いつの間にがらりと涼しチョコレート 星野立子
『私の好きなこの一句』(現役俳人の投票による上位340作品) 柳川彰治編著・平凡社刊(写真)
を読んでいて、上句に出合った。
<がらりと涼し>の日が待ち遠しい。
<立秋の日>以後は、幾分暑気が収まりつつあるけれど、「がらりと」という感じではない。
先日、本屋で求めた『私の好きなこの一句』は、編集の試みが面白い。
現役俳人の投票によって選ばれた俳句集である。
選択の対象は、江戸から平成までの俳句作品から、となっている。
編著の意図としては、松尾芭蕉の句のランク付けを確認したかったようだ。
一読者の私には、それはどうでもいいことである。
こういう類の本は、どこから読み始めてもかまわないという自由さが嬉しい。
さすがに高得点の句は、人口に膾炙したものが多く、素人の私でも口ずさめる句ばかりであった。
海に出て木枯帰るところなし 山口誓子
芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏
おりとりてはらりとおもきすすきかな 飯田蛇笏
遠山に日の当たりたる枯野かな 高浜虚子
一月の川一月の谷の中 飯田龍太
花衣ぬぐや纏わる紐いろいろ 杉田久女
外(と)にも出よ触るるばかりに春の月 中村汀女
去年(こぞ)今年貫く棒の如きもの 高浜虚子
菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村
以上が、上位10句である。
松尾芭蕉の
閑さや岩にしみい入る蝉の声
が、12位にランクされている。
有名な句は、幾度読み返してもいい。
が、この本には、知らなかった名句が多数紹介されていて、折々に楽しめる。
作者の生没年・鑑賞文・解説文の掲載されているのがいい。
活字が大きいことも、実に嬉しい。
最後に、<作品索引>が載っていて、利用しやすい。
作者索引があるとさらに便利なのだが…。