股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

MINAMATA-ミナマタ-

2021年09月30日 18時27分38秒 | 映画評論マ行

製作年:2020年
製作国:アメリカ
日本公開:2021年9月23日
監督:アンドリュー・レヴィタス
出演:ジョニー・デップ,真田広之,國村隼,美波,加瀬亮,浅野忠信
映画『MINAMATA―ミナマター』公式サイト

1971年、ニューヨークに住むフォトジャーナリストのユージン・スミス(ジョニー・デップ)は、過去の栄光にすがり酒に溺れる日々を送っていた。そんな折、日本のカメラマンとその通訳を務めるアイリーン(美波)が彼のスタジオを訪れる。アイリーンは日本の大企業チッソが工業排水を垂れ流した結果人々が病に倒れていると語り、ユージンに病気で苦しむ彼らの取材をしてほしいと訴える。
日本における水俣病の惨事を世界に伝えたアメリカの写真家、ユージン・スミス氏の日本での取材を描くヒューマンドラマ。1971年から1974年の3年間にわたり、水俣で暮らしながら公害に苦しむ人々の日常と、闘いの日々を撮影した写真家を描く。『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』などの製作を務めたアンドリュー・レヴィタスが監督を手掛け、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどのジョニー・デップが主演を務め、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮らが共演する。

日本四大公害のひとつ、水俣病の事実を世界に伝えたアメリカの写真家・ユージン・スミス氏と、企業と争う市民の姿を描いた本作。小学生の社会科の授業で水俣病を勉強した記憶があります。その時は「昔、こんな公害があったのかぁ」くらいの感想しか持っていませんでした。日本人でありながら、何も知らなかった自分が恥ずかしいです。世の中知らないことばかり。
水俣病も怖さは改めて見せつけられた。奇形した手足や、痺れや盲目。病気の症状に苦しみ絶望しながらも、家族のため、未来のために巨大な組織に立ち向かう市民の姿に感動と勇気をもらいました。写真が映し出されるたびに驚かされて気持ちが沈んでしまいそうになったが、写真1枚も目を背けてはいけない。「入浴する智子と母」は悲しみと同時に美しささえ感じた。写真で真実を伝え、写真で世界を救える。何万人もの人たちが被害を受けて、勝訴のために闘い続ける姿に胸打たれました。
水俣病の問題を描いているのに加えて、ユージン・スミスのジャーナリストとしての成長や過去のトラウマから抜け出そうとする葛藤も描かれていて、ハリウッド映画らしさも感じさせる見せ方も上手い。欲を言うと、被害者側の視点は細かく描かれているが、加害者側(チッソの社員など)の視点も深く掘り下げて欲しかったところ。
本来ならば、日本が作るべき映画。政府やチッソの社長は「解決した」と発言しているが、今でも水俣病で苦しんでいる人がいる。50年経った今でも解決していない。公害について学ぶ良いキッカケになるし日本人ならば観るべき映画の1つだと思います。当時の写真や映像もあり、非常にリアリティを感じました。今も世界で起きている公害。二度と水俣のような悲劇を起こしてはいけない。
ユージン・スミスを演じたジョニー・デップの演技が素晴らしい。ジョニー・デップは破天荒なキャラクターよりも、こういう役の方が好きだ。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
コメント
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