つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

鳥海青児

2023年03月31日 | 鳥海青児
久しぶりに応接室に鳥海青児のベニス、2点を飾りました。

撮影の時間帯が良かったのか?スポットの当て方が良かったのか?

応接室の作品の撮影はいつも大変苦労しますが、今日は随分綺麗に映りました。













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速水御舟展

2023年03月28日 | おススメの展覧会、美術館訪問
先週土曜日は、午後3時ごろに店を閉めさせていただいて2人で茨城県の水戸に向かわせていただきました。

いただく仕事の都合や体調を見ながらの判断でしたので、前もってのお知らせができず、土曜日にご連絡をいただきましたお客様には
大変ご迷惑をお掛けし、申し訳ございませんでした。



水戸へは、茨城県近代美術館さんで開催されておりました速水御舟展を拝見するために伺いました。

展覧会最終日、雨の中を26日に滑り込ませていただきましたが、2人ともに伺ってよかったと今、思っています。






水戸へは品川で乗り換え、常磐線のスーパーひたちの利用が便利です。
常磐線は私の実家の側も通りますし、息子の小さい頃白鳥を見るために一緒に出かけた思い出もありますので
とても懐かしくこの列車に乗り込みました。











若い頃より、御舟の展覧会は何度も見てきたつもりですが、今回改めて御舟の多くの作品に接して、
2人ともに今までとは違った印象を受けた気がしています。

過去に見たことのない作品も多かったこと、また個人蔵の作品が多かったこともその理由に当たると思います。


展覧会の会場では、いつも私たちは別々に歩き、最後の出口で一緒になるようにしています。

が、今回久しぶりに、後から出口に近づいてきた佐橋に「あのガラスの器見た??」と言われ、私1人、慌ててもう一度その作品のところまで戻って鑑賞することがありました。



もうこの作品は何度も何度も見てきたはずなのに。。。




なるほど〜  
杉山寧のよく描くガラスの器は高価そうだけれど、これは少しお安そうで〜そんな質感までよく表現されています。
ガラスの分厚さ、柄、何から何まで本当にびっくり致します。







大正10年前後の写実の時期の作品を見ていると、「あれ?劉生??」と思うようなことがよくありましたが、
御舟と劉生は、ある一時期本当に接点があったようです。それも初めて知りました。




今回お客様のご協力を得て出品させていただいたこの「向日葵」にも、多くの方たちが見入ってくださっていました。

御舟と劉生、その作品に対する熱情は同じほどであっても、やはり岸田劉生は絵が下手で、速水御舟は絵が上手だということも
あらためて実感いたしました。




さて、今回佐橋が最も評価したのは、大正13年ごろ、御舟が世俗を離れ、武蔵野の山村に移り住んだ際に、集中して描いた風景画でした。






特に下の「門」という作品の門の屋根の重厚感の表現に圧倒されたと聞いています。

「聞いています」というのは、私はこの作品を見たには見たのですが、しっかり鑑賞せず、素通りしてしまったからです😅

この武蔵野の山村に暮らした際、御舟は大変規則正しい修行僧のような生活を送り、長い時間を制作に集中したと解説にありました。
その密度が佐橋には感じられたのかもしれません。










私はやはり、最晩年。

古典、写実、洋行での体験、琳派への接近などを経て、御舟の作品が最も御舟らしさを極めた頃の作品に心惹かれました。

特に昭和4〜7年の作品は素晴らしいと思えました。





そして
やはり御舟といえば、「夜」





夜の梅も今まで何度か鑑賞してきましたが、この近代美術館さんの「夜梅」はピカイチでした。


ざっとですが、そしてもう展覧会は終わってしまったのですが、御舟展の感想をお伝えいたしました。

私たちは、ただまっすぐに水戸へ行き、一泊して展覧会を拝見して、そのまままっすぐ名古屋に戻りました。

佐橋はまだまだ長い距離を歩けず、エレベーターやタクシーを使っての旅になりましたが、やはり良い作品の並ぶ展覧会を鑑賞すると
おのずから元気が湧いてきていたようです。また私もこの数年、自宅と店の往復ばかりに時間を費やしておりましたので、良い気分転換になりました。鉄道の利用も私の気性にあっているようです。

水戸は、水の豊かな街、雨になってしまいましたが、桜がちょうど満開を迎え綺麗でした。

そして、ここに住んでいらっしゃる方々は皆さんとてもお優しく、気持ちの良い旅となりました。

茨城県近代美術館さんの常設展では小川芋銭の良い作品も並んでいましたので、いつかまた芋銭展などが開催されます折には
お邪魔したいと思います。



















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小林古径

2023年03月24日 | 小林古径
画商という仕事、仲間には、いろいろな方がいらしてお付き合いの難しいことも多くありますが、ただ、画商さんの眼は素晴らしいな、よく頑張っていらっしゃるなと思えるのは、例え全体の相場は下がっていても、変わらず速水御舟、小林古径、村上華岳作品を日本画の最高峰と位置づけ、皆で評価し合っている点だと感じています。

