パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

白い帽子の女 ★★

2016年11月02日 | アクション映画ーサ行
交際のきっかけとなった『Mr.&Mrs. スミス』以来となる、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー・ピット共演のラブストーリー。1970年代の南仏を舞台に、あることがきっかけでそれぞれの殻に閉じこもった夫婦の関係を映す。『ミモザの島に消えた母』などのメラニー・ロランや、『わたしはロランス』などのメルヴィル・プポーらが共演。監督も務めるアンジーをさまざまな側面で支えたブラッドとの力作に注目。
あらすじ:1970年代、アメリカ人小説家ローランド(ブラッド・ピット)と妻ヴァネッサ(アンジェリーナ・ジョリー・ピット)は、バカンスで南仏を訪れ、海辺近くのリゾートホテルに滞在する。ある出来事によってお互いすれ違ったまま、夫は村のカフェに通い詰め、妻はホテルに引きこもっていた。そんなとき、ハネムーンで若い男女(メルヴィル・プポー、メラニー・ロラン)が隣室にやってきて……。

<感想>最近TVを賑わしているブランジェリーナ夫妻の離婚、それがこの作品を撮影していた時は、新婚旅行で訪れたマルタ島で、夫婦一緒に映画を撮るというもので、ロマンチックに聞こえるが、こうした他人の想いで作りに付き合わされていい想いをしたためしがない。

昔のフランス映画を意識したような、アンジェリーナ・ジョリー・ピット作品であり、彼女にとっては3度目となる監督作品でもある。10年前の『Mr.&Mrs. スミス』以来、ファンとしては同じスクリーンで二人を再び拝める幸せを感じてしまう。殴り合い、愛し合った躍動感あるアクション・ラブストーリーとはさすがに違い、大人だからこそ知り得た痛みや苦しみを滲ませる男女の愛憎劇が本作の核になっている。

70年代の南仏の避暑地へアメリカ人の小説家夫婦がやってくる。洒落た車に海辺のカフェ、エレガントなドレスに帽子、流れる音楽はセルジュ・ゲンズブールが作ったポップスである。風景は抜群だし、周りの人たちも優しいのに、夫のブラピは一人で酒ばかり飲んで、精神を病んで部屋に引き籠る妻。

すれ違いの関係に光を当てるのは、隣の部屋の新婚夫婦である。かつては自分たちも持っていた希望や未来をそこに見る。純粋に欲望をぶつけ合う姿に心を奪われ、そして嫉妬する。人間心理の複雑さから目を逸らさず愛の本質を描こうとするのは、フランス映画的なアプローチでもある。

監督も兼ねているアンジーが映画作家として新たな境地に立ったことは間違いない。新婚夫婦には、メルヴィル・プポーとメラニー・ロランが演じており、他にも海辺のカフェの主人にニエル・アレストリュブや店に良く来る老人にリシャール・ボーランジェなどフランスの大御所も顔を揃えているのも良かった。

もうダメっぽい夫婦が、ホテルの部屋の壁穴から、隣室の若い新婚カップルを“覗き見”するだけで2時間はあったと思う。倦怠期の夫婦が、ワインを片手に二人で壁の穴を覗いて、他人のベッドインを楽しむというアブノーマルぶりにも驚くが、この”覗き”をテーマにした小説はあるようだ。

ここで再び燃えてアレコレとするとか、そんなに倦怠期の夫婦みたいな関係を見せられても嫌気がさしてくるばかり。元ダンサーの妻はいつも暗い顔をしていて、観ている方もうんざりだし。夫がホテルの部屋へ帰って来るも妻がいない。夫が隣の部屋を覗くと、妻が男の前に立っているではないか。
サスペンスのつもりかしれないが、悪い効果しかもたらさず、ヒッチコック的な倒錯の主題が突然浮上するのは意外に面白く、途端にカット割りと音楽も、今にも殺人が起こりそうな雰囲気を漂わせ始めるのも面白い。
そして、女の哀しみが唐突に現れて明かされる。妻は新婚当時に子供を流産して、それ以来子供を産めない体になり、心を病んでいく。夫はそのことなど、あまり気にせずに、妻が不機嫌な態度をとるのにイラつくのだ。
男はそのことを小説に書くのだが、女の心はそれで納まるのだろうか。ブラピに離婚申し立てをしたアンジーだが、なるほど、その布石や前兆みたいな作品だと考えれば筋が合うようですね。
2016年劇場鑑賞作品・・・234映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング