パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

過去から来た女 ★★★

2014年03月02日 | DVD作品ーか行
フランス映画祭2008年オープニング上映作品。 ソフィー・マルソー監督・脚本・主演によるサスペンス・アクション 世界に名高いホテル王が失踪。 捜査をする刑事の前に現れた謎の美女。 それは、30年前に死亡したはずの女優だった。 男と女の欲望が交わった時、封印された過去が動き出した!!
あらすじ:パリ市警のジャックは、ある日ヴィクトリアと名乗る、若く美しい女性から、ホテル経営者失踪事件の調査を依頼される。
謎めいたヴィクトリアに魅了されたジャックは、調査のためホテル・ノルマンディへと向かう。すぐにジャックは、誰も知らない隠し部屋を発見する。そこに残されていたのは、30年前に交通事故によって死亡した、大女優ルーシーの膨大な数の写真。愕然とするジャック-----その女性こそ、紛れもなくヴィクトリアだったのだ。
混乱するジャックの前に警察の手を逃れながら度々現れては、謎を解く鍵を残してゆくヴィクトリア。そして、ジャックは失踪事件の裏に隠されていた、過去の歪んだ愛が生んだ忌まわしい秘密にたどり着く…。(作品資料より)

<感想>第16回フランス映画祭で、「ドーヴィルに消えた女」の題名で上映されたサスペンス映画だが、何と言っても話題はこの映画祭の団長を務め、現在フランス映画界のトップに君臨する女優ソフィー・マルソーである。主演はもちろん、監督、脚本も兼任したという映画。
かつて80年のデビュー作「ラ・ブーム」の大ヒットでフランスのアイドル女優として日本でも大人気だった彼女が、四半世紀以上を経て、今や貫禄すら漂わせる大女優となり、こうして“一人三役”をこなし、堂々と映画全体を仕切るのだから立派としかいいようがないです。しかし、DVDではタイトルが「ソフィー・マルソーの過去から来た女」で、リリースされています。
物語は、妻を失った痛手による記憶障害などが原因で、署内でも問題児扱いされているパリ市警刑事ジャック(クリストフ・ランバート)の元に、奇妙な失踪事件の調査を依頼しに、ミステリアスな美女(ソフィー)が現れるところから始ります。
やがて、経営者の消えた問題のホテルを捜査すると、隠し部屋の中で、30年前に事故死した女優ルーシーの写真を発見するが、それは調査を依頼してきたあの美女と瓜二つだったのです。
ソフィーの初監督作の「愛を話して」(02年、日本未公開)は、別れる男女を題材にしたシンプルなストーリーだったそうだが、こちらはかなり入り組んだ本格サスペンスで、監督2作目にして、すでに巨匠の風格すら感じるほどである。
主舞台となるホテルは、北のノルマンディ、高級保養地ドーヴィルの4ッ星ホテルが舞台である。時代からとり残されたように佇んでおり、ある意味“陰の主役”とも言えるほどの存在感を醸し出している。一見荒唐無稽な話であるが、ハナシは破綻なく進行していく。ソフィーの原案だそうだが、上手に映画化されていると思いますね。
謎の美女に翻弄されるワケあり男というのは、ヒッチコック映画や、デパルマ映画のソレと同じく、ファム・ファタールものの常套手段だが、その“運命の女”を演じる自分を演出するのは、相当の自信がなければできないはず。“30年前の女優”を演じ、演出するのは、実際に現役の女優である私にしかできないわ・・・と映像で豪語しているかのように思えた。

黒いサングラスをかけ、いかにもの出で立ちで登場するソフィー。これぞフランス女優魂か!・・・。ちなみに、私生活のパートナーでもあるクリストフ・ランバートをぬけぬけと主演させるのも、フランス映画界の女王だからこそ許されるのでしょうね。
サスペンス映画なので、ネタばらしもほどほどにということで、ヒントは“愛の妄執”とでもいうのでしょうか、謎めいたヴィクトリアに魅了されたジャック。やがてジャックは、失踪事件の裏に隠されていた、忌まわしい秘密にたどり着いて…。
その忌まわしい秘密とは、死んだはずのホテル王とヴィクトリアとの間に出来た子供が、実はルーシーだった。
それも、父親が娘を幼児性愛と言うべきなのか、近親相姦のような映像もあって、ルーシーが自殺未遂でジャックと同じ精神病院へ入院していたということも。
やはりヴィクトリアは、交通事故で死んでいたわけで、瓜二つの女は娘のルーシーでしょう。では何故ジャックに捜査を依頼してきたか?・・・それは、ルーシーがジャックの助けが必要だったから。
しかしながら、序盤はまとまりに欠けるものの、次々と謎が明らかになるにつれて流れがよくなり、結構凝った作りなんだと感心しました。
黒い髪のカツラを被ったり、昔の自分(ソフィー)の写真を壁に貼ったり、自分が出ていた古い雑誌も、今年42歳とは思えぬ美貌を、惜しげもなく披露しているソフィーが、最後にオイシイところを持っていくのはご愛嬌ということでしょうか。
まぁソフィー・マルソーのファンなら、存分に美貌は堪能出来るので、ヒッチコックの作風や、ファム・ファタールが好きな人にお薦めしたい作品ですね。
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