ぶらぶら人生

心の呟き

美容院にて

2016-03-18 | 身辺雑記
 M美容院に出かけた。
 あいにくの雨となった。

 担当のMさんがお休みで、Tさんがカットやシャンプーをしてくださった。
 Tさんとお話しするのは、初めてである。
 Tさんの出生地をうかがった。
 「N地区で育ちました」
 と。
 地名を聞くと同時に、思い出す人があった。
 故人Aさんのお顔が浮かんだ。

 Aさんには、二つの思い出がある。
 私が風邪をこじらせ、重い咳に苦しみ続けていた時、水薬を勧めてくださった。
 「良薬は、口に苦し」というけれど、それは甘く、とろっとした、口においしい薬だった。
 魔術にかけられたかのように、よく効いて、たちまち咳が止まった。
 (Aさんの家は、薬局を営んでおられたのだ。)
 
 もう一つは、広大な栗園に招待してもらったことである。
  後にも先にも、あれほど広い栗園を見たことはない。
  緑色をした毬栗が、たくさんなっている季節だった。
  みどりの香を運ぶ風が、吹いていた。
  遠い遠い思い出である。

 Tさんは、故人Aさんをよくご存じだった。
 「私の祖父がAさんと同年で、子どものときは栗園で遊んだり、何かにつけ薬をいただきました」
 と、Tさんは話された。

 故人のAさんにまつわる思い出を、お互いに抱いていることの不思議を感じた。
 それも、栗園であったり、薬であったり。
 大きく異なるのは、私にとっては30歳半ばの思い出であり、一方、Tさんにとっては、幼い日の思い出であることだ。

 心の中に、懐かしい思い出が多いのは、幸せなことといえるだろう。


      帰宅した雨の庭に、<今日の花>が、咲いていた。
  
      ハナニラ            チオノドクサ           ツバキ
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