パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

MR.LONG/ミスター・ロン★★★

2018年03月09日 | アクション映画ーマ行

第67回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品されたバイオレンスムービー。暗殺に失敗して逃走する殺し屋が、身を潜める田舎町で、ある母子と心を通わせる。メガホンを取るのは、俳優としても活躍している『Miss ZOMBIE』『天の茶助』などのSABU。『黒衣の刺客』などのチャン・チェン、『たたら侍』などの青柳翔のほか、イレブン・ヤオ、バイ・ルンインらが出演している。

あらすじ:台湾人の殺し屋でナイフを駆使するロン(チャン・チェン)は、六本木にいる台湾マフィアの暗殺を引き受けるが失敗に終わる。北関東の田舎町に流れ着いた彼は、ジュン(バイ・ルンイン)という少年とその母親で台湾人のリリー(イレブン・ヤオ)と出会う。彼は、日本語のわからない自分の面倒を見てくれる住民たちの優しさに触れながら、牛肉麺の屋台で働くようになる。屋台には多くの客が集まるが、追手が迫っており……。

<感想>1か月前くらいに鑑賞したもので、思い出しながら投稿。ちょっとダサイ困った殺し屋のロンを演じている、あの「レッドクリフ」や「グランドスター」に出演していたチャン・チェン。最近では『黒衣の刺客』にも出ていたというが、それほどパッとしない俳優。

殺し屋というと、かっこいい精鋭な工作員なんて思い浮かべるが、任務には失敗するし、わけが分からないまま東京から栃木へと運ばれていく。まるで悪い夢でも見ているような、本当にツイていない人がいるもんだと。

ですが、冒頭での東京のナイトクラブへと姿を現すロン、そこでは暗殺に失敗するロンが日本のヤクザに捕まってしまう。そして、麻袋の中へ入れられて、河川敷へと転がされて、殴る蹴るの暴行を受ける。そこへ、リリーの亭主賢次が現れて、隙をみてロンが逃げるも、賢次はヤクザの銃弾を受けて死んでしまう。賢次役には、劇団EXILEメンバーの青柳翔はここで終わりですが、ちょっともったいない感じもする。

こういうブラックなユーモアにオフビートな笑いは好きですが、一見ユーモアのある作品ですが、いろいろと深く描かれているところや、エモーショナルな部分もありそこは良かったですね。

殺しに失敗をした彼が、日本語が話せない彼が偶然出会った台湾人の親子と言葉を交わしていくうち、それでも近所の人たちは彼の素性を知らないまま親切に世話をやく日本人のおばさん、おじさんたちには始終無言を決めている。

何だかよく分からないままに牛丼麺の屋台をやることになるのだが。このおせっかいすぎる近隣住民たちとのおじさんやおばさんが、最後に出て来るのですが、いやはやトンデモない人たちだったりして、このラストの閉め方にはちょっと不満がありました。

表現上では台詞が無いので、役者としては非常に難しい役なのだが、以前にも韓国のキム・ギドク「プレス」でも声を失った役を演じたことがあり、別に難しいとかは思っていなかったと言う。トタン貼りの家屋が建ち並ぶ風景は、主に足利市でこんな汚い場所あったっけ、てな感じがした。きっと映画のために作った場セットなのね。

さすがにクールな感じのチャン・チェンのカッコ良さは言うまでもありませんが、薄幸の美女リリー役のイレブン・ヤオが実に素敵で頑張ってました。それは、壮絶なシャブ中の演技で、顔色の悪さと浮き出る血管と、キュートで慈愛に満ちた笑顔との両面なんですね。 この女優さん、日本には初お目見えではないかと思うのですが、これからの活躍に期待してしまいます。

それと子役のバイ・ルンインの恐怖や寂しさからくるであろう、無感情で無表情の仕草や動作の演技では、目の奥で現実をじっと見つめる表情が観ている者の胸を締め付けますから。日本の子役では、こんな顔できる子役いるだろうか。とにかく上手いの一言につきます。

ロンが娼婦リリーのクスリ(シャブ中)を抜くサポートをして、それからは、牛肉麺の屋台をジュンとともに3人でやったり、3人で温泉旅行に行ったりして、家族のような幸せなシーンが続くのですが、セリフの無いイメージフィルム調で続きます。まあ、それほど悪くはありませんが、監督のイメージなんでしょうから。ですが結局は、リリーが付きまとわれていたヤクザに見つかり、再び脅されて自ら命を断ってしまいます。

ラストでの台湾マフィアやヤクザとの一対大勢の決闘シーン。それは見事で圧巻でしたね。台湾人のチンピラたちの後ろに現れた殺し屋のロン。そこにいるチンピラたちをあっと言う間に、ナイフで片づけてしまう手際よさときたら。

それに、あの栃木のトタン屋根の住民たちが台湾の高尾の街にいるのにびっくりし、その中にはあの男の子ジュンがいたのですからね。ということは、ラストはハッピーエンドでということなのですね。

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