パピとママ映画のblog

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グッバイ、サマー ★★★・5

2016年10月29日 | アクション映画ーカ行
「エターナル・サンシャイン」「僕らのミライへ逆回転」のミシェル・ゴンドリー監督が自身の少年時代の体験をもとに撮り上げた自伝的青春ストーリー。家でも学校でも悩める日々を送る14歳の少年が、風変わりな転校生と友情を育み、自動車を自作して大冒険に繰り出す甘酸っぱくもほろ苦いひと夏の青春を綴る。主演はオーディションで選ばれた新人のアンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ。共演にオドレイ・トトゥ。
あらすじ:中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれてバカにされているダニエル。憧れのローラには相手にされず、家でも過干渉な母や暴力的な兄への不満は募るばかり。そんなある日、自分で改造した自転車を乗り回し、ガソリンの匂いを漂わせている変わり者の少年テオが転校してくる。クラスに馴染めない2人は思いがけず意気投合し、親友に。2人は夏休みにこの街を抜け出そうとある計画を立てると、さっそくスクラップでログハウス型の車を自作し、大冒険と旅立つのだったが…。

<感想>子供でもない大人でもない、14歳の春休みに、“動くログハウス”で旅に出る2人の少年を描く青春ロードムービー。一種のファンタジー映画ですよね。こういうのって、つまりはリアリズムではないということ。ここに描かれた少年たちは現在にも過去にも、どこにも存在していない。ただ監督の脳内世界だけに棲んでいるのだから。だって、パソコンやiphoneが出てくるし、だからって、一概に悪いわけでもない。フィクションなんだもの。

出演はいずれもオーディションで選んだアンジュ・ダルジャンのダニエルと、テオフィル・バケの変わり者の転校生テオの2人。その他にはダニエルの母親にオドレイ・トトゥが演じている。

ダニエルは絵が得意で、女の裸も自分で描くし、授業中もイラストに夢中で密かに溢れる才能を発揮している。そこへ、転校生のテオがやってきて、自分で改造したチャリに乗り登校する。マイペースなテオとダニエルは周囲から浮いた存在であり、二人は意気投合し親友になる。

そして計画を立てるのだが、スクラップを集めて“夢の車”を作り、それで旅をしようというもの。公道を走る許可は取れそうになかったが、ダニエルの発案で外見が小屋のようなアイデアで、超シビれるデザインであり、警察の眼をごまかすことに成功。

二人のひと夏の冒険は、トラブル続きで変な奴に絡まれたり、ダニエルが髪の毛を切りたいと床屋を探して、日本人の風俗嬢のいる変な大人の店に入り、落ち武者のように髪の毛をバリカンで剃り上げられ、お金をぼったくりされたり、仕方なくホームセンターで、売り物なのにこっそりとバリカンで坊主頭にそり上げるなんて、それもかっこいいからね。
それに、小学生の絵画コンテストに年齢を偽り飛び入り参加して、優勝は逃したが2等賞になり、帰りの飛行機のチケットが賞品だったとは。絵画コンクールに出ている間に、道端に置いた“動くログハウス”が燃やされてしまい、帰りはどうするの?・・・と、二人は途中で喧嘩したり、それでも旅が終わるころにはテオに影響されたダニエルが、ほんのちょっぴり成長する。

ロマンチックで芸術家肌のダニエルと、兄貴分のメカおたくのテオ。世間を軽蔑しながらも世間に同調できない不安、年頃のセックス事情への不安と憧れ、家族や学校への疎ましさ、二人とも男同士の「リトル・ロマンス」のようにも取れる。
動く自動車は、家族や学校のしがらみから逃れ好きなところへ行けるアジール。こんな車を夢見る少年って、いないと思う。ラストで黒焦げになって谷底へ落ちる車は、幼年期との決別のようだ。

この旅で二人は、周囲にいる人たちの気持ちを思いやるようになり、自分の殻を打ち破るのだ。ですが、帰ってみると家族は心配しており、葬式に間に合ったからいいものの、テオの母親は亡くなってしまう。だから、テオはまたもや転校せざるを得なくなってしまう。
二人は、折角親友になれたのに。甘酸っぱくもビターであり、ファンタスティックな味わいはまさにミシェル・ゴンドリー監督だからかなぁ。

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