魂はかがやきを求めず
まばゆき光を消して
闇となれ
九鬼周造 「タンゴ」より
今やキャンドルはデザインの変化を遂げ、灯りの実用性だけではなく、装飾用としても普及し
キャンドルデザイナーたちによって芸術的作品にまで高められている。
キャンドルは5~10世紀にアルジェリアなどでミツバチの蜜ロウで良質なキャンドルが作られ、
ローマ帝国時代にはカトリック教の儀式にも多く使われるようになる。
日本には奈良時代に中国から蜜ロウのキャンドルが輸入され江戸時代には松明や松油ロウソクが灯火として
使われていたが、その後一般市民にも普及した。
やわらかい光は明暗をたくみに変えて周囲に思わぬ影を浮かび上がらせる。
キャンドルは陰影の魔術師。
静けさの中に淡い希望を揺らしている。