自分の近くに出没するもう一人の自分“バイロケーション”に命を狙われるヒロインを、テレビドラマ「シェアハウスの恋人」などの水川あさみが一人二役で演じるホラー。画家になるため奮闘する若い主婦がもう一人の自分に遭遇し、オリジナルよりも凶暴なバイロケーションの存在により命の危険にさらされる姿を描く。
原作は、法条遥による第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作品。監督を、『リアル鬼ごっこ』シリーズなどホラー映画を数多く手掛けてきた安里麻里が務める。正反対のキャラクターを演じ分ける水川の演技に注目。
あらすじ:結婚後も画家を夢見て、キャンバスに向かう日々を送る高村忍(水川あさみ)。ある日、スーパーでニセ札使用の容疑を掛けられたことから、見た目はうり二つだが全然違う別人格の“バイロケーション”(通称バイロケ)と呼ばれるもう一人の自分が存在することを知る。さらに、バイロケはオリジナルよりも攻撃的で……。
<感想>ホラー映画とくると、きっと怖いんじゃないの、なんて思うかも知れませんが、この手のホラーは私には全然怖くも何ともありませんでした。自分の近くに出没するもう一人の自分。バイロケーションの出現により存在を脅かされるヒロインの水川あさみが演じて、一人二役に挑戦しているのが見どころ。
物語は、主人公の忍は画家として芽が出ずに苦しんでいたが、5階に住んでいる目の不自由な勝と結婚して幸せを得る忍。バイロケの被害が夫の勝に及ぶのを恐れ、やがて別居を決意する。バイロケには、オリジナルの性格が濃く表れ、オリジナルの大事なものを奪おうとするからだ。
そして、同じ境遇の人々が集まる会で、自分のバイロケに遭遇する忍。鏡にはうり二つのバイロケの姿は写っていないのだ。バイロケに苦しめられる男女3人と、会を主催する男の飯塚が集まっていた。彼らの話が信じられず屋敷を去ろうとすると、目の前に自分のバイロケが現れ、忍はその存在を認めざるを得なくなる。
それに、バイロケ対策を練る日々が続く中、刑事の加納のバイロケが発砲事件を起こす。飯塚たちは加納のバイロケを殺そうとするが、誤ってオリジナルを殺害してしまう。そうすることで、加納のバイロケは消滅してしまうのだ。他のメンバーのバイロケもしだいに凶暴化していき、やがてメンバーの一人が忍のバイロケに関する恐ろしい事実に気付く。
ホラーということで、驚いたのは刑事の加納役を演じた滝藤賢一さん。この俳優さんは、TVの堺雅人さん演じた「半沢直樹」で同期の銀行員だった負け犬を演じた俳優さんを思い出します。目がぎょろっとして細い体で、バイロケに変身する時の目玉が怖かったです。
難病の息子を抱えている酒井若菜も、バイロケに自分の息子を奪い取られまいと必死で守るのだけど、最後に息子から「偽者」と呼ばれて本当に可愛そうだった。まさか、バイロケの自分にナイフで刺殺されるとは。
またもや、「ルームメイト」と同様につじつまが合っているのかどうか、イマイチ判断しにくい仕上がりだが、本作はドッペルゲンガー物の変奏なのだ。素材が映画的で得をしているようだ。
ヨーロピアンテイストな冒頭の部分は、モノクロで教会で子供たちに本を読んでいる女が、いつの間にか双子姉妹のように対になって立っているのだ。ここから話が始まるのかと期待してしまった。
演出的には白と黒、右と左という具合に二者択一が基調で、分かり安いかと思いきや、偽物には偽物なりの心情というものもあるというコンセプトで、物語が混がらかってしまうのが面白い。
主人公が、自身の体験が信じられないなどと悩む回りくどい設定などは別にして、被害者の会で即座に状況を認識することで、自分の実存感も奪われる恐怖劇をじっくりと描く展開に乗せられてしまった。バイロケを殺しても消えるだけで、またもや出て来るのだ。
主人公の最後が、下の階の勝と一緒にいる忍のバイロケが、絵画コンクールで入賞するとは、やっぱりオリジナルの絵描きとしての才能がないと、人生が終わりだと思い本当の忍が自殺する下りで終わるのだが、結末が異なる裏バージョンも、細部を確認したくなって見てしまったが、こちらも捨てがたしで、目ん玉の恐怖演出だけが際立って恐ろしかった。
自分の増殖というのは、どうも現代人の特質らしくて、自分を褒めてあげたいとか、自分にプレゼントとか、そこいら中、自分だらけだ。でも、こういう自己完結ふうな自分認識は、誰に迷惑をかけるわけじゃなし、勝手にどうぞで済むのだが、それがネガティブになると、もう一人の自分なる存在に追い詰められるらしい。自分探しならぬ、自分壊しか、いや自分が怖いのか。
それなりに、サイコホラーふうな展開を持つこの作品は、やはり人物たちに説得力がないのが致命的で、恐怖よりも空回りという印象が強く感じた。
