松の木は西日本では多く見られますが、パンフルート工房のある広島地区では「松枯れ病」により
ほとんど枯れてしまいました。今では1割がところどころに残っている程度です。
この松のパンフルートは枝付け根の中心部分、ヤニ成分の多い「肥え松」を集めて組み立てました。重いです。
松の木の幹組織の中には冬に成長する木目の細かい部分に粘いヤニ成分を含みます。
特にヤニが集中している部分が枝付け根の中心部位となります。
他の木には見られないヤニ成分を含む特性を最大限に生かすには「枝付け根の部分を集めてパンフルートにするしか
ない」と思いつきパンフルート工房近くの里山に入り肥え松を拾い集めてまいりました。
「マツのザイセンチュウ」に水分を吸い上げる部分を食い荒らされた松の木はやがて枯れ、立ったまま腐り始めます。
10数年経つと木は倒れ地面に接した部分から急速に腐敗が進みますが、枝付け根のヤニ成分の多いところは水分の
侵入をはねつけ生き残ります。
大中小の肥え松。本来中央より左半分が幹の中に埋まっています。幹が腐り抜け落ちます。10数年かけ集めた肥え松。
肥え松のパンフルートは素材組織のなかに油分を含んでいますので重量が重くなります。
中音域テノールパンフルートで比較してみると竹650gに対し肥え松940gになります。
ちなみに桜の木のテノールパンフルートは670gでした。
パンフルート管組織内の比重が高いぶん音は響きを増します。音が重量感を持ちます。
パンフルートから音が進み出たあと、軽い音は四方八方に飛び散るイメージに対し肥え松の重量感のある音は塊が進み、
数m先の地面に落ちて砕けて行く感じです。
音の質量が重いのです。
いま集中して吹き込みを進めていますが、音が前へ前へと出て行くように変わりつつありますので成長を楽しみながら
吹き進めています。
パンフルート製作工房は地元広島の竹や木の素材を使ってパンフルートを製作しております。
購入・修理・パンフルート教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。
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