股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

護られなかった者たちへ

2021年09月18日 18時26分55秒 | 映画評論マ行

製作年:2021年
製作国:日本
日本公開:2021年10月1日
監督:瀬々敬久
出演:佐藤健,阿部寛,清原果耶,林遣都,永山瑛太,緒形直人,倍賞美津子
映画『護られなかった者たちへ』公式サイト 10.1(FRI)魂が、泣く。

東日本大震災から9年が経った宮城県の都市部で、被害者の全身を縛った状態で放置して餓死させるむごたらしい連続殺人事件が起こる。容疑者として捜査線上に浮かんだのは、知人を助けるために放火と傷害事件を起こし、刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)。被害者二人からある共通項を見つけ出した宮城県警の刑事・笘篠(阿部寛)は、それをもとに利根を追い詰めていく。やがて、被害者たちが餓死させられることになった驚くべき事件の真相が明らかになる。
映像化もされた「さよならドビュッシー」などの中山七里の小説を原作にしたミステリードラマ。宮城県で発生した連続殺人事件の容疑者となった青年と、彼を追う刑事の姿から日本社会が抱える格差の実態を浮き彫りにする。監督は『楽園』などの瀬々敬久。『るろうに剣心』シリーズなどの佐藤健、『のみとり侍』などの阿部寛のほか、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林遣都らが出演する。

試写会にて鑑賞。東日本大震災から9年後の宮城県を舞台に、猟奇的な殺人事件の容疑者として疑われた青年と、彼を追う刑事の姿から日本社会の闇を描く本作。観終わったあとで、自分の生き方を考えさせられる作品。“観て良かった”の一言で片づけられる映画ではない。震災、殺人事件、生活保護…9年前のあの日、全てが変わってしまった。居場所も、思い出も、大切な人も失って、その怒りや悲しみをどう整理していいのかも分からない。それでも人は生きていかなければならない。そして人は一人では生きていけない。震災の時もそうだし、このコロナ禍だからこそ、人との繋がりの大切さを観ていて深く感じました。利根とケイさん、カンちゃんのように、血の繋がらない同士でも本当の家族のように助け合える関係って素敵だな。
震災をベースにしているものの、本作は“生活保護”について細かく描かれています。生きる上での国民の権利であるものの、生活保護を受けるのは恥だと感じる者もいれば、嘘をついて不正受給をする者もいる。優しさや善人、人格者というだけじゃ全員を救うことなんて出来ない。この映画に悪人は一人もいないのかもしれない。そして世の中には完璧な善人もいないのかもしれない。必死で生きなければいけないからこそ、何が正しいのかも分からず観ていて胸が苦しくなりました。皆があの日から痛みや苦しみを抱えて生きているんだなと感じました。声をあげられる人もいれば、あげられない人もいる。でも“死んでいい人なんていないんだ”。重く暗い展開の中にも、少しだけ希望が見えたラスト。伏線も回収されていました。
時系列が過去や現在に行ったり来たりするので少々混乱してしまいました。フィクションではあるけれど、東日本大震災について今一度考えさせられる良質な作品。護られるべき人が護られる世界になってほしい。“おかえりなさい”って一言で人は救われる。
とにかく出演者の演技が素晴らしかった!!

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
コメント
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