辻原登さん、『闇の奥』

 タイトルで気になり、手にした作品。『闇の奥』の感想を少しばかり。

 僅かな陽の射す密林から見上げる樹冠、或いは樹間の青白い霧の中、一匹の(それとも無数の…)蝶が飛翔した軌跡だけが幽かに金緑色に光っている――と、そんなイメージがいつまでも眼裏に残る読後感である。鬱蒼と濃い緑の中を、わき上がり舞い上がるその彩り。時には暗緑の海原での水先案内人ともなり、時には儚い夢の残像ともなり、現れてはつと消えてしまうその光を何処までも追い続ける彼らの静かな情熱の源に、しばし思いを馳せた。
 その一方で、倭人族や首狩り族のことは心惹かれつつ不気味でもあったし、和歌山のカレー事件における底知れぬ人の闇を話に繋げてくるあたりにもぞおっとした。幻想的で夢のような場面とあまりにもかけ離れていて、憎いほど。

 “大塔山系ではじめてキリシマミドリシジミの雄を捕獲した”かつての昆虫少年は、やがて民族学や神話学へと興味を広げ、とりわけ小人伝説を残すネグリト(矮小民族)に魅了されていった。そして、陸軍省の依頼で兵站調査の為に向かった北ボルネオの森奥で、その消息を絶ってしまう。戦後、行方の知れなくなった紀州の民俗学者・三上隆に惹かれ、生存を信じて彼の後を追う人々の足取りは、ボルネオへ、チベットへ、そしてまた熊野の秘境へといざなわれるのだった――。
 なつかしさの化身としての蝶、その延長線上にある小人族への夢想。“なつかしさに駆られて”蝶を追い、小人伝説を追い続けるのだ…という三上の言葉が、とても深い印象を残した。
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11月1日(月)のつぶやき

06:44 from web
おはようございます。烏龍茶なう。11月だぁ…。今日は本が読みたいよう。
15:17 from web
思わずテレビをつけてしまった…。これからですのね。
15:24 from web
うーむ……。
18:03 from web
ばれた。 rinakkoを70字位で表わすと…欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望欲望ちょっと一人上手 http://shindanmaker.com/58330
18:08 from web
あなたの2011年の一文字は「姫」です。
そんなあなたの2011年は、お姫様のようにモテモテ。でも、調子に乗りすぎるとしっぺ返しが・・
http://bit.ly/ynhito #nenga2011
18:13 from web (Re: @catscradle80
@catscradle80 いつもだよー、と突っ込もうとしていたところです。うふ。あ、モテモテじゃなくって姫が。一人で姫(笑)。いやいやいや、そんなはずは…。
18:21 from web
わくわく、期待しておきます。RT @lisky ああ、いい感じですねぇ。 RT @rinakko: あなたの2011年の一文字は「姫」です。そんなあなたの2011年は、お姫様のようにモテモテ
20:53 from 読書メーター
【審判 (岩波文庫)】を読んだ本に追加 http://book.akahoshitakuya.com/b/400324382X #bookmeter
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