ぶらぶら人生

心の呟き

『老いのゆくえ』

2019-08-04 | 身辺雑記
 朝日新聞の書評欄(7月27日)に、黒井千次著『老いのゆくえ』が紹介された。(評・柄谷行人)
 早速入手し、今日の読書となった。

          黒井千次著
         『老いのゆくえ』

          (中公新書)

       


 読売新聞に、黒井千次さんのエッセイが掲載され始めた2005年5月より少し前から、読売新聞に読みたい別の記事があって、朝日新聞と併読していた。
 それがなんの記事であったかは忘れたが、近所に在住だった故人・ATさんの紹介で、読み始めたことは覚えている。
 暫くのつもりで購読し始めた読売新聞を、結局数年間取り続けた。
 そのうち、黒井千次さんのエッセイが掲載されるようになり、楽しみにして読んでいた。しかし、そのエッセイだけのために、二つの新聞を購読し続けるのは経済的にも負担が重く、途中で読売新聞を中止した。

 が、黒井千次さんのエッセイは、のちに一冊の本にまとめられ、中公新書から出版された。
 それを購入し、黒井千次さんの<老い>の体験と私自身の老いを重ねながら読んできた。

 『老いのかたち』(2010年)・『老いの味わい』(2014年)、そして、今回、3冊目として、『老いのゆくえ』が刊行された。
 その都度、ブログに感想を書いたはずだが、何を書いたかは皆目思い出せない。

 黒井千次さんは、1932年5月生まれ、私は1933年1月生まれなので、生まれ年の違いはあるけれど、学年で言えば、同級生である。
 ほぼ同じように老いの道をたどっているので、自分のことが書かれているような気さえして、実に面白いのだ。
 老いの正体は、自分自身とすればなかなか大変なのだが、客観的に眺めると滑稽至極なところもある。
 読みつつ、老人ショーを見ている感じだ。
 実生活では辛いことであったりもするのだが、黒井千次さんの筆力で表現されると、笑わざるを得ない。
 転倒や物忘れ、記憶の弱りなどなど、若い時代と比べればマイナスのことだらけなのだが、 滑稽である。
 そうです! そうです! と、クスクス笑って頷きつつ読んでいるうちに、今日の一日が過ぎ去った。
 老いとはこういうものですねえ、と、一話を4ページにまとめられたエッセイのそれぞれに共感を覚えつつ。

 黒井千次さんの<老い>のエッセイは、なお書き続けられているようだ。
 次のエッセイ集が出るときまで、私のいのちを歩み続けられるかどうか?
 生きているだけではしようがない。
 活字を楽しめる状態で、そのときが迎えられればこの上ない幸運と思う。(⁇)
コメント
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