イギリスの作家 H・E・ベイツ(ハーバート・アーネスト・ベイツ)という作家がいたことを
この本を手にして初めて知った。
ベイツは1926年に「二人の姉妹」で文壇にデビューし、
その後、戦争小説のシリーズで世界的に知られる作家になったという。
この本を手にして初めて知った。
ベイツは1926年に「二人の姉妹」で文壇にデビューし、
その後、戦争小説のシリーズで世界的に知られる作家になったという。
10の短編小説「咲けよ、美しきばら」は
まるで絵画の風景のようにイギリスの田舎に生きる人々を抒情的に描いている。
まるで絵画の風景のようにイギリスの田舎に生きる人々を抒情的に描いている。
そしてベイツの目を通して登場する女性たちは
優しく優雅な存在として、
又、どの物語にも人間が持つ素直な感情があり
人間への愛情と理解をもってベイツが描いたイギリスの人々である。
そして、ここに描かれているのは様々な女性の姿であり
永遠に変わらない人間の感情を再認識させられる物語でもある。
善良で、時には愚かで、
そして悲しく、また愛すべき人間の不滅の姿でもある。
1967年(昭和42) 音羽書房 (訳) 大津栄一郎
優しく優雅な存在として、
又、どの物語にも人間が持つ素直な感情があり
人間への愛情と理解をもってベイツが描いたイギリスの人々である。
全編の中から印象に残った作品を。
「クリスマス・ソング」
楽器店で働くクララに、かすかな記憶でクリスマス・ソングが何の曲か
聞きにきた青年とクララとのわずかな時間に生まれた暖かい心の交流。
「軽騎兵少佐」
ホテルに宿泊する夫婦が見かける礼儀正しい少佐は、
後からくる妻を日々待ちわびるがその妻は夫婦の思う期待とは違って…。
楽器店で働くクララに、かすかな記憶でクリスマス・ソングが何の曲か
聞きにきた青年とクララとのわずかな時間に生まれた暖かい心の交流。
「軽騎兵少佐」
ホテルに宿泊する夫婦が見かける礼儀正しい少佐は、
後からくる妻を日々待ちわびるがその妻は夫婦の思う期待とは違って…。
「水仙色の空」
主人公を不思議な勘で察知する女性コーラ。
彼女と農場を持ち、結婚を夢みた青年は
コーラがふたりのために他の男性からお金の工面をしたことに嫉妬し、殺人を犯してしまう。
年月を経てコーラを訪ねるが、応対したのはコーラの娘だった。
彼女に自分の名前も名乗れない主人公。
幸せを求めながらも狂ってしまった運命の皮肉。
彼女と農場を持ち、結婚を夢みた青年は
コーラがふたりのために他の男性からお金の工面をしたことに嫉妬し、殺人を犯してしまう。
年月を経てコーラを訪ねるが、応対したのはコーラの娘だった。
彼女に自分の名前も名乗れない主人公。
幸せを求めながらも狂ってしまった運命の皮肉。
「田舎の社交界」
社交パーティに訪れた友人の姪。霜におおわれたような白さの彼女がその夜を
楽しむ姿に、新鮮な感動で胸を躍らせる中年紳士のクレヴァリング。
社交パーティに訪れた友人の姪。霜におおわれたような白さの彼女がその夜を
楽しむ姿に、新鮮な感動で胸を躍らせる中年紳士のクレヴァリング。
「風に舞うもみ殻」
誰からも愛される妹と畑で働く孤独な姉。妹を訪ねてきた青年に
自分でも説明のつかない冷淡な態度をしてしまう姉の哀しさ。
誰からも愛される妹と畑で働く孤独な姉。妹を訪ねてきた青年に
自分でも説明のつかない冷淡な態度をしてしまう姉の哀しさ。
「咲けよ、美しきばら」
ボーイフレンドの母親に引き止められて朝方まで帰らない娘を心配し、
夜露に濡れるばらの茂みに身を隠して帰りを待つ父親の心理。
ボーイフレンドの母親に引き止められて朝方まで帰らない娘を心配し、
夜露に濡れるばらの茂みに身を隠して帰りを待つ父親の心理。
「テルマ」
ホテルで働くテルマ。森に行くのが好きな彼女は
顔なじみの男ファーネスと過ごした森の一日が忘れられず、
数々の男と同じように森で過ごすが、最初の感動を取り戻すことは出来なかった。
ひとり森で若き日を回想するテルマ。
それが元で病に倒れた彼女の孤独。
ベイツの読みやすい物語の進行とともに
目に浮かぶような風景と、花の描写が多いことが特徴としてあげられる。
ホテルで働くテルマ。森に行くのが好きな彼女は
顔なじみの男ファーネスと過ごした森の一日が忘れられず、
数々の男と同じように森で過ごすが、最初の感動を取り戻すことは出来なかった。
ひとり森で若き日を回想するテルマ。
それが元で病に倒れた彼女の孤独。
ベイツの読みやすい物語の進行とともに
目に浮かぶような風景と、花の描写が多いことが特徴としてあげられる。
そして、ここに描かれているのは様々な女性の姿であり
永遠に変わらない人間の感情を再認識させられる物語でもある。
善良で、時には愚かで、
そして悲しく、また愛すべき人間の不滅の姿でもある。
1967年(昭和42) 音羽書房 (訳) 大津栄一郎