かつては出雲大社への玄関口として繁栄した面影を残す「旧大社駅」。
その純日本風のたたずまいは端正な美しさと格式を保って今も存在する。
大社駅は明治45年に開業して以来、輝かしい歴史を刻みながらも
1990年(平成2)に、大社線の廃止により発着駅としての役目を終えた。
2004年(平成16)国の重要文化財に指定、
2009年(平成21)には近代化産業遺産に指定された。
1990年(平成2)に、大社線の廃止により発着駅としての役目を終えた。
2004年(平成16)国の重要文化財に指定、
2009年(平成21)には近代化産業遺産に指定された。
ここには東京、大阪、名古屋から直通電車が入り、
お召し列車も入線したという誇るべき歴史を持っている。
中央口の両サイドにはベンチが。
ガラス窓はきれいに磨かれここにもいくつもの物語があったことを偲ばせる。
中に入ると思わず息をのむ光景が目に入った。
広い空間にたたずむ骨董美術のような出札口。
5カ所の出札口が、当時いかに人の往来で賑わっていたかを語っている。
神秘的でさえある出札口は装飾も風格があり感動的な美しさ。
灯籠型のシャンデリアの下、
広いスペースにはベンチがあったのだろう。
昭和初期までは3等車の待合室だったという。
そして右側には1・2等車の待合室があり
現在は鉄道関係の資料室になっているがこじんまりとした部屋だった。
そして左側には駅長室と事務室が。
貴賓室もあったという。
いにしえの映画のワンシーンを見るような錯覚を覚えた。
プラットホームに出てみた。
列車が止まり、乗る人降りる人が歩いた長いホーム。
古びた小さな窓さえ凝っている精算所。
出雲大社へ通じる駅として多い時は1日に4000人の利用客があったという改札口も
変わらずに保存されている。
比類なき建築美。
当然そこにはいくつものドラマが生れては思い出が残される。
時の流れによってそれが記憶に封じ込められたとしても
その思い出の美しさに変わりはない。
私もこの駅に降り立ってみたかった。