つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

梅原龍三郎

2022年01月30日 | 梅原龍三郎
昨日ご来店のお客様に、梅原の「裸婦豹」をお褒めいただきました。

「いつごろの作品?」

「大正時代、若い頃の作品ですよ」

「そうだよね。晩年の裸婦とは肉付きが違うものねぇ
 久しぶりに佳い梅原を見たなぁ」

と何度もご覧くださいました。


目の高さは天下一品のお客様!

が、卒なく画商とお付き合いをされるので、
本当にその作品を評価してくださっているか?の判断は
短い在店時間に、何度もその作品をご覧になってくださる事
お値段のプライスを参考までにとご覧になる事
の条件が揃うか?で決まります😊今回は二つとも見事にパス💮









2メートル以上離れて見ると、
女性の胸の膨らみも足の肉付きもとても立体的に感じられて
さすが〜とため息が出ます。


来週には安井の素描作品、湯河原風景と並べて飾ってみようかと思っています。

巨匠二点。小さな作品でも、素描作品でも、きっととても面白い空間になると思います。




さて、納品準備のため、朝井閑右衛門の額の裏の紙を取り合えようと板を外してみますと






このようになっていました。



朝井のこのサイズの作品を「カマボコ」と呼ぶのは、本当に蒲鉾板に絵を描いていたからでした。

この画像をお送りすると、納品先のお客様は「板は、小田原の山上商店のを見たことがありますが、紀文も使っていたのですね。

朝井はかまぼこが好きだったのでしょうか?」とお返事をいただきました。

日常にも色々なエピソードを残した朝井閑右衛門です。

蒲鉾をかじりながら、絵を描いている姿が頭に浮かび、1人で笑ってしまいました。


作品をお届けするとこのお客様は「どこに飾ろうか?悩む楽しみが増えました」ともお伝えくださいました。

そういえば、昨日ご来店のお客様はお納めした織田作品をお持ち帰りになるのを楽しみにしてくださり
「玄関の壁にスペースを作ってきました」ともおっしゃってくださいました。


こうしたお客様にお会いするとき
またお納めした作品達を愛し、楽しんでくださるご様子を想像するとき
コロナのことも、病気のことも、この寒さも、全て忘れられるような気がいたします。


明日、セール期間を終えさせていただき、
2月よりまた新しい気持ちで営業をさせていただきます。

引き続き、お引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
















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佳致

2022年01月24日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
週末に書のお稽古に出かけました。

お世話になっている先生が、カレンダーに私の好きな文字を書いてくださるとおっしゃってくださったので
サンプルの色々な文字の中から「佳致 かち」という言葉を選ばせていただきました。

佳致は、「よい趣き」という意味です。

「佐橋さんのところの作品は何となく良いなぁ〜
 趣味がよく合うなぁ〜」


そんなお声を今年も皆様からお聞きできますよう願い、努力して参りたいと思います。

さて、店内のご案内の続きを!











作品は共に女性像、しかも共に作家の若い頃の柔らかい感性が感じられる小品ですが、

やはり、梅原と林。

エントランスは二大巨匠展と銘打てるかもしれませんね。笑







二つの鳥海。

皆様の軍配は圧倒的に4号縦のベニスです。











それでも、佐橋と私は頑なにミニのベニスかな?







この一見、必要なのか、必要でないのかわからない白い細いうじゃうじゃの線が
めちゃくちゃかっこ良い。めちゃくちゃ効いている。
この小さな画面にたまらない魅力ある作品です。










山口薫の三点。
その下に飾らせていただいた古賀人形の色彩が綺麗で
案外皆様にご好評いただいております。

古賀人形は長崎県の民芸品です。
色々な種類があるのですよ。よろしかったらこちらをご覧ください。











通路、キャビネットの上に奥村土牛の法華寺犬香合。
こちらも女性、お子さんのお守りとしての縁起物ですね。









応接室、お床には、キリッと小林古径の椿を飾りました。







印象の小品は、近くで見るとボヤッとした桜の並木が
少し離れてみると大変立体的に奥行きを感じられる作品です。

が、どのように写真を撮ってもなかなかその立体感が感じられません。残念💦



また長くなりそうですので、続きは明日からまた少しづつ書かせていただこうと思います。









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今週の佐橋美術店

2022年01月24日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
いつもにまして、お寒さ厳しい大寒となりました。

