つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

村上華岳

2020年10月13日 | 村上華岳
何度も何度もこの村上華岳の著書を手にとり、感動をして読み始めるのですが、必ず途中で苦しくなり本を閉じてしまいます。

村上華岳の作品を全く扱わせていただいてこなかったわけではありません。

仏画や風景など、幾つか床の間に飾らせて頂き2人で眺めたこともありました。

けれど、今回のようにふと出会った作品をあてもなく仕入れ、自分達の所蔵とさせていただいたのは初めての事です。

出会ったのは「椿」です。








白椿ですので、始めはシーンと静まりかえり、何も見せてはくれません。

けれど、ゆっくり、ゆっくりとより深く、より美しく作品が動き出します。

そして、いよいよ深まり始めてきたなぁと感じると、「今日はここまで!」そう線を引いてしまうのは自分自身です。

ですから、私はこの華岳作品をまだじっくり、とことん眺めてはおりません。

その線の引き方は、観る方の技量?目の深さ次第、どこまで見るか?の決心次第です。

今迄そういった見方のあることを知りませんでした。
その境界線、或いは「その先」を見せてくれるのが華岳なのだとはじめてわかりました。



どこまで華岳を味わうことができるかは、この華岳の文字にどれほどの物を感じるか?が一つの試金石になるように思います。






この表紙に書かれた「華岳」の文字にしびれる心があれば、楽しみは深まるのだと想像しています。

楽しみが深まると書きましたが、「その先」へ進むことは、大変怖いこと、辛いことです。ですから、楽しみは苦しみです。



昨年末に杉山寧の富士の購入について迷い、結局自分たちの側に置くことに決め、この春に感染問題に出会い、この秋、華岳のこの作品にご縁をいただきました。この一年の流れは、きっと私ども佐橋美術店のこれからをも示してくれるのではないかと思っています。

一つ一つの作品を今まで以上に深く、丁寧に味わうこと。

結局コロナさんはそう私たちに教えてくれたのだと思いたいのだと思います。




※村上華岳 軸 「椿」 紙本・淡彩  33.3×25.9㎝
 実作品は、無眼展にてご覧いただきます。









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名都美術館名品展 笠岡市立竹喬美術館

2020年10月12日 | おススメの展覧会、美術館訪問
10月17日より12月13日まで笠岡市立竹喬美術館さんにて愛知県名都美術館さんの所蔵品展が開かれます。

前記事でご紹介致しました竹喬展との、所蔵品交換展覧会とでも申しましょうか?

岡山や中国地方の皆さまに、名都美術館さんの美人画を中心とした日本画をお楽しみいただける機会だと存じますので、こちらにパンフレットの画像を貼らせて頂きます。





ご都合よろしければ是非お出かけくださいますようお願いいたします。



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小野竹喬展

2020年10月12日 | おススメの展覧会、美術館訪問
急な寒さもひと段落、今日は秋晴れの1日になりそうです。

昨日名都美術館さんの小野竹喬展に伺って参りました。

竹喬の産まれた岡山県笠岡市にある竹喬美術館さん所蔵の作品を前期後期に分けて展示される展覧会です。

13歳で京都に出て、すぐに竹内栖鳳に師事した小野竹喬は、それから約75年の画業を直向きに歩き続けた画家です。

土田麦僊、村上華岳などとともに、西洋画に多大な影響をうけながらも、東洋の美に立ち返り、更に60代、70代と竹喬独自の画境を深め、87歳での文化勲章授賞後間もなく他界するまで、「絵は造るものではなく、生まれるもの」という心の風景を真摯に描き続けた画家の作品は、いつも穏やかで伸びやかなリズムを刻んでいるように感じられます。


竹喬は、決して「絵の上手い」画家ではなかったように思います。

けれど、戦争の前後に多くの家族を失うなど今では想像もできない苦労をされながらも、どんな時も絵を丁寧に描き続ける事のできた竹喬に、神様は美しい「色の発見」をお与えになった気がします。


