日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

洋書 『詩人の血』 ジャン・コクトー

2010-09-07 | Jean Cocteau

コクトーは1930年に『阿片』を発表したのち、かねてより関心のあった映画制作に着手した。
コクトーの初の映画作品となった『LE SANG D'UN POETE』(詩人の血)である。上映は1932年。本書はそのシナリオで上映からおよそ16年後に発行された。
1948年 フランス マラン社 限定2900部の340番台

Le_sang_dun_poete
この映画はコクトーと親交のあったシャルル・ノワイユ子爵夫妻から
数百万フランの制作費を支給をされ、表現、および内容は自由という
寛大な条件で作ることができた。

私が『詩人の血』で試みたのは、詩を検討することです、とコクトーは言い
芸術的なことを考えずにイメージの喚起を映像にしていったと語っている。

出演者はほとんど演技の経験がなく、彫像(女神)は写真家で有名なリー・ミラーが
偶然、バー「屋根の上の牡牛」に居合わせたことから決まった。
詩人役はチリ身のエンリケ・リベロ。雪合戦の子供たちは大道具で働く子に出演させた。
出演者の中でひときわ異彩を放つ黒の天使はフェラル・ベンガ。ジャズダンサーだという。


Scene_neige

 



「詩人の血」はコクトーの後の作品に揺曳してゆくテーマが集約されているともいえる前衛作品であるが、映画制作には資金、検閲、出演料の重責があるが、この映画においては「自由だった」と述べている。


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