問

根津美術館ではやはりこの時期にふさわしいコレクション展が催されています。

美術館の庭園に咲く本当のカキツバタと光琳カキツバタ・・こうして作品鑑賞と

庭園散策を終えてみると、どちらが欠けても寂しいような気がしてきます。

それにしても、この光琳のかきつばたの花の色の深さには圧倒されます。

どれだけ良い絵の具を使っているのだろう?触れてみたくなるほどの花びらです。

※コレクション展 国宝燕子花屏風2011

 5月15日(日)まで 東京 根津美術館にて

Img_exhibition_irises2011_2

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牛島憲之展

2011年05月08日 | おススメの展覧会、美術館訪問

Img_0069_8

ゴールデンウィーク中に、東京の渋谷区松濤美術館で牛島憲之展を、根津美術館でコレクション展を見て参りました。

熊本県出身の牛島憲之(1900~1997)はその青年時代の一時期を渋谷区で過ごしました。

今回の展覧会では東京芸大の学生時代の作品から、96才に描かれた絶筆作品まで66点の代表作が展示され、その画家としての一生を回顧できる展覧会となっています。

松濤美術館は、建物も美しく、たたずまいが静かで二階の展示室では中央にソファーが多く置かれ、四方の展示壁に向かいとてもゆっくりと作品を鑑賞できるようになっています。

「至高なる静謐」というサブタイトル通り、牛島作品には、その茫洋とした色彩による独特の世界観が表現されています。 日本の風土のもつ、湿度、趣が近代日本洋画らしくとらえられ大変印象に残る作品群だと感じました。

特に作家の80~90代の作品の画面の密度、作家の集中力は素晴らしく感動しました。96才の絶筆、「道一筋」、このタイトルにさえ驚かされます。

ときどき当店でも牛島作品を扱わせて戴く事がありますが、この展覧会を機にもっと多くの牛島作品に触れていきたいと思いました。

※ 開館30周年記念特別展  牛島憲之  至高なる静謐

  5月29日(日)まで 東京都渋谷区立松涛美術館にて

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