上の画像、「山桜」は昭和22年58歳頃の作品 「樹間の茜」は昭和49年85歳、そして少し不思議な作品「春の芽」は昭和51年最晩年の87歳の作品です。


最も竹喬らしいと言われる作品は、殆どが70代〜80代に制作され、その作品群は現在日本画最高峰の評価を受けていますが、そうした評価とは別に、七十代、八十代に見る「風景」はいかなる物であったのか?今回改めて小野竹喬の作品に触れ、私は歳を重ねていくことに少し安心というか、楽しみを感じることができたように思います。






技術的にはすでに衰えを見せているこの最晩年の作品ですが、竹喬は死を恐れることなく、最後まで絵を描くことに幸せを感じ続けた
大変立派な画家であったと思えます。自然が全てを教えてくれ、全てを受け入れてくれることを信じることのできた画家の幸福がその筆を通じ、私たちのも伝えわってくるようです。

後期展示は11月10日(火)より始まります。
竹喬の明治、大正時代の比較的若い頃の作品をご覧になるのでしたら前期に、竹喬の代表作品を主に御覧になられるのでしたら後期にお出かけになられます事をお勧め致します。




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看板

2020年10月07日 | 佐橋美術店よりのお知らせ
自宅から店に通う車中からは色々な看板を見ることができます。

看板から受ける印象は大切だなぁと感じています。

最近見つけたのは、







度量衡というのは、


計量または計測の古い呼び方。度は長さ,量は体積、衡は質量、またはそれらをはかるものさし,ます,秤などの器具を意味する



とありました。今はもう商いをされていらっしゃらないようですが、「はかり屋さん」をされていたのですね。




こちらは屋号の後に「避雷針」とあります。特にアースの製造をされていらっしゃる大手の会社さんのようです。

避雷針と看板に掲げるこのビルに雷は落ちないのかなぁ??と意地悪なことを考えながら
「カッコいい看板だなぁ」と思いながらいつも前を通ります。






毎日多くの方が当店の前を通ってくださいます。

その方達に当店の看板はどのように見えていらっしゃるのだろうと怖々想像してみますが、「趣がある」とか「格好いい」
ではないだろうということ位しかわかりません。ただ18年半の歳月を毎日一緒に過ごし、風雨に耐えてきてくれたて看板ですので、
強い愛着を感ぜずにはいられません。





先日ご紹介させていただきましたドランの作品は、昨日あっという間に売れていなくなってしまいました。
展覧会で皆様にご覧いただこうと思っている作品が少しづついなくなってしまい。。ご案内の作成に困ったなぁという事になっております。お届けがおそくなりますこと、どうぞお許しください。




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芸術の秋

2020年10月06日 | 舟越保武
急に肌寒くなって参りました。

いつもお伝えしていますが、この舟越保武のローラさんが日に日に美しさを増して、本当に愛おしく思えてきました。

朝、出社して図書室のロールカーテンを開きに行くとき、また事務所で仕事をしていて疲れた時など必ず挨拶をしますが、
少し肌寒くなって秋らしくなってからは、何故か少し頭を撫でてみたり、自然にお顔に触れていることに気づきます。

同じ美術品であっっても、絵画には出来ないめで方があるのが、ブロンズやお茶碗などのお道具の良さだと思います。




以前ブロンズ作品をお持ちでいらっしゃるお客様から

「なんとなく綺麗だなぁと思ってブロンズを触っていたらさぁ、女性像の胸のところだけテカッてきちゃってさ、恥ずかしくて
人前にだせなくなっちゃった」というお話を聞いたことがあります。

その時は大笑い、しかも「いやらしいなぁ〜」と少し思いましたが、今ではすっかり「その気持ちがわかる!!」といった感じです。

可愛らしいもの、綺麗なものには触れてみたい。

人はそう思うように出来ているのだと思います。

このコロナ問題でそれが出来なくなってしまった時、初めはとても戸惑いましたが、やはりその気持ちが間違っているわけではないと
この頃つくづくと感じています。

人はいつも「美しいものに触れたい」そう願うのだと思うのです。




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