オリンピックの無観客開催が決まったそうです。
東京、夢の島の会場で7月29日に行われるアーチェリーの男女予選会のチケット2枚が当たっていたのですが、当時のテンションは保てず、東京へは行かずにおこうかと迷っていたところでしたので、心のどこかで少し安心いたしました。
オリンピック前後は、きっとしばらくまた新しい作品を仕入れることはできませんので、当ブログでは、皆様お馴染みの作品、また図書室にある図録から時々記事を書かせていただこうと思っています。
「佐橋さんは香月は扱わないのですか?」とお客様にご質問をいただくことがあります。
「扱わないということはありませんが、今、香月と守一は『高嶺の花』になってしまっていて、少しそれでいいのかな?と思う気持ちがありますので」とそんな風に佐橋はお答えしているようです。
日本近代絵画を扱うのなら、当たり前のように熊谷守一、香月康男作品を扱わせて頂かなくてはいけないのかもしれませんが、気の進まないことも頑張ってしよう!という年齢でもなくなって参りました💦
それでも、私個人としては香月を買うなら、帰国後まもなくの、あれば絵画の小作品か、作家手作りのオモチャ!
シベリアシリーズの作品は、きっと現代のお若い世代にはかなり重く感じられることでしょう。母子や父子、人気の題材さえも、かなり淘汰されていくのではないだろうか?と思っています。
・・と書けば、香月ファンの方々に怒られてしまうかもしれませんね。
もちろん、「ニュアンス」「アート」の現代に、真剣に香月のシベリアシリーズと向き合ってくださるお客様がいらしてくださればこんなに嬉しいことはありません。
香月の旅をテーマにした油彩画作品。右ページは1950年代、左ページは1970年代の作品です。
香月は1974年の3月心筋梗塞で62年の人生を終えていますので、左ページの作品は絶筆に近い最晩年の作品となりますね。
淡い作品であるけれど、香月独特のセンスの良さと空間に対する自由な心の広がりを感じることができるように思います。「香月ならこの年代」今はこう頭にインプットされて作品をお求めくださるお客様が多いので、この辺りの制作作品の評価は低いのかもしれませんが、案外ね、香月の素顔が見えるような気がします。
香月のアトリエと道具、オモチャの数々です。
60年の人生とシベリアの記憶。。
香月には、背負うものが大きかった故の画境の達成があったと思いますが、別冊太陽のこのページを開くたびに、私はなんだかとってもワクワクし、本当の香月に会えた気がするのです。皆様はいかがお感じになられるでしょうか。
さて、佐橋美術店が香月作品を扱わせていただくときは、果たしてどんな作品になるのでしょうか?
なんの予想も、想像もできませんが、「無い事は無いな」そう思い、作品との出会いを楽しみにしていたいと思います。
「本当の美しさとは描いた人間の生命力の強弱によるものと私は今はそう信じている」香月康男