2014年劇場鑑賞作品・・・19 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
ドッペルゲンガー(ウィキペディア)より検索
原作は、法条遥による第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作品。監督を、『リアル鬼ごっこ』シリーズなどホラー映画を数多く手掛けてきた安里麻里が務める。正反対のキャラクターを演じ分ける水川の演技に注目。
あらすじ:結婚後も画家を夢見て、キャンバスに向かう日々を送る高村忍(水川あさみ)。ある日、スーパーでニセ札使用の容疑を掛けられたことから、見た目はうり二つだが全然違う別人格の“バイロケーション”(通称バイロケ)と呼ばれるもう一人の自分が存在することを知る。さらに、バイロケはオリジナルよりも攻撃的で……。
<感想>ホラー映画とくると、きっと怖いんじゃないの、なんて思うかも知れませんが、この手のホラーは私には全然怖くも何ともありませんでした。自分の近くに出没するもう一人の自分。バイロケーションの出現により存在を脅かされるヒロインの水川あさみが演じて、一人二役に挑戦しているのが見どころ。
物語は、主人公の忍は画家として芽が出ずに苦しんでいたが、5階に住んでいる目の不自由な勝と結婚して幸せを得る忍。バイロケの被害が夫の勝に及ぶのを恐れ、やがて別居を決意する。バイロケには、オリジナルの性格が濃く表れ、オリジナルの大事なものを奪おうとするからだ。
そして、同じ境遇の人々が集まる会で、自分のバイロケに遭遇する忍。鏡にはうり二つのバイロケの姿は写っていないのだ。バイロケに苦しめられる男女3人と、会を主催する男の飯塚が集まっていた。彼らの話が信じられず屋敷を去ろうとすると、目の前に自分のバイロケが現れ、忍はその存在を認めざるを得なくなる。
それに、バイロケ対策を練る日々が続く中、刑事の加納のバイロケが発砲事件を起こす。飯塚たちは加納のバイロケを殺そうとするが、誤ってオリジナルを殺害してしまう。そうすることで、加納のバイロケは消滅してしまうのだ。他のメンバーのバイロケもしだいに凶暴化していき、やがてメンバーの一人が忍のバイロケに関する恐ろしい事実に気付く。
ホラーということで、驚いたのは刑事の加納役を演じた滝藤賢一さん。この俳優さんは、TVの堺雅人さん演じた「半沢直樹」で同期の銀行員だった負け犬を演じた俳優さんを思い出します。目がぎょろっとして細い体で、バイロケに変身する時の目玉が怖かったです。
難病の息子を抱えている酒井若菜も、バイロケに自分の息子を奪い取られまいと必死で守るのだけど、最後に息子から「偽者」と呼ばれて本当に可愛そうだった。まさか、バイロケの自分にナイフで刺殺されるとは。
またもや、「ルームメイト」と同様につじつまが合っているのかどうか、イマイチ判断しにくい仕上がりだが、本作はドッペルゲンガー物の変奏なのだ。素材が映画的で得をしているようだ。
ヨーロピアンテイストな冒頭の部分は、モノクロで教会で子供たちに本を読んでいる女が、いつの間にか双子姉妹のように対になって立っているのだ。ここから話が始まるのかと期待してしまった。
演出的には白と黒、右と左という具合に二者択一が基調で、分かり安いかと思いきや、偽物には偽物なりの心情というものもあるというコンセプトで、物語が混がらかってしまうのが面白い。
主人公が、自身の体験が信じられないなどと悩む回りくどい設定などは別にして、被害者の会で即座に状況を認識することで、自分の実存感も奪われる恐怖劇をじっくりと描く展開に乗せられてしまった。バイロケを殺しても消えるだけで、またもや出て来るのだ。
主人公の最後が、下の階の勝と一緒にいる忍のバイロケが、絵画コンクールで入賞するとは、やっぱりオリジナルの絵描きとしての才能がないと、人生が終わりだと思い本当の忍が自殺する下りで終わるのだが、結末が異なる裏バージョンも、細部を確認したくなって見てしまったが、こちらも捨てがたしで、目ん玉の恐怖演出だけが際立って恐ろしかった。
自分の増殖というのは、どうも現代人の特質らしくて、自分を褒めてあげたいとか、自分にプレゼントとか、そこいら中、自分だらけだ。でも、こういう自己完結ふうな自分認識は、誰に迷惑をかけるわけじゃなし、勝手にどうぞで済むのだが、それがネガティブになると、もう一人の自分なる存在に追い詰められるらしい。自分探しならぬ、自分壊しか、いや自分が怖いのか。
それなりに、サイコホラーふうな展開を持つこの作品は、やはり人物たちに説得力がないのが致命的で、恐怖よりも空回りという印象が強く感じた。
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