日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

森山開次 ソロダンス『翼TSUBASA』

2010-08-26 | アート・文化

Tsubasa


静謐な舞台に白い雪があり
天井から床へ、羽根をイメージしたレース模様のオブジェが下がる。白の世界である。

民話『鶴の恩返し』をもとに、森山開次が踊った初のソロ公演から10年。
今ふたたび鶴が舞い降りた。
しなやかに、また時には全身からみなぎるような思いを込めて踊る森山の姿は
ひととき地上に忽然とあらわれ、舞う一羽の鶴。

日本の文化を見つめ、伝統を踏まえながら今の日本と自分自身の融合をダンスに表現する
森山は、体は踊りと同義語であるという。
「人間の動きすべてが踊り」と美しいことばを言う人でもある。

私たちが見た鶴は刹那、舞台で精いっぱいのいのちに生き、茜の空へと飛立っていった。
その飛翔は、森山自身が培った10年間の結晶として私たちに記憶の羽根を残し、
これからもさらに飛翔を続ける彼の姿とかさなる。
踊りへの希求を翼にかえてかぎりなくどこまでも天空高く飛び続けるのだろう。                                                                                         


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