ギジェルモ・カブレラ・インファンテ、『TTT: トラのトリオのトラウマトロジー』

 『TTT: トラのトリオのトラウマトロジー』の感想を少しばかり。

 “ブストロフェドンとは何者だったのか?” 240頁

 素晴らしい読み応えだった。こちらもキューバ濃ゆい…! 革命前の歓楽街エル・ベダードへ捧げられたこの作品、当時の歌手や演奏者はどんどん出てくるわ、“キューバ語”による言葉遊びに語呂合わせ…はいささか過剰だわで、圧倒されて凄く楽しかった。
 言語実験についてはかなりの意訳とのことで(宜なるかな)、それがまた頗る妙味である。言語でんぐり返しの、更にでんぐりでんぐり返しですな…(なんのことやら)。

 「新参者たち」の章は多声的に始まるが、次の章からはカメラマンのコダック、パーカッション奏者エリボー、アルセニオ・クエ、シルベストレ…といった面々が交互に語り手となる。そしてもちろん、忘れてならない存在がブストロフェドン…! 例えばブストロフェドンによるキューバ人作家のパロディ「トロツキーの死」の章などは、邦訳されている作家が少ないにも関わらずとても面白く読めた。
 親友同士の軽妙な対話が続きつつも、どこかしら行き詰まり倦んだ雰囲気を感じさせる中、「バッハ騒ぎ」は幕を閉じた。
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3月18日(火)のつぶやき

@rinakko 07:50
【動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ・クリスティー】を読んだ本に追加
動く指 (クリスティー文庫)
クリエーター情報なし
早川書房
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3月17日(月)のつぶやき(読んだ本、『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』)

@rinakko 10:05
【リテラリーゴシック・イン・ジャパン: 文学的ゴシック作品選 (ちくま文庫)】を読んだ本に追加

 少しずつねぶねぶと読んでいた。大変に満足だ。こんなアンソロジーならばいくらでも読み続けたい…などと思いつつ、また自分自身の渉猟へと戻るのが楽しみになる。Ⅰ〈黎明〉~Ⅳ〈幻想文学の領土から〉の流れでは既読の作品がやや多めで、このような括りでの再読に興趣がわくというもの。Ⅴ〈文学的ゴシックの現在〉へ移ると、未読だった作家の作品が幾つか取り上げられているので、こちらもよい機会になった。
 初読でとても好きだったのが、竹内健の「紫色の丘」。本は入手困難なのね。くう。


@rinakko 12:13
岩波文庫5月の予定に、カルペンティエルの「失われた足跡」よ。フィクションのエル・ドラードの方を待ってたら。

@rinakko 17:41
「TTT: トラのトリオのトラウマトロジー」を迎えに行ったらば、「スキタイの騎士」もあってな…。
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3月16日(日)のつぶやき(読んだ本、『オーブリー・ビアズリー』)

@rinakko 09:54
【オーブリー・ビアズリー】を読んだ本に追加

 観応えも読み応えも素晴らしい。あまりにも短い天才の生涯を、作品とともにたどる画集。その作品数も壮観である。一つ一つ眺めては解説に眼を通し、それらの美しさや淫らさが如何に突き抜けたものであるかを知らされ、あらためて感嘆した。
 まず作品を堪能したのは言うまでもないが、ビアズリーの経歴に始まり、その時代背景や評価のされ方…などなどを読むのも凄く面白かった。後の芸術家たちに多大な影響を及ぼしたこと(恐るべきカリスマの遺産)に触れるくだりまで、みっちりと興味深い。いたずらの天才ぶりを発揮した反撃の戯画をまとめた頁では、思わずにやりとした(ワイルドの弛んだ涙袋…!)。
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3月15日(土)のつぶやき(読んだ本、『ゴーレム』)

