つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

限りなき時の中に 2

2011年03月09日 | 絵画鑑賞

限りなき時の中に 2

私は昔から3月が苦手です。

春なのか?冬なのか?

暖かいのか?寒いのか?

うごめく万物の波動を感じ取れずにただ身体も心も戸惑うばかり …

「はっきりしてよ!」とちっぽけな私が逆ギレをし、悲鳴をあげ出します。

今年も3月がやってきて・・

イライラと焦り出そうとする私を高山辰雄さんの小さな図録がそっと慰めてくれました。

限りなき時の中に 2

現代は電気の時代

コンピューターの時代 と 空を見上げるのをつい忘れて忙しい

思い出して  又旅でフト空を見上げる

目に見えない空気の動きの中に 月が輝いて明るい

寒く又暖かく 朧に

その時々に 大きく美しく心をひろげてくれる

1988 3月 「朧」

限りなき時の中に 2

二人 又多数で 一つの物を見る

もしも同じ言葉で感想を持ったしても

一人一人 別の世界で眺めているのではないだろうか

"言葉もなく " ハッと胸に響き

感動の一瞬

一瞬である事は淋しいが

その瞬間は命の同一の場に  他人と共にあると又思えたりする

1991年2月「見る二人 」

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高山辰雄 限りなき時の中に

2011年03月04日 | おススメの展覧会、美術館訪問

2月に訪れた神戸の町で、偶然「高山辰雄 文藝春秋表紙絵展」のポスターを見つけました。

運よくその日は開催中に当たりましたので、急いで会場のBB プラザ美術館に入りました。

日本画家の高山辰雄氏が、1987年から1999年の13年間に描き続けた文藝春秋の表紙絵原画156枚を前期と後期に分けて展示するこの展覧会は、予想以上の見応えがありました。

作家が75歳から87歳まで毎月毎月描き続けた小品は、実に細やかに、実に穏やかに時間の流れを捉え、見る者の心を切なく、優しく包みこみます。

また一つ一つの作品に添えられた高山氏の言葉、文章も深い味わいがありました。

3月の表紙絵のなかから高山作品と文章をご紹介させて頂きます。

高山辰雄限りなき時の中に

山や空 森や水の自然の創る姿

あるときは楽しく美しく又怖く遠いものに見える

鏡の様に私の心の動きを映す

目にも筆にも揺れる自然は

紙の上になかなか掴まらない

春は春 夜は夜

1999年3月「白い花咲く」 文藝春秋表紙絵より

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