決算作業がやっと終わり、一か月ぶりのブログ更新となりました。
この間も展覧会には出かけましたので、少しずつ感想を書いていきたいと思います。
8月の終わりに、東京都庭園美術館の見学を終えてから、おなじ白金台にある松岡美術館に伺いました。
こちらもゆったりと大変趣のある美術館で、所蔵されている古今の彫刻をじっくり鑑賞することができました。
なかでも一番感動したのは、やはり美術館の目玉でもあるガンダーラ石造彫刻群のなかの「菩薩半跏思惟像」です。
どんな言葉もいりません。何度見ても、ただ、ただ美しいと思うばかりです。
3世紀ごろの作品と資料にありました。中国や日本で好まれる思惟像の源流を示す菩薩半跏思惟像だそうです。広隆寺の半跏思惟像を初めて見たときの感動とよく似た感覚を覚えましたが
その姿が人間に近いだけに、より艶かしく、怪しく、哀しく 美しいと感じました。
光の浴び方次第で幾重にもその表情を変え、その美しさに感動して佐橋も私もしばらくこの像から離れられなくなったほどです。
前回触れさせていただきました有元利夫が生涯をかけてめざそうとした作品は
こういったものだったかもしれない・・
偶然にも同じ日に二つの美術館を見学し、この半跏思惟像を見てそう感じました。
長い月日をかけて人の目にさらされながら築いてきた作品の美しさには どんな優れた現代作品も太刀打ちできることない深さがあります。
人間にとって「時間」というものはどんなものなのか?
つくづくと 儚さと切なさを感じました。
今、10月になってこの8月の一日をふりかえってみますと「有元の作品はとても面白いが、
やはり高すぎるのではないか??」という思いがしてきます。