1980年代にアニメ化されてから、今でも根強い人気を誇っている北条司の漫画「シティーハンター」を、フランスで実写映画化。大ヒットコメディ映画『世界の果てまでヒャッハー!』を手がけたフィリップ・ラショーが監督・脚本だけでなく主演までも務めた。小学生の時に、「シティーハンター」と「ドラゴンボールZ」を大好きになったという監督が、18ヵ月かけて書いたという脚本を持って原作者のもとを訪ね、映画化のOKをもらったというほどの熱の入れようだ。日本公開(デラックス吹替版)では、アニメシリーズでおなじみの豪華声優陣が集結した事も話題だ。フランスではすでに、観客動員168万人を突破する大ヒットを記録している。
あらすじ:ボディガードや探偵を請け負う凄腕のスイーパー(始末屋)=「シティーハンター」ことリョウは、相棒のカオリとともに日々さまざま依頼を請け負っていた。そんなふたりのもとにある日、その香りをかいだ者を虜にする「キューピッドの香水」の奪回という危険な任務が依頼人から持ち込まれる。狙われた香水の背後には“ユニオンテーペ”なる謎の組織が絡んでいるらしい。香水が悪用されれば世界は危機に陥る事は必至だ。タイムリミットは48時間…。
<感想>原作漫画、アニメが、もともと実写映画の要素を組み込んだ作品だったので、それがまた面白くなるかという疑問はあったが、監督・脚本・主演を務めたのは、コメディ映画「世界の果てまでヒャッハー!」などを手掛けたフィリップ・ラショーが、コミカルな要素を強調したことで、かろうじて存在意義がたもてているように見える。しかし、原作にもあるようにセクハラや下ネタの部分については、実写表現ではさすがに厳しいものがあるようでした。
来日したラショー監督に、「シティーハンター」の思い出、夢だったという映画化への思いを聞いた。リョウは、お茶目で愉快で愛らしいところもあるけれど、危険が迫ってくると無敵になる。当時見ていた子どもたちにとってのヒーローだったんだ。僕が映画監督として仕事をするようになったとき、「シティーハンター」を映画化するという子どもの頃からの夢を叶えることに成功した。
監督は主人公に成り切るために、プロテインを摂取して、トレーニングをたくさんして、8キロ増量したそうです。髪の毛の色も変えたし、リョウになりきろうとして、見た目もだけれど、「シティーハンター」の世界観を作り上げるうえで、どのシーンもできるだけ原作に忠実にしようと思ったそうです。
特に、漫画と同じカット割りにもこだわったそうで、今までの作品はコメディが多かったけれど、今回はアクションが入っているから、銃の扱い方も勉強してチャレンジしたそうです。自分をトム・クルーズだと思って演じたよ(笑)
そして、海坊主を演じたカメル・ゴンフーは、格闘技の選手であり、海坊主に似ている映画俳優がフランスでは見つからなかった。でも、カメルは本当にそっくりだから満足しているとのこと。
フランス人が日本の漫画を実写化するのは無理だって、ネガティブな声が多かったが、みんな「ドラゴンボール」がアメリカで実写化された時のイメージが強かったから。でも、実際に完成した作品を見てもらったとき、フランス人なのに、ちゃんと実写化できるって見直してくれて、フランスでも、この映画のイメージが変わってとても良かったそうです。
実写として映画化するには、何よりも北条司先生が「シティーハンター」に込めた魂をリスペクトすることを、1番重視したそうです。リョウとカオリがお互い好きあっているのに、うまくいかない様子や、リョウと海坊主の敵だけれどいざというときには助け合える関係など、原作でのキャラクターの描き方を尊重して構成。
見どころは、やっぱり、カオリのハンマーのシーン。100トンハンマーは脚本のときから考えていて、絶対に入れたかったので、アニメのようには上手くいかなくて、結局はあのシーンで登場させることにしたという。とにかく、アクション、笑い、泣き、ツッコミどころ、鳥(カラス)、何から何までシティーハンター。ファンが求める全てがそこにあった!
ただし、あくまでフランス映画なので、フレンチ的な下ネタが多いのが気になるっちゃ気になりますね。市長の名前がモッコリーとかね。
映画は、モッコリーがオペをおこなう手術室に、リョウと海坊主が乱闘しながら入ってくるシーンから始まり…激しい闘いの末、リョウはどうにか海坊主を倒す。この冒頭シーンからいきなり”際どい”シーンが…って、手術シーンなので、患者は素っ裸であり、しかもモザイクではなく、あそこを”カラス”が隠してくれています。
「キューピッドの香水」の容器を奪回するサスペンス&アクション、そしてコメディとしての骨格と見どころが整備されているので、予想外の結末を含めて、たわいなく笑って観ていられる。ともあれ、監督・主演のフィリップ・ラショーの狂気じみたシティハンター愛が、ダダ洩れ状態の快作バカ映画であり、監督の情熱がすべての作品でした。
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