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消えたフェルメールを探して★★★

2016年03月19日 | DVD作品ーか行
ボストンの美術館から、フェルメールの作品が盗まれた。人気と希少性で美術史に名をとどろかせる画家である。誰がどこへ持ち去ったのか。盗難絵画探偵が行方を追う。
現存するフェルメールの作品35店。しかし、『合奏』と題された1点だけは、誰も見ることができない…。
あらすじ:1990年春、ボストンにあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に警察官に扮した二人が侵入し、アメリカの美術品盗難史上最高額5億ドル相当(当時)の美術品13点を盗んだ。レンブラントの『ガリラヤの海の嵐』、そしてフェルメール―遺されているたった35作のうちのひとつ、『合奏』である。
ガードナー美術館は、500万ドルの懸賞金を出した。しかし時が経っても、どれひとつとして戻ったものはない。かつて名作のあった場所には、空の額だけがかけられている。いったい誰が何の目的で盗んだのか。
盗難事件に関わった者として、アイルランド系地下組織の大物や美術品泥棒から米国上院議員、元大統領の名までが挙げられ、日本人コレクターによる依頼だという説もあったという。
手がかりは些細な情報と、これまでの探偵稼業で培ったコネクションのみ。ハロルド・スミスの捜索とともに、美術品犯罪の全貌が垣間見えてくる。
映画監督のレベッカ・ドレイファスは、少女の頃に『合奏』に出会い、その神秘的な美しさに圧倒された。

『合奏』の盗難を憂いたドレイファス監督は、世界的にも有名な絵画探偵ハロルド・スミスに電話した。彼女の留守電にスミスからの伝言が残っていた。
レベッカ、よく考えてみました。これは絶好の機会だと思います。
あの事件以来、絵の所在が気になって夜中でも目が覚める。この機会に絵の在りかを突き止めましょう。」
そして撮影は始まり、事件の真相に近づいていく。
この映画は、フェルメールの盗まれた絵画を、絵画探偵ハロルド・スミスが生涯をかけて犯人捜索にあたったドキュメンタリーである。(作品資料より)
<感想>絵画を愛する者たちにとって、とりわけフェルメールを愛する者たちにとっては、この損失は自分の悲しみのように感じられた。私には、映画で、あのスカーレット・ヨハンソンが演じた「真珠の耳飾の少女」が一番のお気に入りだが、実のところ「合奏」は知らなかった。左の絵画は、オランダのハーグ、マウリッツハイズ美術館に所蔵されている。
東京美術館で開催されていた「フェルメール展」は、残念ながら観にいけなかった。現在福島美術館で開催されている”フェルメール展”は観に行きたいですね。「合奏」というフェルメールの絵に魅せられた女性監督レベッカ・ドレイファス。少女のころに「合奏」に出会い、ガードナー美術館の小ぢんまりとしたスペースと共に、その神秘的な美しさに圧倒されたという。

そして、映画監督として、また語り手として、彼女はきわめて稀な犯罪物語に登場する17世紀のオランダの巨匠たちから、19世紀の貴婦人、イザベラ・スチュワート・ガードナー、また現代の詐欺師から、この事件にかかわりがあると報道された有罪者にも興味を持ったのでしょう。
ドレファス監督はまず、国際的な美術品窃盗の背景を知るために、絵画探偵のハロルド・スミスに依頼する。彼は常にフェード帽をかぶり、アイパッチをし、皮膚癌に侵された鼻を隠す為に、偽鼻をつけた礼儀正しい紳士である。ドレイファス監督は、スミスがガードナー美術館から盗まれたフェルメールを取り戻すために、犯人に近いとされている連中に迫っていく様子を撮ろうと狙ったのだと思う。

この作品は、絵画探偵ハロルド・スミスが主人公になって、と言うのは、彼は美術品を発見する業界ではきわめて明晰な頭脳を持った人間の一人で、これまでにも、合衆国での巨大な金塊の窃盗を含め、世界の多くの重大な窃盗事件を解決してきた男なのである。
高額の懸賞金が賭けられているにもかかわらず、これまでに誰も解明できずにいたこの事件を、スミスはこの映画をきっかけに新しい調査をすることによって、何らかの結果が出せるのではないかと思っていた。
盗まれた絵画がどうなったのか?・・・自分自身の手で突き止めて、おそらくは取り戻すべき時がきたのだと考えていたのではないかと思う。
スミスの取った戦略は、単純でありながらも経験に基づく的確なものであり、必ずこの事件のことを知るものが存在し、報酬を欲しがる者がいるだろうと、・・・。
スミスは絵画探偵であって、法の遂行者ではない。誰かを牢に入れたいのではなく、絵画を取り戻したいのだった。
様々なテレビや雑誌で、彼の追跡を取り上げられてもらい、ほんの数週間でこの戦略は効果を表わした。彼の24時間ホットラインは、密告の候補者や、フェルメールの絵を見たと主張する者たちの電話が鳴りっぱなしだったのである。
その後はボストンの地下社会のメンバーとの密会や、かつてのスコットランド・ヤードの探偵との会見、ターボチャージャーと呼ばれるしゃべり好きの密告者との面談など、二つの大陸を横断する壮大な旅となった。オスロで起こったムンクの絵画「叫び」盗難事件(2004年)は解決し、スコットランドのお城から2003年に盗まれたダビンチの「糸車の聖母」も戻ってきて、容疑者が逮捕された。
しかし、ボストンのガードナー美術館で1990年に起こった美術品盗難事件には、解決の糸口がまったくなく、盗まれたフェルメールやレンブラントの絵が戻ってくる可能性は極めて低い。

最後に、多くのテレビ番組では”事件現場”としてしか取り扱っていなかった、ガードナー美術館とそれを作り上げたガードナー夫人を、このドキュメンタリー映画は丁寧に追っている。
と言うより、この美術館が映画の陰の主役といってもいいかもしれませんね。
ガードナー美術館は、非常に美しい中庭と超一流のコレクションを持つ素晴らしい邸宅美術館で、レンブラントやフェルメールが盗まれてもその魅力は揺るがないでしょう。
このフェルメールの絵画は、「レースを編む女」パリのルーブル美術館所蔵です。
10年前にパリに観光旅行した時に、ルーブル美術館の5階だったと思いますが鑑賞しました。

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