山口薫 3号 甲斐虎の子クマ
洋画家山口薫は(1907年~1968年)
その晩年に甲斐虎という種類の日本犬「クマ」を飼い、繰り返し描き続けました。
山口薫の大好きな佐橋は念願叶い、この「クマ」を入手することができました。
山口薫の作品はあまりに切なくて私は苦手です。
男って勝手ね。
何故かそう思えてしまうのです。
けれど、とことん疲れた一日の終わりに一人で部屋に籠ってこの絵をみていると、
しっぽが今にも動き出しそうで・・なんだか少し救われてくるのです。
クマを愛し 、クマと死す
そう書き残し山口薫は60歳で他界し、
その後を追うように、半年後クマは死んだそうです。
隣にいる犬のしっぽが、微かに揺れそうな…
そんな気配を感じるだけで人は十分生きていけるのかもしれないと山口薫が教えてくれているように思います。
※納品の為画像を削除させていただきました。
吉田善彦については以前、絵画鑑賞のページに書かせて頂きました。
善彦の作品は写真に撮るのが大変難しく、お伝えしきれない部分が多いと思いますが、この静かな画面をじっと観ていると、心の奥のほうから今まで感じたことのないような懐かしく、温かい感情が湧き出て参ります。その感情が涙のように私自身をゆっくり清らかにしてくれるように思うのです。
描かれた月の力によるものでしょうか。空の静寂に誘われる感情でしょうか・・
ご存知のように、絵画の価値の変動は激しく、吉田善彦の作品の価格も以前よりは随分と下がってきてしまいました。
日本中のどなたもがお忙しく、美術品に求められるもの、美しいと思われる価値基準が変化してきたのです。
画廊の仕事を通してそういった新しい価値をしっかり受け入れていきたいとは思いますが、
やはり私たちは近代絵画が大好きで、その叙情性を強くお客様にお伝えしたいと願っておりますので、機会があれば吉田善彦のような美しい作品を皆様にご紹介していきたいと考えています。
※作品画像は納品の為削除させて頂きました。