名古屋のこの寒さに悲鳴をあげている私達。
東北地方、北海道にお住まいのみなさんがどんなお暮らしをされていらっしゃるか、想像もつきません。

心より寒中お見舞い申し上げます。


先週末、少し作品の掛け替えをさせていただきましたので、ご紹介致します。

ショーウィンドウは








酒井三良作品を。

降り頻る雪の中にも、人の息づかい、肌の温かみを感じられる作品です。







今回の掛け替えのテーマは「雪❄️」です。

小窓の上も「雪☃️」










小絲源太郎のミニと福井良之助の鉛筆デッサンです。

















ギャラリー内にも雪の絵を。

冨田渓仙の「うじはるゆきず」は京都宇治の風景を描いた作品です。

渓仙は紙の白地を使って積もった雪の明るさ、温かさを見事に表現しています。

蓬莱山ならその神々しさとめでたさを。

動物ならその生命感と生きる楽しさを。

渓仙の魅力は「臨場感」にあると私は思っています。

その画面の中に画家と一緒にいて、その風景を共に楽しむことのできる幸せ。

その風景が人の心にどんな美を感じさせるのか?渓仙はよくわかっていた、つまり「人」という
存在をよくわかっていたと思うのですね。

















西郷孤月もまた雪中の鷺を描いた縁起物の作品です。


次の記事に続きます。


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梅原龍三郎

2022年01月09日 | 梅原龍三郎
いつものエントランス。










昨日まで、飾らせていただいていた朝井閑右衛門の「薔薇」をおろし、
梅原龍三郎の作品を掛けさせていただきました。











梅原は色々な裸婦を描いていますし、この〝豹〟のシリーズの裸婦も数多くありますが
小さな横長のサイズ、そしてこの裸婦の表現に梅原独特の洒脱さが感じられ、2人ともにとても気に入って
仕入れさせていただいた作品です。







大正13年、36歳、この年、春陽会を脱会し、翌年には国画創作協会に合流を果たした梅原は
岸田劉生との交流を更に深め、いよいよ巨匠としての道を確固たるものとしていきます。







梅原の作品の中に見る鑑賞者それぞれの「自分」はみなそれぞれ違う姿をしているのが当たり前でしょうけれど、
若き日の梅原には、既に「どんな私」も受け入れてくれる大きな「用意」があったのだとつくづく感じられます。


煩わしい現実から遠く、あたたかく、優しい絵画の世界へ!
決して無理なく私達を誘ってくれるのが梅原の魅力ではないでしょうか。




梅原龍三郎 「裸婦 豹」キャンバス・油彩 共板 梅原龍三郎の会鑑定書

198万円 税込




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初売り

2022年01月07日 | お納めの前に
昨日より早速お客様にご来店のご予約を賜っております。誠にありがとうございます。


本日は、以前より丘人の素描にご興味をお持ちくださっていらしたお客様がお立ち寄りくださいました。

このお客様は、お仕事柄からか、いつも大変「味わいの深い作家」「渋い作品」に目を向けてくださる
方でいらっしゃるので、当店の作品に感想をいただくのを私は楽しみにさせていただいています。


「画像や以前拝見したイメージより、額が大きくて自分の部屋には飾れないので」と
今日は、お目当ての丘人でなく、隣の川上澄生の版画をお求めくださいました。

本当は、あの作品が欲しいのですけれど。。。

と教えてくださったのは




なんと放庵の短冊の書!

「しぶーぃ」

「こんな作品を自分の部屋に飾ったらかっこいいじゃないですかぁ〜」

「まぁ、ありがとうございます。これは、私たちが一番長く、大事にしている作品です」


お客様は、大学のデザイン科のご卒業だそうで







この梅原のブロンズも

そして







この舟越のブロンズも褒めてくださいました。

舟越桂さんはご存知でも、お父様の保武さんをご存知ない世代も多くいらっしゃいますね。

このブロンズのどこをお褒めくださったかというと

「髪」

立体を制作するとき顔を上手く作れても、この毛流れ、髪を作るのが大変難しいと
お教えくださいました。

なるほど、今まで全く気づきませんでしたが、この髪のボリュームは大変リアルです。

またこの角度から撮影してみると、毛流れがとっても綺麗です。


各お客様の目線の先を追わせていただくことは、私たちにとって大変勉強になります。

今日も作品の感想をお聞きして、とても良い刺激を頂きました。




お帰りぎわには、森芳雄の作品もご覧くださいました。

「赤い部屋」は以前もご覧いただいたと思うのですが、やはり絶賛くださり、嬉しくなりました。





今日は佐橋も出社し、資料作りや掛け替えを一緒にしてくれました。

とても寒い1日でしたので、三時間程で帰宅して貰いましたが、2人で店に居られる安心をしみじみと味わう事が
でき、良い仕事始めの一日を過ごす事ができました。









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