午前中のバスで出かける予定であった。
ところが、返信の葉書をしたためるのに時間を要し、予定を変更せざるを得なくなった。
(ものごとをこなすのに、倍の時間がかかるようになった。ミスも多く。)
イオン前を経由するバスに乗ろうと思えば、3時間待たねばならない。
不便さには慣れつつも、<住めば都>とも言いがたい不便さである。
3時前イオンについて、飲み物ほか必需品を求めた。
<河口の宿>へ行くため、タクシーに乗る。
「大塚のAまでお願いします」
「わかりました。大塚のAですね」
私は、タクシーをよく利用するので、色々なタイプの運転手に会う。
相手が寡黙な人であれば、私もそれに合わせる。
(都会の場合、観光以外で利用するタクシーの運転手は、目的地に着くまで、もの言わぬ人が多い。)
ところが、田舎では、90パーセントは話好きである。
というより、客へのサービス精神が旺盛なのかもしれない。
(あくまで私の印象として。)
「天気が悪くなるようですね」
と、運転手。
「市の危機管理課から、スマホに届いたの知らせでは、悪天候に要注意とありました」
「えッ? スマホを使われるのですか」
(この老婆にして、という思いだったのだろう。)
「はい。スマホも、PCも…」
(決して使いこなしているとは言えないのだが…。)
「それは立派! 僕の得意は、料理とカラオケくらい」
「羨ましい話です。私は料理が苦手で…」
(料理が得手なら、まだ家で自立できるのだが、栄養のバランスのことなど考えると、人の力添えが必要な時期に来た、と考えるようになった。
栄養バランスのとれた食事をいただくために、気分転換も兼ねて、<河口の宿>を訪れている。)
「料理は女性の仕事と決まっているわけではないですものね。一流のコックさんは男性の方がはるかに多いようですし…」
「そんなに立派な料理は作れないが、作るのは好きですね」
「好きなだけで十分だと思います」
「僕もPCやってみようかなあ」
「料理の作り方なども、簡単に検索できますよ」
「62歳からでもやれるでしょうかね?」
「大丈夫です!」
私は、確信に満ちて答えた。
が、私は70歳から始めたのですから、と説明をしないうちに、<河口の宿>に、タクシーは到着。
1月21日追加
19日の夕食膳。
食材も、味も、彩も、みな気に入って、おいしくいただく。