股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

空白

2021年09月12日 12時04分38秒 | 映画評論カ行

製作年:2021年
製作国:日本
日本公開:2021年9月23日
監督:吉田恵輔
出演:古田新太,松坂桃李,田畑智子,藤原季節,趣里,伊東蒼,寺島しのぶ
映画『空白』公式サイト

スーパーの化粧品売り場で万引きしようとした女子中学生は、現場を店長の青柳直人(松坂桃李)に見られたため思わず逃げ出し、そのまま国道に飛び出してトラックと乗用車にひかれて死亡してしまう。しかし、娘の父親(古田新太)はわが子の無実を信じて疑わなかった。娘の死に納得できず不信感を募らせた父親は、事故の関係者たちを次第に追い詰めていく。
古田新太と松坂桃李が共演を果たしたヒューマンドラマ。万引きを目撃され逃走中に車と衝突した女子中学生の死をめぐり錯綜する、被害者の父親と事故に関わる人々の姿を描写する。『新聞記者』『宮本から君へ』などを手がけてきたプロデューサーの河村光庸が企画し、河村が携った『愛しのアイリーン』などの吉田恵輔が監督と脚本を担当する。関係者全員が被害者にも加害者にもなり得る物語が映し出される。

試写会にて鑑賞。万引きを目撃されて逃走中に車にはねられて死んだ女子中学生。娘の万引きを信じられない父親はモンスターと化していき、関係者を追い詰めていくのです。じわじわ恐怖や絶望がくるような不思議な映画でした。この映画には様々な人物が登場します。その人たちの感情を考えながら感じながら観ていくと、この映画がさらに面白くなると思います。スーパーで働くおせっかいな店員。真実を隠して都合の良いところだけ報道するマスコミ。SNSで面白おかしくネタにするネット民。「一緒に写真撮ってくれませんか?」と無神経に聞いてくる若者。ああ、こういう人たちって実際にいるよね…と思わず納得してしまいました。自分がいつ加害者になるかも被害者にもなるか分からない。自分だから平常心でいられるのだろうか。絶望から自ら命を絶ってしまうかもしれない。相手を殺してしまうかもしれない。人間の弱さや怒りが丁寧に描かれていてとても見応えがありました。何が正解なのだろうか…何が救いなのだろうか…何が正義なのだろうか…それは誰にも分からない。誰を憎んでも、後悔しても愛する娘は帰ってこない。しかし父親は真実を知り、娘が残した絵に救われた。青柳は「ありがとうございました。本当にお疲れ様でした」という何気ない言葉に救われた。何かの小さなキッカケで光が見えて、人はもう一度やり直せるのかもれない。そう思わせてくれたラストはとても良かったです。明日、自分にも起きるかもしれない。誰かが苦しんでしまうかもしれない。でもその“空白”を埋められるような人間でありたいと素直に思いました。人と人との繋がりについて改めて考えさせられました。
古田新太の演技がもう凄すぎ!その威圧感に観ているこちらまで恐怖でした。松坂桃李の繊細な演技もとても良かった!!

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
コメント
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