つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

指ぬき

2023年09月24日 | 佐橋美術店よりのお知らせ
先日、大学生の姪が夏休みを利用して私のお手伝いに相模原から名古屋に来てくれました。

入力作業も、カタログや収入印紙などの整理も2泊の間にどんどん片付けてくれ、とても助かりました。






特に、倉庫の整理中に見つけたこの指ぬきのセットのお掃除をお願いしてみると、嫌な顔もせず丁寧に磨きをかけてくれました。





きっと彼女なりに私の力になろうと思って名古屋に来てくれたと思うのですが、だからと言って力んで佐橋の話を深追いするわけでもなく、純粋に古い家の畳の生活に「癒されるぅ〜」と言ってくれたり、私の作るものを「美味しい〜」と食べてくれたりしたことに随分救われました。

佐橋美術店が開業した翌年に誕生した彼女は、この夏二十歳になりました。

ご来店のお客様と入れ違いに「またくるねー」と笑顔で店を後にした姪との3日間の生活で、私はこの数ヶ月間にとても大きなものを失ったようで、実は何も失っていないのかもしれないと思うことができました。

20年の月日に、1日たりとも無駄はなく、全てが確かなものであったことを姪が教えてくれました。






「これ、いくらなら売れるかな?」と彼女と笑いながらお話しした日からまもなく二週間。

売り物というより、すでに店のインテリアとして私自身やご来店のお客様方の目を楽しませてくれています。



お知らせ
9月25日月曜日は、午後から店に出る予定でおります。
ご来店、ご連絡などよろしければご利用くださいませ。











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秋彼岸

2023年09月23日 | 日記・エッセイ・コラム
この高岳の店に移転したのがちょうど9年前の夏のことでした。

移転後は新しい店のホームページを作成するためにいくつかの無料作成サイトを利用しましたが、ほぼ完成!という段になってページがすべて失われしまったり大変苦労をし、結局有料のサイトを利用して始めから作成、今の形に安定をしました。

当店にいらしていただけないお客様にもお楽しみいただけるようにとブログつれづれとのリンクを貼ったり、私なりの工夫をさせていただいて参りましたが、それにしてもお借りしているクラウドの容量がとても大きく、ホームページの運営だけのための経費としては高価すぎるなぁと感じ、このほど見直しをさせていただいています。

先日、久しぶりに無料のホームページ作成サイトを調べさせていただきましたが、私は浦島太郎??と思うほど、その内容の充実度が増し、しかも入力作業も簡単になっていて大変驚きました。


上の画像は、今のホームページで使わせていただいている当店を裏側から(このビルの大家さんでいらっしゃる高岳院コウガクインさんのお庭から)撮影した写真です。

撮影した時のことを懐かしく思いながら見ていると、ふと、当時の当店の所有の作品たちも見えることに気づきました。



おわかりになるでしょうか?

大きな楕円の中の作品は、いまでもお通いの皆様がよく「あれは買っておくべきだった」とおっしゃってくださる印象の抽象画です。

小さな円の中の作品は額が裏をむいていますが、これは間違いなく上田薫のなま玉子!本棚のほうの四角の中の作品は、島田章三の縫物をする婦人像です。

お客様のもとに嫁いだ作品ばかりですが、扱わせていただいた作品はかなり鮮明に覚えているものだと少し自信を取り戻しました。

ホームページを移動させてしまうとこの画像だけは残すことができず消えてしまうことになることがわかり、がっかりしましたが、形は失っても記憶にのこること、或いは記憶さえ失っても心と体、大袈裟にいえば細胞に刻まれることがあるのではないか?と思い直しました。



佐橋が他界してから、このブログのアクセス数がとても多くなりました。
以前からここにお立ち寄りくださる方々のほかに、佐橋のお友達、私のお友達が私たちを心配くださってちょくちょく覗いてくださっているのかもしれません。

「できることがあったら何でも言ってね」と、みなさまから温かいお言葉をこの四か月近くの間にたくさんいただきました。ご心配をおかけしていることを申し訳なく思う気持ち、本当に何かあれば助けていただけるだろうという感謝の気持ちでいっぱいになりますが、私自身がまず何をどうしたらよいのか?わからないままの日々を過ごしていましたし、今もそのような状態ですのでなかなかみなさんにご連絡を差し上げることもできません。

どこにいても、何をしていても、佐橋のことが思い出され辛いと思ってしまう日々に
それでも、こうして毎日店に通い、お客様方とお話をさせていただいたり、佐橋の残した仕事を片付けようと必死になっているのはきっと私の細胞の中に佐橋の記憶が刻まれているからだと思います。

そして、少し時間がかかるかもしれませんが、私の中の佐橋がきっと私に笑顔の多い日々を取り戻してくれるだろうと思っています。

このブログの中にも佐橋の言葉が沢山残っています。
それを頼りに作品と向き合い、またブログを書かせていただこうと思います。











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朝あけがとても綺麗だったので

2023年09月01日 | 長谷川利行
朝は早いと4時ごろに目が覚めて日の出を待ちます。

古い家に住み、雨戸を開ける時ご近所の迷惑になるような音を出してしまうので、五時を過ぎるのを待って、一枚だけそっと雨戸を開けると、一昨日は見事な朝明けの空に出会うことができました。

こんな空に出会えたら、わざわざ高い絵を買わなくてもいいのに。

美しい自然に出会うたびに私はそう思いながら、それでも何かこう、うつろいやすい自然の景観に
少し虚しさも感じ、やはり永遠に変わることのない絵画の中に逃げ込みたいという衝動に駆られるのです。

そして、それこそ人間なのだろうと思っています。


昨日は朝から胸が痛い!あれ?どこか悪いかしら??と
心配になって冷静に考えてみると、おーーー納得!!


一昨日に少し掛け替えをしたので、今回も1日遅れで疲れが出てきました。


しかも私は痩せっぽちなので、掛け替えすると肩ではなく、胸の筋肉??肋骨が痛みます。











久しぶりに長谷川利行の作品を出してみました。

佐橋と2人で見ていた時も何度も感動してきた作品ですが、やはりこの作品の素晴らしさには不思議に心が動き出します。

弾むような、震えるような。。です。


美術館にあってもおかしくないこの作品をお客様にお納めしたい。

佐橋はそう思いながら、さっさと自分だけ利行の近くに行ってしまいました。

今頃、山口薫や長谷川利行とお酒を呑みかわしていないか?とふと思えた昨日は佐橋の百か日。

あっという間の、けれど辛く長い100日でした。





重い思いをして折角飾った作品なので、しばらく皆さまにもご覧頂こうと思っています。

絵のうまさより先に心の振動が伝わる。

長谷川利行という画家はそうした特異な才能を持った人であったと思います。







コメント (2)
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