@rinakko 10:48
【ゴーレム (白水Uブックス 190)/グスタフ マイリンク】を読んだ本に追加

 小昏いプラハのユダヤ人街に、甦るゴーレム伝説…とな。そうきたらもう好きに決まってる! …と、のめりこみめりこみ頁を繰る繰る。記憶を失くした語り手が、悪夢めき謎めく迷路みたような話の渦の核心へ、ふらふらと引き寄せられ巻き込まれる展開から目が離せなかった。
 呪詛にまみれた老人の復讐計画、攻防する学生の暗闘、殺人事件、ヘルマフロディートの幻影、タロックの指し示す“吊るされた男”、奇跡を語る美少女、三角関係…。ずぶずぶ浸かり堪能するばかりだったことよ。先に「西の窓の天使」を読んだ所為か、神秘思想に触れる辺りも興味深かった。
 

@rinakko 19:42
いつもの店で餃子ビール。道々月が明るかった。
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3月14日(金)のつぶやき(読んだ本、『書物愛[海外篇]』)

@rinakko 10:41
【書物愛 [海外篇] (創元ライブラリ)】を読んだ本に追加

 やはり…期待した通りというか、それ以上にか。書痴にしても愛書家にしても、国内篇とは深度の桁が違う。流石だ。例えば「愛書狂」の主人公、ほとんど文盲に近い古本屋のおやじが、書物のことだけで頭をいっぱいにし、書物のみを愛し、ずぶずぶと己の蔵書に溺れている姿の、異様なことと言ったらもう…(ぞわっ)。“本を読みたい”と、“書を蒐集したい”、“何が何でも所有して愛でたい”…はまた別の話なわけで、なかなかに難儀なことよ。
「書痴メンデル」が、思いの外に切ない話で味わい深かった。あと、「シジスモンの遺産」が嗤って大好き。ふ。
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3月13日(木)のつぶやき

@rinakko 17:18
何かの手違いで見えない都市
何かの手違いで不在の騎士


@rinakko 17:21
出かけたくなくてにょろにょろしてまう…。

@rinakko 17:37
@rinakko カルヴィーノ、だいたいいけるんじゃね。


@rinakko 19:33
@mikechatoran おおう、それはそそられる状態ですねぇ^^ 私も読みたく思いますっ。

@rinakko 23:46
何かの手違いで新しい人生 #作品のタイトルに何かの手違いでをつけるとなんか迷惑
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3月12日(水)のつぶやき

@rinakko 12:48
早熟のアイオワ、観てきたよう。ゴーレム連れて帰るとこ。うららかだねぇ。

@rinakko 14:35
【最後の恋人 (残雪コレクション)/残雪】を読んだ本に追加
@rinakko 14:54
てなわけで、「最後の恋人」は魂消た作品だった。借りて読んだけれど、買っておきたいくらい(う、お財布痛い…)。読み返したいのは小説だけじゃない。著者による「『最後の恋人』について ― 序に代えて」にも圧倒された。

@rinakko 20:08
何かの手違いで流れる

@rinakko 20:16
なんか、殺伐やねぇ。

@rinakko 20:25
何かの手違いで大いなる遺産 #作品のタイトルに何かの手違いでをつけるとなんか迷惑
@rinakko 20:38
@erierif でもたぶんそれで殺人事件とか。ありますでしょww
@rinakko 20:43
@erierif …こわっ。そゆことですww
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残雪、『最後の恋人』

 『最後の恋人』の感想を少しばかり。

 “この一生に読んだ小説の物語をもう一度読みなおし、すべての物語をつないでいこうというのだ。” 16頁

 素晴らしい読み応えだった。残雪を読むのは2冊目だ。これはまた、何たる気迫に満ちた小説か。そして差し出された世界の眺めといい、どこへ連れて行かれるのか全く予想のつかない展開といい、比類ない特異さにただもう圧倒された。何だろう…この、既視感のなさ。散りばめられた符牒に気を取られ、足元がふわりと覚束なくなりつつ…頁は繰る。読み進まずにはいられなかった。
 勝手に回る万華鏡を覗いているような按配でもあったけれど、この印象は読み返すことでどんどん変わっていくはず。もっと見えてくるものがあって…。「『最後の恋人』について」の内容も凄かった。

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3月10日(月)のつぶやき

@rinakko 08:36
【愛国殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ・クリスティー】を読んだ本に追加
愛国殺人 (クリスティー文庫)
クリエーター情報なし
早川書房
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