朝吹真理子さん、『流跡』

 圧倒されながら読み終えた。『流跡』の感想を少しばかり。

 “ひとになるのでなかったと思ったがもう遅かった”――。誰かが始めたとりとめのない呟き、その行間から生まれ出てきた魂…みたような何かが、男となり女となり、あてもなくさ迷っていく。ただ生きて、与えられた命をこそぐようにただ生きて、その澱を増やしながら。
 夜更けの闇の中、川を渡り“よからむもの”を運ぶ舟頭。雨後の水たまりに映りこむものを、しげしげと眺める中年の男。波止場に立ち尽くす一人の女…。哀れとも決めつけられない、揺らぐその生の奇妙な淡さ。

 ああ、凄かった。はて、一体どこが凄かったのだろう…?と、反芻してみんとて来し方を振り返ってみて、うまくその輪郭をたどれないことに戸惑ってしまう。摑もうとするその手の内で、いつまでもぐにゃぐにゃしているような不思議な感触。で、そこがまた堪らない。そんな作品だった。
 目の前のそれが、まだ最初のホンの一滴であるうちには、何にも気付けない。油断して話に気を取られている内にあれよあれよと大きな流れになって、はっと周囲を見回した時にはすでに遅い。面白いように押し出され押し戻され、しだくような勢いになす術もなく運ばれていくばかりなのだ。文字の、言葉のつらなりの、呪縛に身を委ねるかの如く。だから、思いがけない言葉からどんどん膨らんでいった幻影(ほたほた笑い、えごえご踊る金〇とか…!)に、卒倒しそうになったときの快感と言ったら…ない。本当に、圧倒された。
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11月2日(火)のつぶやき

07:40 from web
rinakkoが2010年で一番つぶやいた文字は「読」。775文字つぶやいてます。
そんなあなたの2011年は、知的な年になりそうです。月に1冊は本を読んで、知識を高めよう。http://bit.ly/ynhito #nenga2011
07:48 from web
おはようございますー。風邪っぴきなので今日もぬくぬく過ごそうと思いますー。朝ごはんは、トマトと舞茸の味噌スープの予定。
14:53 from web
“大・・の破願”に、“えごえご踊る。”…!!! た、たまらない、もうもうもう卒倒しそう~! と、身をよじり悶えつつ息も絶え絶え読み終えた。この作品、すごいすごい!
16:01 from 読書メーター
【流跡】を読んだ本に追加 http://book.akahoshitakuya.com/b/4103284617 #bookmeter
16:37 from web
軽い風邪の場合って、昼間はほとんど何ともないのね。だから、今夜は呑みに行こかって話だけれど、ちと心配。でも、何か作る元気はない…。ないない。
 ←ル・ラポールにて、ホットカクテル。
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