日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

『ALLEGORIES 』(アレゴリー) JEAN COCTEAU

2009-05-09 | Jean Cocteau

Allegories
詩集『アレゴリー』はジャン・コクトーが評論や紀行、回想録などを
書いた後に手がけた久しぶりの詩集であった。
この頃は、ジャン・マレーの強い要望により阿片解毒治療のためリヨテー病院に入院中で、
その時に書いた詩やマレーに書いた詩も含まれている。
1941年 フランス・ガリマール社出版 限定1398部の500番台

Pourquoi ai-je, malade, �・crit ces vers

Puisque je souffre trop pour tenir une plume?

H�・las la poesie et moi jadis nous plumes

Et j'en garde a jamais ma tenebre a l'envers.

苦痛もはげしくペンすら持てぬ僕が、

なぜ、こんな詩を書くか?

ああ、その頃、ぼくたちは

<詩>とか、<ぼく>という言葉をいたく愛していた、

今のぼくは、その裏返しにされた闇を守るだけ。

           釜山 健 訳

この『アレゴリー』は1930年代に書かれた詩を集めているため、内容は第二次世界大戦が迫る不安を感じさせる
コクトーの心情が色濃く出ているものが多い。
アレゴリーというタイトルの通り、戦争を起こす見えない敵を、さまざまな神話や歴史上の人物、
天使、少女にまで姿を変え、そこにコクトー自身の夢想や深層を織り交ぜてヨーロッパへの失望を描いている。                                   


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