ジャン・コクトーが愛用したカルティエの三連リングは
二人の友情から生まれた名作で現在も高い人気を保持している。
3代目当主ルイ・カルティエとコクトーの出会いはコクトーがロシア・バレエとの関係から
交友を広げ始めていた第一次世界大戦(1914年~1918年)の後期あたりと思われる。
ルイ・カルチェはロシアと中国の民話に登場する3つの輪の話からヒントを得、
トリニティ・リングを考案。
その試作品を詩人に見せたところコクトーは大変気に入り
ラディゲと自分用に2つ注文した。
トリニティとはカトリックの教義として、父・子・精霊の「三位一体」を意味する。
こうしてカルティエのトリニティリングは1924年に誕生した。
また1955年、コクトーのアカデミー・フランセーズ会員の剣を製作したのも
カルティエであり、カルチェが手がけたアカデミー会員の剣の中でも最高の剣といわれている。
「カルチェは巧妙な魔術師だ。ちりぢりになった銀色の月のかけらを、太陽の金色の糸の上にそっと落とさずに並べることをやってみせる」 (コクトー)
ELLE JAPON 創刊200号記念 ジャン・コクトーの世界 より