パピとママ映画のblog

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ふしぎな岬の物語 ★★★

2014年10月14日 | は行の映画
人気作家・森沢明夫の小説を基に、のどかな里で小さな喫茶店を営む女店主と、店に集う人々との心温まる交流を描いた人間ドラマ。日本映画界を代表する女優・吉永小百合が『八日目の蝉』などの成島出監督と共同で、映画人生で初めて企画に挑戦。主演の吉永とは初共演となる阿部寛、『おとうと』などの笑福亭鶴瓶、『ストロベリーナイト』シリーズなどの竹内結子ら実力派が脇を固める。原作のモデルとなった喫茶店が実在する千葉県明鐘岬を中心にロケを敢行した景色も魅力。

<感想>吉永小百合さんの企画&主演による味わい深い豊かな人情劇です。それは実在する千葉県明鐘岬の喫茶店“岬”がモデル。撮影は店舗のそばにオープン・セットを建てて行われたが、出演者たちは同店に通って癒されたというから、一度機会があったら行ってみたいもんですね。
物語の展開は、隣に住む甥っ子の浩司さん(阿部寛)と一緒に船に乗り小島の石清水を汲みにいく毎日から始まり、店主の悦子さんがいれるコーヒー(ドリップコーヒー)を目当てにやって来る、近所の不動産屋のタニさん(笑福亭鶴瓶)、そして、漁師の徳さん(笹野高史)と突然出戻って来た娘のみどりさん(竹内結子)。その人たちの他にもフラリと訪れるお客たちの心を和ませていた。私も悦子さんの真似をして「美味しくなぁれ、美味しくなぁれ」と呪文を唱えてコーヒーを入れてみようかしらね。
中でも若い父親(井浦新)と幼い娘が、虹を見るために岬を訪れて、店の虹を描いた絵を見つける。虹は幸せを運ぶをいう話があるが、母親が亡くなり娘はその虹の橋を渡って母親が天国へ逝ったと思い込んでいる。

主人公である吉永小百合さん、年を重ねても美しさは変わらず、マドンナ的存在感でスクリーンを包み込みます。そして、笑福亭鶴瓶さんが演じている不動産屋のタニさんは、悦子さんが大好きで自分から結婚を申し込む勇気がない。そうこうしている内に、タニさんが大阪へ転勤になる話が舞い込む。本当は悦子さんにも一緒に大阪へ来て欲しいのに、言い出せないまま一人大阪へと行ってしまう。

それに、漁師の徳さんは、末期の胃癌で余命宣告を受けるも、丁度娘のみどりが帰って来て入院することに。看護する娘に、父親として結婚に反対していたが、離婚して帰って来た娘を温かく迎え入れる。そのみどりを追いかけて東京からやってきた元夫に対して、タニさんがヤクザの親分風に、浩司はチンピラ風になり元夫を脅すのだ。それに、徳さんが娘に生命保険を残して亡くなるとは、最後に悦子さんの甥っ子である浩司と一緒に喫茶店“岬”をやるようで良かったですね。
甥っ子の浩司は、自分に都合のいいように嘘をつき暴れん坊である。でも優しい心を持っていて、この岬には灯台がなく、岬の沖で沈没した船で亡くなった人たちを偲んで、毎晩のようにカンテラを振り、岬を通る船に安全航海を促しているのだ。

そんな話の中に、お見合いツアーでようやく嫁を得た常連客、春風亭昇太の結婚式がある。お嫁さんは東京から来た小池栄子で、村の人たちが参列する。ですが、この結婚は上手く行かず、嫁には堆肥の匂いが我慢できないらしく、離婚すると東京へ帰ってしまう。まぁ、このお話は無くても良かったかもです。

それに、嵐の夜に泥棒が店に入り、現金を出せと包丁を突き刺す男。悦子さんは、現金はレジにあるそのお金だけで、値打ちのあるのは夫が描いた虹の絵だけだと言う。その時、泥棒が悦子さんが大事にしていた水色のコーヒーカップを落として壊してしまう。それは、あの親子が置いていった物。泥棒は悦子と話をしている内に、自分のやっていることがバカバカしくなり心を入れ替えるのだ。

まぁ、そういうドタバタがあり、悦子さんが何となく寂しそうに見えたのが、あの夫が描いた虹の絵を欲しいと、若い親子が訪ねて来た時からなんです。その絵を欲しがっているのは、きっと大阪へ行った不動産屋のタニさんだと思うんです。その絵を追い掛けて、大阪の自分の所へ来てほしいと願っているのではないかしらね。まさか、大切にしていた岬の虹の絵を、親子に渡してしまうとは、思ってもみなかった。

しかし、ある夜のこと、悦子さんが鍋の火をかけたまま考え事をして、火事になってしまい、甥っ子の浩司も駆け付けても火事は消し止められず、それが大事になり全焼という結果に。でも、すぐにその隣にプレハブの喫茶“岬”をオープンさせました。
賑やかだった岬の喫茶店へ来る常連さんたちには、中学教師の吉幾三に、医者の米倉斉加年さん、お寺の和尚の石橋蓮司さん他、賑やかな脇役俳優さん達。
そんな、岬にある喫茶店の主人である悦子さんと、お客さんたちの交流を描いた暖っかい物語です。9月に行われた第38回モントリオール世界映画祭で、審査員特別賞など2冠を受賞というのも嬉しいですよね。
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