小さな図書室からながめるシナノキ。
病気を持ちながらも今年も芽吹きの準備を始めています。
昨日は2つよいことがありました。
1つは
制服姿でエナメルバックを肩からさげていらっしゃる学生さんが、お一人で店に入ってきてくださったことです。
つい最近、
豊田市美術館さんから4月27日開催のデトロイト美術館展のご案内を頂いて、
その割引券を店のカウンターに置きましたので
もしかしたらそれをお手にされたかったのかもしれませんが、
しばらく写実の絵をご覧くださり、
静かにお帰りになられようとされたので、思わず私からお声をおかけしました。
口数少ない、けれどまなざしの強い青年。
「通りがかりに」当店にお入りくださったそうです。
ラグビー部に入っていらっしゃるとお聞きしましたが、
いまどき 自らの内にこんな力を宿した青年がいらっしゃるのだと清々しく嬉しい気持ちになりました。
2つ目はお客様から頂いたお電話。
この「つれづれ」から安井曽太郎の素描の記事をお見つけくださり、
遠方より作品をお求めくださったお客様からのお電話です。
作品の無事の到着と、作品を楽しんでご覧くださっている旨
お知らせくださいました。
今回、私共は直接お会いしていないお客様にはじめて作品をお求め頂きました。
今更?
ホームページやブログを自分の手で懸命に作って参りながらも、
実物をご覧にいれないまま作品をお客様にお渡しすることに
今まで大きな抵抗があったからです。
ですから、ホームページもブログも店の紹介にとどめ、
あまり作品のご紹介をさせて頂いてきませんでした。
けれど。。
今回、安井をお求めくださったお客様は、
なんと!
絵画にご興味を持たれたのがつい最近、ほんの一か月ほど前。
しかも最初に魅力を感じたのが安井曽太郎の水彩やデッサン、
湯河原などの風景だとおっしゃるのです。
本当に驚きました。
以前もご紹介しましたが、佐橋美術店の店先を映したブログ上の小さな画像から、
須田剋太の作品をお見つけくださり、お求めくださったお客様もいらっしゃいました。
「眼力」
観ようとする心。
その方の歩んでこられた人生がもたらす出会いの力。
この仕事を通し、作品とお客様の間に一瞬に結ばれる深い絆の力を
何度も実感してまいりましたが、
それは、WEB上であっても同じであることを今回つくづく感じさせて頂くことができました。
昨日朝一番にご来店のお客様が「あれ?ここにあった安井は?」と
お聞きくださいました。
薫をお目当てにいらしてくださったのだと思いましたが、
ちゃっかり安井も気にされてくださっていたご様子。
私達と同じように作品とのお別れをちょっぴり悲しんでくださいました。
曽太郎の素描は、お優しいお客様のもと、
近代日本絵画の巨匠の作品に相応しい環境を得て
今日からまた新しい「美」に輝き始めることでしょう。
「通りがかりに」
歩かれる道の通りがかりに、WEB上の通りがかりに
また当店にふらっとお立ち寄りくださいますことを心待ちにしております。
今週は思いがけず沢山のお客様にお力を頂戴いたしました。
誠にありがとうございました。
5月、当店の「シナノキの下で」展を目指し、シナノキとともに私達も
春の準備を進めて参ります。
今日手に取った画集から。。
安井曽太郎 三椪柑
山口薫 リラとつつじ