パピとママ映画のblog

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華氏119★★★★

2018年11月19日 | アクション映画ーカ行

 「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、トランプ大統領を誕生させたアメリカ社会の混迷ぶりを解きほぐしていくドキュメンタリー。

<感想>本作での「華氏119」では、トランプの過去を洗い、大統領選でのヒラリー・クリントンの敗因を分析、選挙制度問題の不備を指摘し、民主党の内部抗争を暴き、民主党の体たらくぶりを告発している。

さらには、銃乱射事件で生き残った高校生の銃規制への涙の訴えや、汚染水問題に立ち上がった住民、低賃金に抗議する教師のストライキなど、巨悪に立ち向かう個人の勇気ある国民を紹介し、一人一人の行動を呼び起こす。2018年11月6日に行われる米中間選挙に先駆けて「華氏119」は全米で公開された。果たしてムーアはトランプに打ち勝つことが出来るのだろうか?

映画の冒頭で、トランプが選ばれたのにはグウェン・ステファニのせいもある、というユーモア溢れるくだりが大きく取り上げられてしまったことは、作り手であるムーアにとって、やや意外だったようだった。

当時、トランプは、メジャーネットワークNBCで、リアリティ番組「The Apprentice」に出演していた。ステファニは、やはりNBCが放映するコンテスト番組「The Voice」にに出演している。NBCがステファニに自分よりも高い額のギャラを払っていると知り、激怒したトランプは、「自分がどれだけ愛されているかを証明する方法を考え、あるアイデアを思いついた」と、ムーアは言う。それが大統領選への立候補を表明することだったとは。その時は、本気じゃなかったと言う。だけど群衆を前にしてそれを口にしたことで、その気になってしまったと言うのだ。

トランプ叩きの映画として早くから期待されてきた今作は、トランプ以外のことをも容赦なく叩くのである。例えば民主党だ。本来ならば一般人、労働者たちの味方であるべき民主党が、共和党と同じようなところから政治資金をもらい始めたことで、その機能が弱まってしまったことにある。

ヒラリー・クリントンが、ウォール街から多くのお金をもらってきたことは、選挙中にもたびたび指摘されていたが、映画はそれよりもっと前に遡って、近年の民主党の変化を説明する。もう一つは選挙人制度。2016年の選挙で、投票総数ではクリントンが勝っていた。ですが、奴隷制度から残る当時の妥協の結果だった選挙人制度のせいで、トランプが当選してしまったのであります。選挙人制度のもとでは、民主党寄りのカリフォルニアなどは圧倒的に損で、奴隷制度が根強かった南部が得なんですね。

映画は途中から選挙問題から離れて、つい最近アメリカに衝撃を与えたいくつかの出来事に話題を移す。一つはミシガン州フリントの水道水汚染問題。もう一つは、今年2月にフロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件。さらには、學校の先生の給料が安すぎの、ストライキが起きたことにも触れられます。それらの根底にあるのは、民主主義の歪んだ現実と、メディアの統合の弊害であります。

フリントの問題は、アメリカで大きく報道されたが、初めてニュースに取り上げられたのは、14カ月も経ってからのこと。しかもアメリカ国外では、このことについて知らない人の方が多い。大きな湖と川が流れて水道水は十分にまかなっていけるはずだったのに、その湖や川に自動車工場から鉛が垂れ流しにされて、それが水道水を汚染させて、口にしたフリントの人々は鉛を体内に貯蓄して病気になるという。そのことを、メディアが大きく取り上げ騒げば、州の水道局が動き、害のない水道水を供給できるようになるはず。

フリントはデトロイトから60マイルほどのところにある。自動車産業の中心地だったデトロイトには、かつて、ABCや、CBS、ニューヨーク・タイムズ、L.A.タイムズなどが支局を置いていた。それらは、全部撤退している。メディアが減ると、ジャーナリストたちは、それまでの倍以上の範囲を担当しなければいけない。だから、人口10万人の街で、勝手なことをやれるんだよ、誰にも気づかれないからね。

次のバークランドの高校生たちが、事件後に全国規模で抗議マーチを実現させたことだ。海外でも広く報道されて、あの子たちの行動が、さらにしっかりと描かれ感心させられます。

中間選挙まで2カ月を切った9月初旬に、トランプ政権への支持率は下落したことについて、米中の貿易戦争で農家が打撃を受け、大統領選でトランプを支えた中西部では目立ってダウンしていることも明らかになった。また米紙ニューヨーク・タイムズが、大統領を批判する匿名の「トランプ政権幹部による告発」を掲載したことで、高感度が大きく低下したことも見られる。

さらには、若者層に絶大な人気を誇る女性歌手のテイラー・スウィフトが、中間選挙で民主党に投票するとSNSで表明。カントリー・ミュージック出身で保守層から人気も高い彼女の発言が、与える影響力は多大と見込まれます。

そして、米最高裁判事にトランプ大統領が指名した保守派の、ブレット・カヴァノーが正式就任したことも、米国中を騒然とさせた。彼には、過去に性的暴力疑惑が次々と浮上しており、彼を擁護する共和党とトランプに批判が集中したというのだ。これら一連の流れを受け、中間選挙へ向けて特に下院での共和党の劣勢が報じられている。

今作「華氏119」は、トランプ政権への逆風を追い風とし、中間選挙で民主党を勝利に導く一撃となり、2020年のトランプ再選を阻止できるか、という強いメッセージが伺われます。

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