日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

フランソワの薔薇 ジャン・コクトー

2009-04-24 | Jean Cocteau

詩集『フランソワの薔薇』は、日本では数少ないコクトーの限定本のうちの1冊であり、
ページごとに大きさを違えた造りでシンプルな装丁が美しい詩集。
森開社 (高橋洋一 訳) 1975年発行 普及版500部のうち340番台。

けれど、僕の鼻が嗅ぎ、僕の眼が見るのは

おまえ達の仲間でも選り抜きの薔薇で、

それこそ真紅に彩られた薔薇。

               「フランソワの薔薇」 第一部より抜粋

 

タイトルの「フランソワ」とは、コクトーの親友フランソワ・べヌルアールのことで、
芸術的な本を出版するべヌルアール社を興した人物である。コクトーの『ムネ=シュリーの肖像』を出版している。
この詩集は第一部が薔薇賛歌、第二部はフランソワに捧げた詩で構成されている。
印刷術を学んだコクトーは、印刷機や刷られる紙をも詩に描いておりフランソワへの敬意が伝わってくる詩集である。

「べヌルアールは心から印刷機械、紙、インクを愛するので、彼が印刷して造る本には魂が込められている」 コクトー


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