股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ザ・ロード

2010年07月28日 21時17分15秒 | 映画評論サ行
製作年 : 2009年
製作国 : アメリカ
2010年6月26日公開
監督 : ジョン・ヒルコート
出演 : ヴィゴ・モーテンセン,コディ・スミット=マクフィー,ロバート・デュヴァル
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文明が崩壊して10年あまり。空を厚い雲が覆い、寒冷化が進んだ世界には生物の姿はなく、食料もわずかしかない。生き残った人々のなかには、人を狩り人肉を食らう集団もいた。そんな大地を、ひたすら南を目指して歩く親子がいた。道徳や理性を失った世界で、父親は息子に正しく生きることを教える。自分たちが人類最後の「希望の火」になるかもしれないと。人間狩りの集団におびえながらも、二人は海にたどり着く…。
本作ではどうして世界が崩壊したのか、その理由はまったく語られない。それ自体は重要ではなく、その後の世界で生き残った人々がどう生きていくかということ。そのため本作の親子の旅は、一種の「神話」的なモノを生み出している。常に飢え、食料を手に入れることしか考えられなくなった人間は、野生動物のようだ。お互いの姿を見つけても、殺されるのではないかと近づかないのだ。そんな中で、人間は再び信頼を取り戻すことができるのだろうか。ヴィゴ・モーテンセン演じる父親と息子が全編出ずっぱりの熱演。原作は『すべての美しい馬』『ノーカントリー』が映画化もされ、高い評価を受けているコーマック・マッカーシーのベストセラー。

決して楽しめるという作品ではないが、観終わったあとに心に残る映画。
文明が崩壊した世界。絶望の中を生きる父親は息子に「何があっても理性を失ってはいけない」と言い続ける。なぜ、こんな世界になってしまったのかという理由は描かれていないが、そんな事はどうでもいいのかも。それよりも父親と息子との絆がこの映画の見所だと思う。人間として最低限のこと、しかし最も大切な事を息子に教える父親。そんな父親の姿を観て生きることの意味を知る息子。僅かな希望を信じ、南へと向かう2人が目にしたものは“飢え”“寒さ”“人間同士の共食い”という地獄、まさに灰色の世界だった。かつて母親と3人で暮らしていた頃の輝いていた日々と対照的に映る世界観が印象的でした。
長い旅路の果てに辿りついた息子が見たものは希望か絶望か。それは観る側がそれぞれ判断するものかもしれない…

この作品の評価・・・・75点
コメント
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