一般の方にも既にお馴染みの作家名ですので、例えば小林古径の作品を持っているとお伝えすれば、「凄い」と反応をお返しくださることも多いと思いますが、では、何が凄いのか?もちろん、時代背景やその作品の美術史的な位置づけとは別に、その作品自体にどんな魅力があるのか?を考えると、コレクターさんはもちろん、画商であっても首を傾げることがあるように思うのです。





仕入れた時に入っていた額ではなく、昨日、元々の色紙用の額にこの古径作品を入れてみました。





すっきりと日本画らしい作品となりました。

こちらの額に替えて、しばらくこの作品をご覧くださいましたご婦人のお客様が
「今の私には何だかとても厳しい作品に思えてきました」とおっしゃってくださいました。

このお客様は既に日本画を数点お持ちでいらっしゃいますが、ご主人様は洋画がお好きでいらっしゃいますので、
古径の作品を例えば購入のご検討に真剣にご覧いただくことは今までご経験がなかったことだと存じます。

「きびしい」

まずそのお言葉をお聞きでき、驚きました。そして、驚いたと同時にホッといたしました。

何を描かせても古径の作品は大変厳しいのですね。

「張り詰めた緊張感」と言えるものだと思います。

特に、色紙縁に入ると、その古径の作品のきびしさが強く表れてきます。


張り詰めた緊張感→そして、かなりの時間を費やして、やがて岩菲ののびのびとした明るさという順に作品の味わいが変わってくると思います。





何度か書かせていただきましたが、古径作品の素晴らしいのは、こちらが見たいと思わない時には、すっかりその作品の存在感を
消してくれる、私たちを気持ちよく素通りさせてくれるところです。

それでいて、こちらが見たいと思う時には、元気づけたり、何かをくれたりするのでなく、ただほのかに「そばに居ます」と
いう気配を届けてくれるのです。

それは日本人の伝統的な精神性を最も気高く表現するものであると私自身は考えています。










近代日本画、特に関東画壇の作家作品を東海地方でご覧いただく機会は随分減ってきてしまっているように思います。

こうした作品を皆さまに評価していただき、お納めさせていただくのにも時間を少し要するかもしれません。

けれど、せっかく、先程ご紹介させていただいたご婦人のように、作家の名前に頼るのでなく、今のご自分の眼とお気持ちできちんと作品をお感じくださり、評価してくださるお客様が当店にお通いくださるのですから、温かな希望を持ってこれからもこうした作品たちをご紹介していきたいと思っています。




小林古径 額 色紙 岩菲 がんぴ 東美鑑 26.9×23.9㎝
950,000

















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ガラス絵

2023年03月20日 | 清宮質文
新しい作品が入ってきました。

まだきちんとした撮影ができていませんし、
タイトルなど調べなくてはいけないことも多くありますが
とりあえずのご紹介をと思いました。





そうです、清宮質文のガラス絵です。

その作品をみると、清宮はやはり画家というより詩人といえるようにも感じられますが、

いかにも弱々しいようでありながら、言葉でなく、こうして線や色彩で、ズブズブの現実の世界から一挙に
「私の身」を引き剥がしてくれる。

清宮の力はなかなか強いもののように思います。

さて、引き離された後に誘われる世界は?と考えると、、、

やはり私を強く支えてくれるようなものは何も無いようなのですが




それでも唯一、このコップらしき器の、地面?テーブル?との接地面に描かれた細くけれど鋭く、強い線に
何かを見出せるように感じます。

清宮への信頼はここに有る!と思えるのですね。


全てを引き受けて、少しの時間、私に温かく寄り添ってくれる作品こそ、本当の芸術作品だとこの頃強く感じます。




※ガラス絵 11×16㎝  〜□



コメント (2)
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冨田渓仙 軸

2023年03月18日 | 冨田渓仙
先日ご紹介させていただきました冨田渓仙の桜の図とともに、こちらの作品も仕入れさせていただきました。






笑ってしまうくらいの鯉のお顔ですが、その体の動きといい、
作品全体から5月の頃の晴れやかさや勢いがイキイキと伝わってきます。




各季節の作品が揃い、冨田渓仙展を開かせていただくのも夢でなくなったかな?
と思っています。



冨田渓仙 軸 「燕子花游鯉図」 絹本 共箱  330,000

作品サイズ 24.5×131㎝
軸全体   53×219㎝

※箱書きの画像は後日こちらの掲載させていただきます。
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