パピとママ映画のblog

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とらわれて夏 ★★★.5

2014年07月02日 | アクション映画ータ行
「ライ麦畑の迷路を抜けて」などで知られる作家、ジョイス・メイナードの原作を実写化したラブストーリー。ひょんなことから逃亡犯の男性をかくまうことになった女性が、彼と惹(ひ)かれ合った果てに重大な決断をする5日間を見つめていく。監督は『ヤング≒アダルト』などのジェイソン・ライトマン。ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリンら、実力派俳優が結集する。彼らの熱演もさることながら、人生や愛のあり方に深く迫ったドラマも見応え満点。
あらすじ:9月初めのレイバーデーの連休が迫る、アメリカ東部の閑静な町。シングルマザーのアデル(ケイト・ウィンスレット)とその息子である13歳のヘンリー(ガトリン・グリフィス)は、逃亡犯のフランク(ジョシュ・ブローリン)と出くわしてしまう。絶対に危害は加えることはないという言葉を信じ、アデルは彼を自宅にかくまうことに。やがて、家や車を修理し、料理を作り、ヘンリーに野球を教えるフランクに安らぎを覚え、魅了させられていくアデル。そして、人生を大きく変えかねないほどの重大な決意をする。

<感想>ジョシュ・ブローリンのファンではないが、新作「オールド・ボーイ」を観たので、ミニシアターで上映していたジョシュとケイト・ウィンスレットのラブストーリーも観たいと思った。脚本、監督がジェイソン・ライトマンだから、この程度のデキは当然であり、まずは期待を裏切らなかった。実に脚本が巧いのだ。
情緒不安定なシングルマザーと13歳の少年の二人暮らし。大人の男手を欠いた家庭が、いかにそれを求め許容していくのかを表すジョシュ・ブローリンの説得力が半端じゃない。ケイト・ウィンスレットの豊満な身体に演技の巧さ、そして、元旦那にはない逞しい体つきと心優しいジョシュ・ブローリンの役どころにも。

鬱の母親と健気な息子の母子家庭に、料理から家の修理、逞しい身体で、車の下に潜って修理する姿、さらには子供のキャッチボールの相手までする。もう、犯罪者であるという危険性すら頼もしさに変わるのだ。
禁断のラブストーリーを息子の成長譚として描きつつ、家の中と外との攻防劇ではスリリングな一幕を演出している。作品の色に沿って、異なる趣きを見せながらも、揺らがないライトマン監督の確かな手つきに見惚れてしまった。

最後には、この二人は逃亡するであろうと思っていたが、年頃の息子にしてみれば大好きな母親を、男に盗られたような気がして父親に手紙で知らせる。
何度も反復される断片のモンタージュが、つまりフランクの犯罪のことで、妻が不倫をしていて妊娠し子供を出産。しかし、その子供は自分の子供なのか不明。遊び歩く妻、子供のことを訪ねるもただ笑うだけ。まさか、殺すつもりもないのに、揉みあった末に転倒して頭を打ち死亡。子供は風呂で水死という。
そのフランクの罪状を観客に問いかけるのだが、内面を遮断するような少年の目が恐ろしいのだ。それに頼ったのか、母親と逃亡犯のフランクとの、セックスに至る推移を省略しているところ。どうして、描かれていないのか、この物語を信用しきれない理由がここにある。いかにも、朝には二人が昨晩ベットを共にしたような、仲の良さに、息子が気が付かないとでも思っているのか。
アデルが元夫に捨てられたいきさつも、アデルに責任があるように責め立てる。これでは、彼女でなくても精神状態がおかしくなってしまう。それに、秘書とデキてしまい夫はアデルを捨てて再婚という、自分勝手な男に腹が立つ。
離婚の時に、息子に父親が自分たちと一緒に住むようにと息子に言うが、心優しい息子は、精神的にダメージを受けている母親を一人にすることが出来なかったのだ。しかし、まだ少年で、大人の女性の内面的なストレスや身体のことまではどうすることも出来なかった。
警官たちが、捜索を繰り広げるなか、いくらいい男だとはいえ、庭作業や、息子とキャッチボールを楽しむのは無防備すぎないか。一番の魅力はひたすら響き続ける音響効果である。それに、お隣さんが身体障害者の息子を預けるというアクシデントが発生する。それでも、家の中ではフランクは慣れた手つきで男の子を扱うのだ。

それでも、理想の父親として脱獄犯人を潜り込ませるという、筋立てが心憎いですよね。演出もまた巧妙でした。丁寧で、的確で、何かと目配りが効いているのだ。ケイト・ウィンスレットとジョシュ・ブローリンの使い方も冴えている。ロマンチックでノスタルジックで、ハートウォーミングで、ただし、手作りピーチパイの甘さが舌に残った。
これは、仕方のないこと。ラストの構成で、結局はフランクは警察に捕まり、刑務所に入るフランク。そのフランクの出所を待つアデル。そして、息子ヘンリーは父親の所で育ち、結婚してパン屋さんになる。そのパン屋さんでは、ピーチパイが人気で大繁盛という結末にも満足でした。
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