パピとママ映画のblog

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レジェンド 狂気の美学 ★★★★

2016年07月26日 | アクション映画ーラ行
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のトム・ハーディが1人2役で双子のギャングを演じたクライムサスペンス。「ザ・クレイズ 冷血の絆」(1991)などでもその人生が映画化されてきた、実在の双子のギャング、クレイ兄弟の栄光と破滅を描いた。1960年代初頭のロンドン。貧しい家庭で生まれ育ったレジーとロニーのクレイ兄弟は、手段を選ばないやり方で裏社会をのしあがり、アメリカのマフィアとの結託や有力者たちとの交流を深めることでイギリス社会に絶大な影響力を及ぼしていく。そんな中、部下の妹フランシスと結婚したレジーは彼女のために足を洗うことを決意し、ナイトクラブの経営に力を注ぐようになるが……。レジーの妻フランシス役を「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」のエミリー・ブラウニング、ゲイであるロニーの恋人役を「キングスマン」のタロン・エガートンがそれぞれ演じた。「L.A.コンフィデンシャル」「ミスティック・リバー」などの名脚本家ブライアン・ヘルゲランドが監督・脚本を手がけた。

<感想>今や売れっ子のスター俳優トム・ハーディが、1人2役に挑んだクライムサスペンス。60年代の英国と言えばビートルズでしょうね。同じころにイギリスで悪名を轟かせた双子のギャング、レジー&ロンのクレイ兄弟の栄光と破滅を描いている伝記映画でもある。

クレイ兄弟はイギリス犯罪史上、あの切り裂きジャックと並び称せられるほどの有名人。監督のブライアン・ヘルゲランドは現地で入念なリサーチを行いつつ、アメリカン・マフイア映画の様式を取り入れ、兄弟のギャングとしての美学と狂気の両面を描き上げている。邦題のサブタイトル「狂気の美学」とは、主演格の兄レジーよりも、心を病んで凶暴な弟ロンから付けたものだろう。

レジー役を依頼されたトム・ハーディが、一卵性双生児のロンを演じたいといったのも当然のことであり、やりすぎなくらいに生き生きと演じているのだ。ユーモア精神旺盛で、ロバをカジノに連れてくるバカなことをするロン。これも実話だそうで映画の成功は、彼が二役を演じたことにあり、それを支えるメイキャップや衣装も見事であります。

そして、撮影中のハーディは風貌も性格も異なる兄弟を変貌自在に演じ分け、兄弟同士の派手な乱闘シーンも熱演。まさに本作は、演技の鬼ハーディの魅力を心ゆくまで堪能できる作品と言えるでしょう。

だが、兄は掛け値なしのロマンチストであり、愛情とセックスを結び付けることが出来なかった。ゲイで少年好きの遊び人のロンとは対照的でもある。兄のレジーが結婚したことから、フランシスに嫉妬して俺のレジーを奪った憎い女と虐めたという。

しかし、悪名高きクレイ兄弟のわりには、あまり大したことやってないと思う。この映画で前面に出るのは犯罪行為よりもむしろロマンスであり、恋人役のエミリー・ブラウニングが不幸なヒロインを強い存在感を持って演じている。

だから、最大のお楽しみはやはり、素晴らしくハンサムでロマンチックなレジーと、完全にクレイジーな、しかし正気の時は思いがけなく優しさを見せる、ロンを演じ分けるトム・ハーディの魅力だろう。兄と弟の堅い絆と反目、二人の間に挟まれて壊れてゆくレジナルドの妻フランシス。最後が薬づけになり自殺をしてしまうフランシスが哀しい。そのフランシスが語り部となっている。

離れたくても離れられない双子の歪んだ愛憎の奥底までには深く踏み込んでいるとはいえず、エンタテイメントとしても実録ドラマとしても楽しめながら、バイオレントでロマンティックでもあるユニークな映像の世界を楽しめます。
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